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2015年12月04日

第31回 新人漫画賞 グランドチャレンジ 全作品編集長コメント

第31回月マガ新人漫画賞 グランドチャレンジ 編集長のコメント

※敬称略 ※順不同です。このナンバリングは評価の上下を表すものではありません。

  

奨励賞以上の受賞作品

  

<漫画部門><佳作>「桃山シャトル」松本陽介

前応募作「鉄屑ハナコ」に続いての2作品連続「佳作」受賞。おめでとうございます。画力を含めた、マンガの見せ方、技術力の高さ、「描く力」を編集部としては高く評価し、「マガジンR」2016年1号に掲載します。バドミントンという勝負の世界と、友情。テーマを「描く力」はありますが、語られている内容には、やや既視感を覚えます。描く力で押し切って、読者にこれがストレートに届くか、届かないか。届いてほしいと思いますし、掲載時の反応が今から楽しみです。

編集長のコメント
<佳作>「さわやか!学校生活」田端グランドキャニオン

作者の作風には、いつも変態的な世界観が入っていて、そこが「らしさ」だと思います。風紀委員と、秘密を握った女生徒のバカな戦いを、今回も持ち前の高い画力で全力で見せてくれていて、非常に好感度が高いです。次は掲載狙いの作品チャレンジだと思いますが、次回作の鍵は、二人の関係性や笑いのネタというよりも、1人の魅力的な主人公、オンリーワンな世界観が生み出せるかだと思いますので、頑張って下さい。

編集長のコメント
<特別奨励賞>「アセビの少女」高井志織

読んでいて引き込まれる演出力と画力があります。生贄の少女と、それを救いたい村の青年、二人の間の気持ちの流れに焦点を当てて、シンプルな設定をあまり広げずに上手く使い切っているところに好感が持てます。

編集長のコメント
<奨励賞>「Bone Pride‼」ボブ嶋ポコ

吹奏楽部に軽薄な理由で参加した主人公・神原が、最初は反発した、部の王子様的存在の紫藤の悩みを見抜き、友情へ向かう物語。男の子同士の青春期の関係性を、ベタではあるのですが、ちゃんと描き切っているところに好感が持てます。話自体に工夫のしようがあまりないので、演奏する楽器を含めた登場人物のキャラ付けをもっとしてほしかったと思います。

編集長のコメント
<奨励賞>「終幕の騎士」佐々木玉緒

機械化された帰還兵と親子の交流がメインの、哀しくてハートフルな物語です。心を打ちます。そこがメインなので、バトルの物足りなさや敵キャラの華のなさなどは、致命傷にはならないのですが、やはり作品の楽しみどころとしては、もう少し頑張ってほしかったかなと思います。

編集長のコメント
<奨励賞>「B×B×B」西田

女の子が抜群に可愛く描けて、このちょっとHでファンタジーな設定は、新人賞離れした商品性を感じます。画力が高くアクションも描けそうなので、これから先、こういうコメディだけに限らず、バトルもの、ファンタジー冒険ものなど色々チャレンジしてほしいですし、できる人だと期待しています。

編集長のコメント
<奨励賞>「雪花火」草野豊

冴えない日々を送る青年のもとに現われた、不良っぽい少女。キャラクターの表情や心情を丁寧に描くことで、青春時代の空気感をうまく出しています。無理な展開を入れないのも、背景とかを変に描き込まないのも、今回は功を奏しています。ここからもう一段階上に行くには、初期設定にもう一ひねりアイデアが必要だと思いますが、とても印象的な作品でした!次回作楽しみにしています。

編集長のコメント
<奨励賞>「夜咲従花」司馬戌湧

トラウマをもった花火師と、病と戦いながら花火を求める少年の、心の交流を描く作品。絵的にも非常に密度が高く、題材とあいまって、熱量がすごい作品になってます。トラウマ解決話は、そこだけだとありきたりになってしまうので、バランスとしては、そこに注いだ熱量をもう少し花火師の職業プライドや、仕事のうんちくの方に向けた方がオリジナリティが出て良かったのかなと思います。

編集長のコメント
<奨励賞>「B・C-ボーン・クライシス-」とろこ

死人に対する蘇生術を施して「スケルトン」と呼ばれるゾンビばかりになって村で、そのことに目をそむけて生きる一人の少女。そこへやってきた骨喰いの青年。まだまだ画力や演出力に向上が求められますが、キャラクターとテーマの消化がとてもうまかったと思います。重いテーマを自分のアイデアでこれからも料理してくれることを期待します。

編集長のコメント
<奨励賞>「カゲキ派華道」金子黄金

笑い、ストーリー、キャラクター、画力を含めた見せ方、すべてバランス良く出せている作品です。完成度が非常に高い作品です。しいて言うなら、コマの中のキャラクターの大きさが小さくて、せっかくの泣ける話、ギャグなどが、質に比して小さく見えてしまう印象があります。キャラをもう少し前面に出そうという意識を持ってもらっても良いかと思います。

編集長のコメント
<奨励賞>「あなたの調理法」なこつくう

人間社会にまぎれて海から上陸してきた「人魚」。知らぬうちに父を「人魚」に喰われていたヒロインは、父に成りすましていた「人魚」を退治する。『寄生獣』を彷彿とさせるような人類VS.新種の生物の設定。内容はとても面白いと思いますが、説明が多すぎて読むのが大変でした。こういうSFホラーのような作品は、設定をいかに自然に読ませられるかが一つの鍵になりますので、見せ方を工夫すればもっと面白くなりますよ。

編集長のコメント
<奨励賞>「恋に落ちる瞬間」玉谷こゆき

情景描写の力が突き抜けると、それだけで読者に何かを感じさせられるという見本です。描かれている内容は、肯定も否定もできない感情の流れをただ描くだけで、結論が出るような作品ではないので、読者を限定するかもしれませんが、この「情景描写」という武器を持って、一点突破で次も頑張ってもらった方が、プロデビューには近いと思います。

編集長のコメント
<奨励賞>「浅木書」池田悠斗

ご時世なのか、シンプルに男の子からの好感度の高い主人公を描ける人が減っていますが、今回の応募作の中では、この主人公がそういう点では一番良かったです。書道と言う題材を本当にうまく使ってて、筆絵の表現とかも含めて、工夫が凝らしてあってとても良かった!

編集長のコメント
<奨励賞>「リア充には、出来ないコト。」原作/日月明 漫画/佐藤柊

リア充自体を掃討したいのか、リア充の中でも悪いやつを懲らしめたいのか、その辺がいまいちはっきりしなくて設定的に居心地が悪い部分もありましたが、スタイル重視で学園内の権力闘争劇を雰囲気たっぷりに描いてくれたところが高評価です。最後まで緊迫感が途切れない、こういう作品を次回も期待します。

編集長のコメント
<奨励賞>「悪魔の綱」伊久裕也

カウボーイという一時代の職業人たちを真正面から描こうとしていて、題材の特異性という意味で大変面白い読み物でした。一方で、「いつ戦闘活劇になるのかな?」と思いながら読んでしまうようなところもありました。絵柄の軽さのせいと、カウボーイが何故自分の仕事を誇りに思っているかが最初に描かれないので、終盤までまじめに歴史を描こうとしていることに気付けなかったです。そういった完成度の点で、もう少し頑張れたかなと思います。「他人の描かないモノを描く」気概はこれからも大切に!

編集長のコメント
<奨励賞>「俺は王子にはなれない」上野裕美

美容師と妖怪という組み合わせが新鮮で面白いです。テーマ的には家族や人間関係がしっかり入っていて、読ませます。ビジュアル的なところに改善の余地があって、雪女の娘さんは男性読者にも受けそうなルックスなのですが、主人公を含め男の子キャラが造型的に少し崩れている感じがします。男性、女性、どっちの読者向けにこの先進んでいくのか、という課題も含めてもう1段階上を目指せそうです。

編集長のコメント
<奨励賞>「仮面優等生」前川知洋

キャラクターに愛嬌がある作り方が出来ていると思います。ただテーマが優先されすぎて、話が型にはまったような進み方をしていくので、多少興味は削がれます。題材的にはわりと見る題材なので、キャラなりストーリーなりに予想を少し裏切る部分がほしかったです。

編集長のコメント
 

  

ショート漫画部門

  

<ショート漫画部門><佳作>「非日常インタビューズ」相羽紀行

いや、一読驚きました。とてもセンスを感じます。インタビュー形式というやり方は、こういうショート漫画で、読者の気を引くためにはちゃんと効果があると思います。画力や見せ方は新人離れしており、何かしっかりした題材を見つける事が出来たら、掲載、連載を十分狙えるレベルにあると思いますし、その日が一日でも早いことを、心から期待しています!

編集長のコメント
<奨励賞>「うさぎ彼女」鳳タケシ

とにかく可愛いで固められた作品。うさぎも可愛いし女の子も可愛いし、うさぎ好きの男の子も可愛い。ただ、これをどの方向へ掘っていくと作品の魅力が増していくのか悩ましいところで、現状だとややパンチに欠けます。他の動物も出して動物ものか、あるいはうさぎの可愛さをもって掘っていって、それを女の子で実現する萌え漫画か。悩ましい。

編集長のコメント

  

最終選考まで残ったが惜しくも受賞は逃した作品

  

「フジの変」森江里華

テーマ的には父と息子の確執。息子の自立。小悪魔的なヒロインが結果的にはその助けになるわけですが、この娘の魅力がもう少し分かりやすく伝わるようにしてほしかった。意地悪な面だけ目立っています。あと、懐中時計の紛失事件というのも少し華に欠けるかなと。テーマはきちんと消化されているので、少しもったいない感じがします。

編集長のコメント
「こころおくり」丸二ノア

少女の霊の未練を叶えてあげて、あの世に送ってあげる「こころおくり」の少年。きちんと話を組み立てて作ってあるのですが、よくある設定なのでいくぶん新鮮味に欠けました。線の粗さや画面の白さが多少目立つので、絵の面でも少し意識を変えると良いかもしれません。

編集長のコメント
「SCRATCH」小椋智哉

野球をやめようとした怪物エースと野球部を一から作ろうとしているバッター。二人の出会いがエースの心をほぐしていく。青春部分を中心に描いていて、心理描写、情景描写は丁寧に描けています。一方で、野球という題材をうまく利用している点があまり見当たらないので、本当に何部でも成立するだろうな、この作品、といった印象も受けました。個人的には、ぜひ野球にこだわって「まだ描かれていない野球」を探求してほしいです。

編集長のコメント
「異形」高材健太郎

圧倒的に描き込まれた背景がもはや主人公といってもおかしくない作品。妖精が出てきますが、その二人の物語は画面に圧倒されて読み拾うことができないぐらい。ただ、背景がすごいといっても、あくまで背景でしかないので、背景が主人公になるような世界観、舞台を用意して作品を作ってほしいと思います。たとえば地下迷路でのホラーとか、宇宙ステーションでのテロリストとの戦いとか。

編集長のコメント
「センチメンタルStomach!!」小林円美

怖い顔して恐れられている不良男子が、実は誤解の産物で、その秘密を知った唯一の女生徒が‥‥という設定。設定自体はよく見ますが、睨み目なのに男の子の可愛らしさと女の子の可愛らしさと両方出ていて、印象はとても良いです。一方、主人公もヒロインも髪が白いし、画面全体も白いので、もう少しキャラクターに生命力が出るような絵の描き方を心掛けてください。

編集長のコメント
「DRAGON CRISIS」杉山今日子

龍災といった災害や、それを阻止する組織「九頭龍」など、ちょっと言葉を聞くとワクワクするような設定で、序盤は非常に期待が高かったです。ちょっと難しかったのは、その設定が頭になじむ前に、組織内部の闘争に展開を持って行ってしまったため、読む側からは話が遠くなってしまった感じがしました。十分面白そうな設定なので、単純に龍災を阻止する話をもう一回作ってくれないかなと思いました。

編集長のコメント
「ウサギの国」竹谷弦人

争い合う魔族と人間、魔族の少年と人間の少女の間に芽生えた心の交流と、その破綻を描くストーリー。設定が少しシンプルすぎて、楽しみどころに欠けます。読者を泣かせる演出力は十分ですが、絵の粗さは以前と比べても修正できているとは感じられないのが残念です。頑張って!

編集長のコメント
「彼方の光」楠田啓太

身長の伸びが止まってしまったことで、勝てなくなった主人公は、旧来のプレースタイルを捨てきれずにいた。そこへ現れた元・全日本最年少女王の言葉が、主人公に変わることを決意させた。そして大会の日――。見事な青春バドミントン漫画でした。入賞するのに足りなかったものは、画力だけでした。しかし画力は描けば伸びますので、さらに上を目指して頑張ってもらいたい。作者が描く次のスポーツ漫画も読みたいです!

編集長のコメント
「Rally」宮澤潤一

憧れの愛実先輩が原動力でバドミントンをし続ける主人公は、愛実先輩抜きだとサボってしまう。そんな彼が必死になる時が来た――。スポーツメインと言うよりは、この少しおバカな主人公のピュアさが魅力の作品だと思います。内容はよく出来ていますが、ヒロイン、主人公ともに絵的な可愛さ、カッコ良さがまだ足りないです。描くことで画力を向上させれば、それだけで入賞に近づけると思います。

編集長のコメント
「St.CROSS」中島立裕

サンタを襲うサンタ、通称・黒サンタ。黒サンタが生まれた理由とは‥‥。イラスト的としては非常に上手なのですが、漫画としてのコマ運びがぎこちないです。あとセリフで全部説明してしまう演出が、読み手側からすると少し楽しみを削ぎます。そもそもの画力は非常に高いので、ファンタジーをやるにしてもひねりを効かせた設定ではなくて真正面からド・ファンタジーに挑戦するのもありかもしれません。

編集長のコメント
「Brakin’!!」中島三奈

ケンカに明け暮れていた少年が、ブレイクダンスと出会って、燃えたぎるエネルギーをぶつける対象を見つける事で、立ち直っていく物語。出てくるキャラクターも良いですし、主人公の青春期特有の苛立ちなどもうまく描けています。ダンスアクションの迫力を大きな絵で描ける画力があれば、さらに良い漫画になったと思います。

編集長のコメント
 

  

その他の応募作品

  

「ゴージョ」ナオキ

元女子プロレスラーで、亡き母のプロレス魂を背負って、母の最期のリングの対戦相手に戦いを挑むヒロインの話。プロレスとは何かを、対戦相手がヒロインに教えるシーンが印象深いです。人間ドラマ部分はきちんとしているので、肉体の描き方が達者になれば、かなり面白いものになったと思います。

編集長のコメント
「笛吹術の心得」大屋奈々

荒んだ世の中で、孤児となった少年が浮浪者の元武士と出会い、笛への想いを深めていく話。現時点では笛への想いがモノローグで語られるだけでしたので、この二人が笛に託した希望が、誰かを実際に救うところが読みたかったです。

編集長のコメント
「魔女の祭祀場」中西遼也

魔女の組織を裏切り、人間の側にたって人間を救う魔女を目指すルビアンと、ルビアンを信じる少年の物語。ルビアンの人間を信じる想いの根幹がどこにあるのかが分からないのでストーリーに引っ掛かりがあるのと、せっかくの魔法と剣のバトルをまだ描き切るだけの画力が足りないところが残念です。設定は面白いので、描くことで向上してください。

編集長のコメント
「燐光の鏡月」平井健太

占いごっこで召喚してしまった怪物が発端で女子学生が殺される事件が発生。怪異が専門の主人公たちが事件の解決に挑む。世界観、雰囲気は出せているのですが、とても読みづらさが勝る作品でした。まずはキャラの描き分けを意識することが大事で、次にコマ単位でくるくるとカメラを変えすぎるクセを、多少意識して抑えることが必要でしょう。演出のカッコ良さは、読みづらさにつながる危険もあるので、まずはそこを自覚して下さい。

編集長のコメント
「justifies」小椋真一

男の世界の正義を守ろうとするチンケな集団「ジャスティス」とそれをつぶすヒロインの話。熱き男の世界のクサさを馬鹿にしつつ、うまく笑いにつなげられたら良かったのですが、そこの意図が成功しているとは言いにくい作品になっています。女の子の側の戦い方と主張に、もう少しハッとするような内容があれば違ったのかもしれません。

編集長のコメント
「キノスラ」あくのめい

両親を事故で失った原因が、自分にあると思い込んで、後悔に囚われたままの少年が、過去の自分と出会って回復する物語。心理描写が丁寧で、絵にも伸びしろを感じさせます。真剣でハートフルな物語にこれからも挑戦してほしいと思います。

編集長のコメント
「ability」原作/鮫腹あやと 作画/宮ノ内健

行き過ぎた研究から生み出された超能力者同士が正義と悪に分かれて戦う。学校の同級生同士のような人間ドラマを織り交ぜつつ、良い作品に仕上がっていると思います。超能力のギミックとそれを表現する画力が追い付けば、もっと良くなると思います。

編集長のコメント
「嘘の学校」高宮ナオ

タイトル、いいですね!演劇学校、その本当の目的は? 学校入学時点から役を与えられ、その役に沿わない行動をすると点数を下げられる、という設定がまず面白いです。ただ難点は、作品の売りが分かりづらい作品になってしまってるところ。学校に最終的に驚きの設定があるのは、それで良いのですが、読者を引っ張っていくためにもっとスリルに満ちた展開を生徒に突き付けていかないといけないかなと思います。

編集長のコメント
「ナギ戦記」山石三加

神々が統治する世界、バーコードで管理される人間。そしてバーコード無しの主人公が、その支配に挑む。主人公の立ち位置や、敵の存在も分かりやすくて良いです。アクションシーンに必要な画力が足りないのは残念ですが、ストーリー的にも、もっと神々と人間の関係性に踏み込んだ展開があれば面白かったかなと思います。

編集長のコメント
「冒険の書に記録しますか?」福島辰

キャラクター、バトル、とても面白かったです。特にバトルのコマ運びはとてもリズムがあって面白く、正直画力が高くないのに、テンポで読ませる力がありました。基本的な画力が上がれば、上がった分だけ評価が高まると思います。

編集長のコメント
「ココロノクサリ!!」渡邊友紀

どこともなく現れた宇宙人の女の子とバトルに巻き込まれる主人公。こういう作品のキーは、まずは女の子の可愛らしさです。キャラクター的には可愛いですが、画力がまだ全然足りないので、もっと画力を上げて見た目で読者の関心が引けるようになれば良いと思います。

編集長のコメント
「タンポポ」「夢喰う者」大牙

「タンポポ」の方は皮肉が利いてて面白かったです。主人公たちの活動を、もっと踏み込んでちゃんと絵にしてもらえたら、ためが効いて良い作品になっていたとうので、正直、惜しい!という感じです。「夢喰う者」は、座敷わらしカワイイ、という点では○です。ただ話は、そこにオチてもあまり面白くないかなという印象でした。

編集長のコメント
「不機嫌なK」牧あさか

東条英機の遺した手帖をめぐる、各勢力の出し抜きあいを描くストーリー。サスペンスとしての作り方は、そんなにハラハラさせる見せ方が出来ていないのですが、一方で雰囲気のあるキャラクターたちを描けているところが良かったです。画力が非常に高いので、何かうまく題材を見つけて、すぐにでもデビューしてほしいと思いました。

編集長のコメント
「BHOOT FIGHTER」内藤沙織

ある戦闘競技に魂を賭ける男たちの物語。競技の設定だったり、戦い自体にはあまり新鮮味がないです。一方で、登場人物設定は真正面から泣ける関係を描けていて、熱いものが胸にこみ上げます。画力は低くないのですが、画面の整理ができておらず、寄りの絵が多くなってしまっているのが、作品の分かりづらさを増幅しています。そこを気をつければ、ぐっと読みやすくなりますよ。

編集長のコメント
「超能力なんて‥‥」丸山湖乃美

急に超能力に目覚めてしまったヒロインが、トラブル続きの日常生活を打破すべく、同級生とドタバタと問題解決に励むコメディ。キャラクターが面白く、かつ可愛らしいです。笑いの部分が少しライトすぎるので、メリハリつけて、大ネタをどこに仕込むかを、もう少したくらんでみても良いかもしれません。

編集長のコメント
「真夏のピークに君は笑わない。」佐藤高輝

付き合い始めて半年のカップル。あまり感情を表情に出さない彼女をあの手この手で楽しませようとするが‥‥。もどかしい青春の匂いが作品から漂ってきて、雰囲気を楽しませていただきました。ただ、多少分かりづらさが勝っている面もあるので、もうちょっと気持ちの機微が汲み取れるような表現力を身に着けられればグレードアップすると思います。

編集長のコメント
「レジェンド~其の男、~鳥居強右衛門成~」千葉桜コウミ

戦国時代を舞台に、侍になりたい農民の青年と武士の青年の友情と夢を描く。舞台設定はかなり面白かったです。キャラクターの気持ちも分かりやすく楽しめました。絵柄がかなり固いところが残念なのと、先の展開が多少読めてしまうところをうまくクリアできれば良かったかなと思います。

編集長のコメント
「かまって!やよいちゃん」いっしーひでゆき

可愛らしい女の子の、かまって行動を笑いにする日常コメディ。キャラが可愛らしい漫画です。ただ、かまってほしいキャラというのは、結構色んなところで量産されている流行のキャラクターです。そこに自分なりの新しい切り口を見出してほしいかなと思います。

編集長のコメント
「ハグして。」山尾彩香

地球に残された母親に会うために、月の競技会に参加した兎族と人間のハーフの少年の戦い。最後まで読むと泣けました。世界観、キャラクターの関係性と現在の立ち位置などが絶妙です。ただ最後まで読まないと魅力が分からない作品にもなっています。冒頭のレースなどは、あまり面白くないので、序盤で読者を何で引っ張っていくかの魅力を見つけられると良かったですね。

編集長のコメント
「癖」岩本信一郎

くつ下フェチの性癖を持つが、他の生徒の前では品行方正を装っているヒロインの異常な部分はよく伝わってきます。それが人にバレるかバレないかという展開にもう少しスリルが出れば良かったのですが‥‥。変態男の登場は、期待感があったのですが、期待倒れなくらいやられ役で終わったので残念な印象です。

編集長のコメント
「スティーロ」バケツボス

「ブラックフェアリー」を先代から継いだ女総長と、主人公の出会いと戦いの物語。男の世界の空気感がとても良いです。女の子を救うという少年漫画の王道のストーリーもふまえてますし。あとは、女の子を魅力的に描けるかどうかと、ケンカアクションをもう少しリアルで迫力もって描けるかでしょう。

編集長のコメント
「なぜ男はうんちになってしまったのか」上村純己

自分の欲望が顔や身体に出てしまう。そんななか、主人公は「よごれ役」を好むため、顔がうんちになってしまったという。タイトル通り、その謎に迫るのですが、人間心理の面白さみたいのものを掘り下げるのであれば、もう少し色んなキャラクターとの絡みが必要ですし、笑いを取りにいくのであれば、もう少し短くても良いのかなという印象です。やりたい事が多少未消化で終わっている感じを受けました。

編集長のコメント
「Blood Chain」山本高爾

国家直轄の裏治安維持組織で働くヴァンパイアの主人公。司令を受けて、未来の脅威となる少女の抹殺に向かうが‥‥。設定・展開ともに完成されていて、良くいえば王道、悪くいけば多少ベタな感じは受けますが、ストーリーは楽しめました。カッコいい世界観を描き切るための画力がまだ足りないので、そこを磨いてもらえれば、受賞にはかなり近づけると思います。

編集長のコメント
「普通並の菜難~寿司酢のカオリ~」新山絢菜

特定の食べ物と霊の退治などを組み合わせて、ギャグタッチで描かれた学園もの。基本キャラクターを楽しむ作品ですが、一般目線でツッコミを入れるべき主人公が、あまりうまく存在感を出せていないので、読者がキャラの暴走に置いてきぼりされた感じがします。絵柄が少女マンガコメディ的なのも多少、月マガの賞レースでは不利かなと感じました。

編集長のコメント
「部活とユースと‥‥」仲西純一

元プロの少年、球技大会でユースの少年たちを手玉に取る。それだけの内容ですが、サッカーアクションは非常に上手く、動きを見ているだけで楽しい作品に久々に出会えました。次は主人公が1つの目的に挑むような1編を描いてもらえれば、賞の可能性は十分にあると思います。

編集長のコメント
「鑑定師 角田有三」「坂本さん」大坪勝哉

変なおっさんの鑑定師と客のコミカルなやりとり、久しぶりに地元に帰ってきた先輩・坂本さんと地元の友人をコント仕立てにした2作。どちらもクスッと笑える小ネタが散りばめられているのですが、主役のキャラクターにパンチが足りないので、もう少し目が離せないキャラクターを考える努力がほしいところです。

編集長のコメント
「うらことば」桃山夕嬉

天才的な生徒会長と、打算で生きる副会長。二人の確執と結びつきを描いてます。かなりベタなBLの空気があるので、絵の美しさで圧倒してもらうか、二人の心理的な結びつきを純粋に感動できるものに描ききれるかで勝負するしかないと思います。現状、まだそこまでは画力や心理描写が高いレベルにはないので、一層の努力を期待します。

編集長のコメント
「FRANKEN LOVER」「鉢植えのムスメ」不忍蓮太郎

両作品とも女の子キャラが可愛いのですが、その可愛さをテコにして、笑いをとるやり方です。読者が望む事ではなく、それを超えることをやるのは、むしろ良い事ですが、あまり上手くいっている感じは受けなかったです。ストレートにキャラクターの魅力を伝えられる作品が作れそうなので、そちらの方向の作品が次回は見てみたいです。

編集長のコメント
「フントウボール」上田雄一郎

学校のマドンナ的存在に告白して、振られてしまった主人公。その主人公の落ち込みっぷりに、きつい言葉で励ましを贈ったヒロイン。少年漫画らしい、爽やかで気持ちのいい青春ものでした。女の子がもっと可愛く描けるようになれば、それだけで評価はかなり上がります。このジャンルでチャレンジするなら、早急に女の子の作画練習を。

編集長のコメント
「アンカー・エール」大石真規子

友達を応援したいという気持ちから、応援団の扉をたたいた主人公。しかしその応援団は、人の心の中にダイブして、直接応援をするという応援団。発想は面白いですし、キャラクターも楽しかったのですが、心の中に入る、というアイデアが、そこでほぼ止まっていて、もっと心の中で色んなものと向き合ったり戦ったりする展開に広げてもらった方が良かったです。ここでアイデアが止まってしまうと、「よく見た作品」止まりになってしまいます。

編集長のコメント
「残念B組仁ぱち先生」劇画本てっぺい

とても惜しい作品です。最初から最後までちゃんと笑わせてもらいました。ネタは非常に上手だと思います。少年漫画ギャグは初投稿ということですが、主役を張る仁ぱち先生のキャラクターが強烈に記憶に刻まれるようなエピソードが、何本か欲しかったです。

編集長のコメント
「『最低男』と『クソ女共』」山本雅史

キャラクターたちがそれぞれ、壊れてんのか?と思うぐらい立っていて、すごく魅力があります。難があるのは見せ方で、読者の興味を引けるような出し方をしているのに、すぐ他のキャラクターへカメラを向けたり、さっきのアクションは何だったのか説明不足のまま話が突き進んでいくので、もっと読者の視点に立って描くことを心掛けてください。

編集長のコメント
「預かり人」阿部優希

ゴミ屋敷のゴミをどこかに飛ばす能力を持った男と、誰からも必要とされていないと思い込んでいる少年。能力を挟んで二人のハートフルな交流が描かれる。とてもよく出来ていました。能力がちょっと回りくどくて分かりづらい一面もあるのですが、これぐらい読解を強いる設定の方が良いかと思います。絵のクオリティがもっと高ければ、演出も含めてさらに感動できる作品になったはず。

編集長のコメント
「ヒト亜族。シリーズ」千葉桜コウミ

姉と妹の間の少し歪んだ愛情を、SF的な設定で増幅させて読者に見せる作品。オリジナリティがあって良いです。戦争や、人間とクローンの関係など、読んで考えさせられるポイントが入っているのも良いと思います。内容よりも、表現力の方がまだ足りなくて、キャラクターの演技が芝居がかりすぎていて話が頭に入ってこないようなところもあります。絵的にはまだまだ改善できるところがあるという印象です。

編集長のコメント
「アイドル目指して何が悪い」羽本聖憲

可愛らしい絵なのですが、画面を見てても多少最近の絵柄と比べて古い印象を受けます。アイドルのイメージが、ひと昔前のイメージでネタを作っているので、昔ならそんなアイドルいねーよという笑いが成立していたところが、今だと成立しないなと思う箇所が多々ありました。AKBやももクロなど最近のアイドルをふまえて、もっと踏み込んだネタ作りが必要かなと思います。

編集長のコメント
「R/Cデザイナー」安積惣一郎

カーレースの作品で、カーデザイナーの視点で描こうとしているのですが、そこがまず少し中途半端です。レースを見ているだけでは分からないことに焦点をあてて作品を作るのであれば、もうちょっと踏み込んだ知識や説明を読みたかったです。それから、カーアクションがメインではないのかもしれませんが、止まった車の絵に状況説明の文言を載せるだけというのは、さすがに不利になりますので、こういう題材であれば頑張って最低限のアクションは描くようにしてほしいです。

編集長のコメント
「春夏秋冬ひねもす堂」青海千里

ひねもす堂に持ち込まれた、呪いがかかったブローチ。霊感ありの宗一少年が幽霊と話しながら、問題解決を目指す物語。淡々と話が進みます。夏の空と怪談というクラシックな設定も雰囲気があって良いです。ただ、事件自体は少し淡白すぎて、読者の興味を引っ張っていく力に欠けます。事件自体に、読者にもう少し恐怖心を与えるような仕掛けがほしかったですね。

編集長のコメント
「DEVILS VOICE METAMORPHOSE」竹園サロ

好きな女の子に「声がキモい」と言われて以来、しゃべれなくなった主人公がコンプレックスを克服して、バンドでシャウトするストレートな青春もの。仲間を描くのがとても上手かったですね。この友達の輪の中にいたいと思える空気を作っています。一方、展開は少しベタすぎて予想できてしまうのが残念。画力は正直まだ未熟ですが、思いきりの良いコマ割り、演出は好感度が高いです。

編集長のコメント
「能力アフター」佐藤建一

超能力を管理する都市、そこにある雨宮学園は超能力を持った学生が集まり、日々を過ごしている。気の強い超能力女子がいっぱい出てきて、主人公はエロ脳の男の子で――という設定を十分に活かして楽しい学園ものを作っています。アクションや女の子の可愛さなど画力の面で足りない部分があるので、このまま画力を向上させてほしいです。

編集長のコメント
「刀剣白書」山石三加

剣道の達人の同級生をめざし、2年の間研鑽を積んだ主人公が最後に勝負を挑む、ストレートな青春物。ひねくれた同級生と、まっすぐな主人公のキャラは良いのですが、2年間を丸々飛ばして最終決戦にいくのでは、話のどこが描きたい部分なのかが読者には伝わらないです。設定に加えて、テーマをもう少し掘り下げてみることを心掛けてください。

編集長のコメント
「妖狐伝」梨雪

九尾の狐と少女の妖狐の旅を描く作品。出てくる人間全部が敵で、妖狐側だけを正義に描く珍しい作品で面白かったです。キャラクター重視の作品の割には、旅路が無駄に長い印象です。母狐や、実は少女狐は男の娘の狐だったというオチを早く出して、もっとキャラ同士の他愛ない部分を切れ味良く描いてほしかったです。あと画力はやはり課題ですね。

編集長のコメント
「絵描きの一筆!!」藤原通洋

主人公のキャラクターが素晴らしかったです。嫌味な天才として出てきて、心を入れ替える方向のありきたりな話なのかと思いきや、嫌味な天才のまま問題を解決してしまう、スーパーヒーローものでした。ギャップと天才性を兼ね備えた、こういう主人公はなかなか生まれないので大事にしてほしいです。一方で、まだまだ画力が低く、読者に読んでもらえるレベルにないです。たくさん描いてどんどん成長してほしいです。ポテンシャルはあります。なぜならまだ未熟なのに、キャラクターの表情ですべての感情を表現できているので。

編集長のコメント
「ユグドラシル」山田庸介

モンスターによって両親を失った少年・アルムの物語。キャラクターが可愛く、元気で見ていて楽しいです。不死鳥に会って両親を生き返らせたいという主人公の想いが、話の最後まで読まないと分からないのは良くない点かと思います。途中、アルムのせいで親友や親友の父親に迷惑がかかるエピソードは、どういう重要性があるのかがイマイチ分かりづらかったです。

編集長のコメント
「Promise~Legend of Neon」TOA

ものすごい迫力とテンションで描かれる戦闘活劇。悲壮な決意で戦う登場人物ばかりですが、そのバックボーンにどういう設定があるのかがほとんど語られないので、戦いに迫力があっても読み手としては消化不良感が残ります。何を背負って戦っているかは重要ですので、次回作ではきちんと描くようにしてください。

編集長のコメント
「鬼神のもり~背中の風景~」(ネーム原作)桐田守

非常に力作で、時代劇らしく多くの登場人物の事情が絡み合い、戦いだけではなく人情の機微、人生の含蓄などまで表現されています。ただ、このネーム自体は他人に任せて漫画にできるものではなく、コマの一つ一つの構図までこだわって作っているので、ご自分で最後まで作品化するしかないと思います。また、登場人物が多すぎて、読者からしてみると人間関係を頭の中で整理しきれないところもあります。主人公の魅力とその目的がはっきりしたネームを作るよう心掛けてください。

編集長のコメント
「漆黒のヴァルキリア」(ネーム原作)望坂朔良

世界が閉じていて、限られた登場人物がその中で争い合うタイプの話です。こういう話をうまく作れるかどうかのポイントは、読者と同じ視点で「今、何が起きてるか」を追ってくれる立ち位置のキャラを出すことです。このネームは世界観とキャラは良いですが、起きていることをうまく説明できていないところが残念です。

編集長のコメント
「下水の悪魔」(ネーム原作)柴原晃之

職業物としてのヒーロー漫画。結果を出せないヒーローは解雇され‥‥、ヒーローの本質とは何かを問う。とてもよく出来たネームでした。作者が描きたいテーマがはっきりしていて、読んだ後にカタルシスがありました。欲をいえば、やはり能力を用いた戦いをもっとしっかりと描いてほしかったと思います。物語の骨組がうまく出来ているだけに、もったいなかったです。

編集長のコメント
「ドロップ」(ネーム原作)きくらげ

神様の使いと名乗る女の子、両親を亡くした女子とのハートフルな交流を描く。1情景をうまく切り取って、飴玉や捨て猫といったギミックも効果的に使っており、ネームとしての完成度は高いです。ただ、漫画家さんの表現力、描写頼みの面が強すぎるネームとも言えます。原作として、何か特別なアイデアを入れ込まないとネーム原作で入賞するのは難しいです。

編集長のコメント
「まだ誰も知らない」(ネーム原作)くぼみにねこ

飼育小屋の卵の中に変わった卵が混じっていることに気づいた主人公。生まれた雛は明らかに違う生き物に育つが‥‥。主人公の心の純粋さを丁寧に追っているので、読みやすくて良いですが、はっきりとした結末がなかったことと、展開があまりに少なかったことがネックです。もう少しページ数を使ってみても良かったのでは?

編集長のコメント
「戦争代理人」(ネーム原作)深澤正樹

戦争代理人養成学園や、英雄の息子と英雄のしっぽのコンビなど、キャラクター周りの設定にかなり燃えます。ただ、与えられた課題とその解決法は、レベルとしては高くなく、勝負自体が少し幼稚に見えてしまう印象もあります。キャラものだとしても、ある程度ゲーム性も高めていかないと、ネーム原作としてのオリジナリティは出てこないと思います。

編集長のコメント
「THE MOON」(ネーム原作)中井眞

火星開発の前線基地となっているムーンベースから、小惑星破壊の任務を負って飛び立つチーム。地球を救うための戦いが始まるわけですが、宇宙関係の知識が膨大に込められていて、それは読む楽しみでもあるのですが、さすがに詰め込み過ぎて疲れます。もう少し読者目線での情報整理を心掛けてもらえると良かったかなと思います。

編集長のコメント
「モノノケ騒動記」(ネーム原作)佐藤和雄

野化ノ町というモノノケが集う街で、トラブルを防ぐ巡回員のお仕事の話。世界観とかキャラ設定は良いです。ただ、作品のどこを魅力として押し出していくか、ネーム原作としては、そこを明確にしてほしかったです。主人公とモノノケのバトルなのか、モノノケ同士の変わった関係性なのか、それとも町全体の活気や楽しさなのか。

編集長のコメント
「盤に相談しときまひょ」(ネーム原作)西謙一郎

大正時代、将棋会所で働く幼い少女が、将棋の才能を見込まれて独眼の棋士と戦い、本物の将棋に目覚めていく。ストレートなスポーツ物のような読み味、夢見る少年少女にぜひ読んでもらいたいような作品です。少女の将棋の才能についての設定が、もうちょっとはっきりとあってほしい、というのと、連載1話目としてしか成立しないスローペースなネームの作り方がマイナス点でした。

編集長のコメント
「BET!」(ネーム原作)裏田神平

ギャンブルに強いやつが全ての権力を握る学園へと、ふらっとやってきた戸羽国景という男。すべての持ち金を失った主人公は戸羽とともに戦い、生徒会長の牙城を崩しにかかるが‥‥。マネーゲームによる心理戦を描く、これも最近流行りの少年漫画ジャンルですね。キャラクターは、まずまず立っていて良いですが、戦うゲームのシステムがそんなに目新しくないのが厳しいです。ネーム原作はキャラも大事ですが、アイデア勝負なので、ゲームシステムを発明するぐらいの気持ちで作ってほしいです。

編集長のコメント
「人界」(ネーム原作)藤原匠

強大な「力」を持った人間・鈴木。彼の元には妖界から様々な依頼が訪れる‥‥。陰陽師を倒して妖怪を救う人間という、設定にまずオリジナルな面白みがあります。主人公が家庭で背負ってしまった家族との闇なども、とても良い設定で、世界観に凄みを与えています。1話としてまとまりきらなかった点と、さすがにネーム絵が雑すぎて、もう少しどのシーン、どの設定を推していきたいのか、オーダーの分かりやすいネームを心掛けてくれれば、だいぶ印象が違ったかと思います。

編集長のコメント
「夢の中の学校」(ネーム原作)氷河吹雪

現実の学校に絶望感を抱いている一人の少年が、科学の力で異世界に飛び、そこに作られた「まんがみたいな学校」で友情を育むという話。設定自体は面白いのですが、展開がある程度読めてしまうのが残念なところです。異世界に逃避する事のメリットだけではなく、デメリットも含めて展開してほしかったです。

編集長のコメント
「燃えよペン!!」「困った日々」(ネーム原作)ヒラヤ

「燃えよペン!!」の方は、エロゲーを4人の女子に無理やり作らさせられる羽目になった主人公という設定はとても良いですが、その設定から出てくる笑いのネタや女の子の萌えキャラポイントがあまりレベルが高くなかったです。「困った日々」は見た目がクマの主人公という設定が、1話目では存分に活かせていましたが、2話以降学校内では普通のキャラクターになっていて、ネタが予想の範囲内だったのが惜しいところです。

編集長のコメント
「宇宙のつかい」(ネーム原作)川添友也

宇宙からやってきた、おっさん臭い喋り方をするボール状の宇宙人。ボクシングをやっていて家族との間がうまくいってない主人公との間に生まれた心の交流が、ちょっと男らしい内容で、良かったです。もうちょっと逃走劇みたいな部分をスリルいっぱいに膨らまして作ってくれたら、40~50Pくらいの短編でもっと良いものが出来たのではないかと思います。

編集長のコメント
「ジョブズの遺品」(ネーム原作)すなぷきん

人生に絶望した人間が、とあるゲームに参加して金と生き残りを懸ける物語。わりと最近流行りのデスゲーム系の作品ですが、そのゲームの特殊性や能力を引き出す機会など、SF的な設定の部分がもの足りないです。類似の作品が多くあるなかで、何を作りこむか、どんな新規のアイデアを加えられるかを、ネーム原作で勝負するなら余計に考えてほしいです。

編集長のコメント
「とっとと-ONI-太郎!」(ネーム原作)今野昭範

鬼の血を継ぐ主人公と桃太郎の子孫のヒロインが、タッグを組んで鬼退治をするというバトルファンタジー。設定が面白いです。主人公やヒロインのキャラも良いです。ただバトルアクションが、作者の意図だとは思うのですが、あっさり一撃で終わってしまい、そこに笑いの要素を置くのは、あまりこの作品にははまっていない感じがしました。マジなバトルと、それに活かすための能力設定なども前面に押し出してほしかったです。

編集長のコメント
「還れない場所へ」(ネーム原作)和泉澤優翔

3月11日、東日本大震災の日に、海上自衛隊の船の上から見て、感じたことを作品にしています。大きな災害でしたし、その経験したことから何をメッセージで伝えたいか、読者にとってそこが少し分かりづらいです。絵にするとして、どこに力点を置く作品なのか、原作としてはそれが分かるように書いてほしいと思います。

編集長のコメント
「アウトノミア」(ネーム原作)剣持乃

SFで途中までしかネームがないので、なんとも言えない部分もありますが、投稿していただいた部分までは面白かったです。階級社会、接触院制度という人間社会の設定が今のところ面白いので、ここから絵を担当する人の力で、黒の4号、強化外骨格などがどう描かれるか次第では面白いものになると思いました。

編集長のコメント
「ウチョーテン」(ネーム原作)土田開

堕天使というものが、この世界の中でどういったものなのか、堕天使になった彼に何をやらせたいのか、その位置づけがよく分からなかったので、作品に入りづらかったです。メインはバトルなのか、それともキャラクターコメディなのか、ネーム自体が少し雑なこともあって分かりづらいところもありました。

編集長のコメント
「むしずな虫好き」(ネーム原作)尾ノ本貴子

虫大好き少女と虫を見るとオネエになってしまう残念なイケメンくん。キャラ設定は面白いですが、虫の知識をそのまま出しても、虫に興味のない人にも届くかは難しいところです。それを虫ギライにちょっとずつ理解させるというのも、普通すぎる発想で残念でした。

編集長のコメント
「REM」(ネーム原作)松本佳久

殺し屋の会社に所属するメンバーたち。ネーム原作ということを考えると、登場する人物の人間関係がもう少し分かりやすくなるように書いてほしいと思います。二重人格者も含めて出てくるので、そもそも複雑な相関関係がありますし、こういう作品は整理した見せ方がキーになります。

編集長のコメント
「狩人と少女と昔の俺」(ネーム原作)山縣誠二

漫画家だった昔の自分語りをする話。切ない過去が語られますが、それ自体が読みたいわけではなく、彼がどうして強くなったのか、そちらの方が読者の興味を引きます。描くべきポイントが少しずれていたのが残念です。

編集長のコメント
「MONSTER NINE」(ネーム原作)北野卓也

ゲームとしての仕組みはきちんと出来ていて、それに従って展開も進んでいきますが、ゲームの仕組みを揺るがすようなプレイヤーの発想や行動に欠けます。システムを作ることも大事ですが、同時にシステムはどうやって壊すかという発想が、こういう作品では大事になります。あと、さすがに情報が多すぎて読むのが大変なレベルです。大がかりなゲームシステムを作ったときは、どこが見どころになるか、読者に対してポイントをしぼって説明できるような見せ方をしてほしいと思います。

編集長のコメント
「別れの夜」(ネーム原作)川添友也

ご主人様が戦争にいってしまい、兄弟のもとに預けられた猫の視点で話が進みます。人間の業とか欲を批判的に描きたいのか、猫の哀しみが描きたいのか、もう少しはっきりした方が良かったかもしれません。見せ方が俯瞰的すぎて、もう少し感情移入して読みたかった印象です。

編集長のコメント
「異世界でブスだけを愛する」(ネーム原作)くりぃむしちゅー

劣等遺伝子を持つものを消滅させる法案が通過した、恐るべき世界…しかしそれは実の所「ブスだけを消そう」という政策であった!
一見重厚なお話に見せて軽いコメディで描く狙いは成功しています。「ブサイク」と「イケメン」の概念が全く逆転しているところにも笑えましたし、通常ならばヒロイン格の美人・巨乳・性格よしの三拍子そろった女性が邪険にされるところが本当にかわいそうでした。
作画の面でさらに向上があれば、もう一段上を狙えると思います。
しかし、楽しく読めました。

編集長のコメント
「神様なんて!!」藤井電球

いつも角突き合って、能力を無駄遣いしている霊媒師の兄弟。彼らの前に現れた謎の浮遊霊の正体とは…。
兄弟のキャラに加えて、ヒロイン、そして現れ出た、成仏できない中年オジサン霊のキャラが抜群で、何か所も笑わされました。オジサンのマジメさと細かさが相まって「小ささ」を醸し出していて、リアリティを感じますし、「なんてもったいない人生・・・」という三人のモノローグは絶品でした。雰囲気作りも上手く、次回作に期待できます。

編集長のコメント
「アイマイシマイアイシマイ」ぴぴこ

お互いの両親の再婚で、同居することになった姉妹。受験が迫る姉を思う気持ちが嵩じた結果、愛するがゆえに妹が取った意外な行動とは…。
これが男女ならば、よく見る設定かと思うのですが、姉妹、そして本当に他人同士が実の姉妹のように仲が良く、お互いを思いやっている情景には心を揺さぶられます。姉が遠くに行ってしまうのが嫌なあまり、妹が結構ひどいことをするわけですが、その気持ちに素直に乗っていける演出になっていることに才能を感じます。そして妹・くるみが可愛い!
ともすればちょっと百合漫画ぽくなってしまいかねない展開を品よく描けていることにも好感が持てますし、最終選考に残って受賞してもまったくおかしくない作品でした。今後に期待大してるということを強調しておきます。

編集長のコメント
「筋肉将女隊」近藤効果

ストイックに筋トレに励み、パンプアップされた肉体を持つ将に憧れる少年・亮介。
しかし実は将、密かに女装趣味を持ち、鍛え上げた“女子選手”としての顔も持っていた。
将に憧れるあまり、自らも女装に踏み切った亮介に、思わぬ騒動が巻き起こり…?
意外性抜群、いい意味で期待を裏切られました。
流行の筋肉女子ものかと思いきや、かなり複雑な構造を持つコメディですが、随所に笑えるコマ、セリフがちりばめられていて、飽きずに読めます。亮介の可愛さも十分に表現されていましたが、オチへの流れはやや先が読めた気がします。

編集長のコメント
「男のプライド」「明日駈ける」(ネーム原作)吉谷公平

①男のプライド(ネーム原作)
誰からも憧れられる、仕事のできるモテモテ男、三重春彦。家路を急ぐ愛妻家の彼の胸中にある思いとは…。
一ミリも少年漫画的要素はありませんが、面白かった! 全編これゲスいネタなのですが、主人公が一途な男であるだけに、全体の雰囲気はむしろ品格を感じます(ほめ過ぎ?)
後述の『明日駈ける』とは完全に対照をなす内容ですが、合わせて読めば作者の並々ならぬ力量を感じます。そしてこちらは自分で描き上げた方が面白くなる気がします。
②明日駈ける(ネーム原作)
陸上に懸けた男たちの姿を、小学生時代から高校に至るまで描きつくす、3話分の力作。
正直、『男のプライド』とは正反対の、熱い思いに彩られた少年漫画らしい作品です。
コマ割りもよく考えられていて読みやすく、動きに迫力があります。また主人公たちにとどまらず、お母さんのキャラクターが素晴らしく、感動を誘います。敢えて注文を付けるなら、この作品ならではの新鮮なネタ、作画家が描いてみたくなるような材料がやや不足していた感じがしますので、次回はその点を意識していただければ嬉しいです。
三話目の扉絵も、とても魅力的でした。

編集長のコメント
「REM」岩田賢

絵本作家を目指す少女、白石結女はコンクール入選をめざし熱心に投稿を繰り返すが、なかなか結果が出ない。夢が潰えてしまう恐れを抱くある日、彼女が夜見た夢とは…?
アイデアが抜群だと思います。「夢幽病」という設定や、夢を食うバクの新解釈など、ありそうでなかなか思いつかない材料が豊富です。「俺は人の夢を笑わねーぞ、笑うやつはバカかバクだ」という熱いセリフにもシビれました。最後かすかに出たラブ感をもう少し見たかったと思いましたが、それは次回のお楽しみでしょうか…。レベルの高い作品でした。

編集長のコメント
「ヒーローチャンネル」原作/藤八景 漫画/金本ヒロユキ

バイトをしながら弟妹を養い、ヒーローとして戦う主人公。しかしかれは「無課金勇者」であるために、装備も不足、現代のヒーローシーンではもはや不要の、「戦えない存在」として辞めるよう迫られてしまうが…。
「自衛アプリ」に始まり、驚くべき数の設定がちりばめられた力作。一コマ一コマ手を抜かず、丁寧に仕上げられた作画も好感が持てます。「死んだ方の主張はぜーんぶ間違い、心身ともに敗者。勝った方が正義ってワケだあ」など要所のセリフにも見るべきところがありました。逆に若干設定過多で、理解するのに労力を要するきらいもありましたが、そこは次への課題ということで。

編集長のコメント
「Jimmy The Narco」JOHNNY* BLUE

デザイナーとして世界的に大成功したジミー松原。グレープフルーツしか口にせず、人生の半分を売ったと称する男。彼の成功、そして能力の背後には恐るべき秘密と陰謀があった…。
今回投稿作の中でもっとも驚かされた作品の一つでした。まったく先が読めず、人間造型やバックグラウンドの設定もよく考えられていて深みを感じます。ナルコレプシーという病と「人生の半分を売った」という事実との紐づけが、もっとも輝いていました。現実離れしたストーリーなのですが、不気味なリアリティがあり、長く記憶に残りそうです。
149ページになんなんとする長さと、読み手を選ぶ作画がやや商業誌から遠いため、選考には残りませんでしたが、アーティスティックな輝きが魅力でした。

編集長のコメント
「ノイズハンター」(ネーム原作)加藤早織

楽器ケースを背負った人は、魔法使いの一員…?
タイトルから受けるイメージを、いい意味で裏切られる、そんな作品です。
冒頭から奇想に引き込まれます。楽器と人体を類似品として見立てることはままありますが、心臓をはじめとした内臓に、そもそも楽器を育てているという設定はスゴイ。
それでいて「奇想」にとどまらず、きちんと音楽ものとして、細かく楽器の描き分けを行い、音楽そのものも描こうとしている姿勢には大いに好感を持ちました。
ラスト、なんだか心が豊かに、楽になる感覚を覚えました。いい読後感でした。

編集長のコメント
「AMBITIOUS」新望

18世紀、世界を席巻した英国の艦隊。その海軍にあってのし上がろうとする若き主人公。
しかし、彼にはそれを妨げる経歴があった。それは「罪食い人」(シン・イーター)。罪人の身体にパンを置き、そのパンを食べることで罪を引き受けるという役目の人間だったのだ…。
冒頭から、絵に圧倒されます。『海皇紀』を彷彿とさせるような帆船、そしてその動きの描写、素晴らしいです。帆船上での戦闘も、なかなか難しいアングルが大いにも関わらず見事に描き切っています。そのことだけでも感心させられますが、お話の運びも上手で、船乗りの凛々しさを満喫できました。そして、それだけにラストページには驚かされました。あの一カットだけでも、この作品を読めてよかったと思っています。
次回作、期待しています。

編集長のコメント
「マガツカムナキ」黒蜜信玄

和風ファンタジー、と分類できるようでできない、不思議な作品でした。
バトルシーンにまず目を奪われます。
物の怪たちの造型は素晴らしく上手で、迫力も不気味さも伝わってくるのですが、全体のトーンはどちらかといえば明るく、清々しい雰囲気で読後感もよかったです。
おそらくは、主人公、澄江ちゃん、ついでにお母さんもみな根は明るい人で、表情その他どこかとぼけた感じに描いたことが成功の要因かと思います。澄江ちゃんの表情は特に明るく魅力的で、不必要なまでに(失礼)巨乳なのも、印象的でした。
キャラクターへの作者の愛情が伝わってきます。そして、それはプロを目指す人にとって等しく必要な要素だと思います。

編集長のコメント
「ラビットナイト」アキナ

幼き日、自分を怪物から救ってくれた騎士(ナイト)に憧れるも、不採用通知が届き絶望する少年。そして「君を必ずナイトにしてみせる」と語る人語を解するウサギ、「ラビットナイト」。実は以前は人間だったこのウサギと少年は過酷なトレーニングを開始するが…?
若干作画に未熟さはありますが、キャラクターがいい! この二人もいいですが、途中参戦の「お姫さま」がアナーキーかつ無責任でかわいく、ストーリー全体を明るくしてくれています。ラビットナイトが実は熱い義理人情の人で、「恩返し」がモチベーションだった、というくだりもいい感じでした。一段の絵の向上があれば、さらに期待できます。
がんばってください。

編集長のコメント

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