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新人賞/アシスタント募集

2017年01月31日

第35回 新人漫画賞 グランドチャレンジ 全作品編集長コメント

第35回月マガ新人漫画賞 グランドチャレンジ 編集長のコメント

※敬称略 ※順不同です。このナンバリングは評価の上下を表すものではありません。

  

奨励賞以上の受賞作品

  

1【漫画部門 準入選】『お手を拝借!』谷川オド

個性の際立った作品が多かった今回の応募作の中でも、発想のオリジナリティとそれを漫画のテーマに落とし込む上手さが素晴らしかったです。初投稿から地道に投稿を重ねて、大きな進歩を遂げたことに拍手を送りたいです。

編集長のコメント
2【漫画部門 佳作】『イヴのお願い』齋藤勁吾

女の子の可愛さ、メカ、コミカルなキャラ。とりあえず誌面に掲載して勝負できる材料はそろっている、という点で評価は高いです。あとは、これらの素材を活かせる設定を編み出せればというところでしょうか。

編集長のコメント
3【漫画部門 特別奨励賞】『爆風いちばん』誇中豆一

世界観の描き込み、主人公たちの熱血さ、少年漫画らしいパワーを作者から感じ取れる作品でした。課題としては主人公たちが戦うべきものが滅びに向かう世界そのものなので、少し主人公たちの一人芝居的な感じがあり、敵役の代表的人物や組織が存在すれば、もっと盛り上がったかなと思います。

編集長のコメント
4【漫画部門 特別奨励賞】『きぐるみ越しの恋』児矢野知紀

「ピュアな恋愛」部門があったら、これが1位だったな、と思うほど、読み手をキュンキュンさせる力がある作品でした。きぐるみ、というスペックをうまく使いましたね。絵もカワイイし、まだまだ伸びそうなので、これからも読者をドキドキさせる作品を生み出してください。

編集長のコメント
5【漫画部門 特別奨励賞】『私のものごと 君のこと』touzanH

腕が5本生えた男の子と、ピアノに挫折しそうな女の子の出会いの物語。ちょっと変わった観点から、でも青春期のピュアな悩みをうまく描写できている良作です。作者は、発想力とセンスと画力を兼ね備えていると思いますので、次作にも大いに期待してます。

編集長のコメント
6【漫画部門 奨励賞】『蝉が鳴いていた』櫻井七海

人類のために、竜と戦って死んでいく戦士がひたすらカッコ良い作品でした。少年読者に読んでもらいたい作品としては1番だったかもしれません。まだ絵が荒削りなのですが、武器や肉体に対するこだわりだったり、ラストシーンの演出を見ると、これからどんどん伸びていくと思うので、そのまま好きな物を描き続けてほしいです。

編集長のコメント
7【漫画部門 奨励賞】『セカンド・ウィンド』横山直哉

自分より常に速かったランナーの姉を事故で失ってから、完走することができなくなった妹の話。振り返らずに90分走りきるという勝負システムは面白かったです。ただ、その途上で何が起きるかという展開面では、それほどこちらの予想を裏切ることが起きなかったのが少し残念です。ページ数が50ページ以内でおさめられていれば印象ももっと良かったかもしれません。

編集長のコメント
8【漫画部門 奨励賞】『悪魔が嫌うもの』中野しゅいず

悪魔クロネは、悪に力を貸すのではなく、善人に力を与えて悪人へと堕ちていく様を眺めるのが趣味。この発想はオリジナリティにあふれていて面白かったです。それだけに主人公がどうやってその誘惑を弾き返すのかに対する答えがほしかったです。絵はとても上手くて迫力があるなーと思いました。

編集長のコメント
9【漫画部門 奨励賞】『純な世界』十田

これは、今回の応募作品群でもっとも読んでいて目が離せなかった作品です。そういう点ではベストの作品でした。未分化な少年と少女がある年齢で分化するという設定で、そこに至るまでのキャラクターたちの心理を克明に描写していて、見事の一言です。絵的な面などでまだまだな部分があったので、奨励賞止まりですが、すごいアイデアでした。

編集長のコメント
10【漫画部門 奨励賞】『私が見えるひと』平山景子

幽霊の悩みを解決したり、幽霊が見えたりする話はよくありますが、幽霊側から「自分が見える人」を追いかける話はなかなかなくて面白かったです。幽霊たちのぶっちゃけたノリがコミカルで、画力も高いのでそれをしっかり描けていた点がとても良かったです。多少コマ割りなどが細かいので、思い切った画面構成を心掛けてください。

編集長のコメント
11【漫画部門 奨励賞】『SILVER BULLET―銀の弾丸―』蕃茄ハイチ

亜人の血から作った「亜人薬」をこの世から根絶することを目的とする二人の亜人コンビ。優れた刑事ドラマなどからも感じられる、男の凸凹コンビのカッコ良さ、面白さを十分に堪能できる作品でした。世界観もよく出来ていて、女の子もカワイイ。主人公たちの背景がもっと掘り下げられるとさらにドラマチックになったと思うのですが、惜しいです。

編集長のコメント
12【漫画部門 奨励賞】『星泥棒』玉谷こゆき

自分のせいで、少女が飛び降りてしまったかもしれないという後悔に囚われた少年の、やるせない思いが、こちらにもよく伝わってくる作品でした。誰かの自殺や死について、真剣に向き合っているのも好感度は高いです。テーマと演出力は申し分ないので、あとは題材、この漫画でいうと星だったり、音楽だったりをもっとうまく使えれば、さらに良かったかなと思います。

編集長のコメント
13【漫画部門 奨励賞】『学びと城』きのこの

まだまだ絵が荒いのが惜しい点ですが、タイトルからは予想できないような、壮絶な展開で、読んでいて引き込まれます。冷酷な人間、悪人の描写が上手く、絶望を描くのがとても上手いと思いました。そして、その中の希望も。さらに描いて画力を上げて、読者にもっと世界のリアリティを感じさせられるようになってほしいです。

編集長のコメント
 

  

ショート漫画部門

  

1【ショート漫画部門 奨励賞】『Bamboo Bamboo』都田都

無表情でいじめっ子の女子マネージャー先輩と、ちっこくてウブな後輩女子剣道部員。女の子同士のやり取りだけでほぼ成立しているけど、男性読者にもアピールできそうな可愛さとほのかなエロスがあって、それが素晴らしかったです。これを武器と自覚して次作にも臨んでほしいです。

編集長のコメント
 

  

ネーム部門

  

1【ネーム部門 奨励賞】『陽の下の町』杉山佑太

世界設定自体は、ありふれた発想だと思いましたが、ディテールに至るまで閉鎖された街のシステムを描き切れているところが凄いと思いました。隙のない世界を描くことでキャラクターの言動にもリアリティが出ています。読んでいて引き込まれるような作品でした。

編集長のコメント
 

  

最終選考まで残ったが惜しくも受賞は逃した作品

  

1『第三革命記念日』手名町紗帆

ヒーローショーサークルの青年と、元ヒーロードラマのヒロインの女性とで繰り広げられる青春ドラマ。素材は面白い物に目を付けたなと思いますし、登場人物の心理描写などは、前投稿作に続き、さすがだなとうならされるものがありました。一方で、読者に馴染みのない「ヒーローショー」「TV女優」などをメイン設定に据えていながら、その点はかなり薄い描写で終わってしまっているので、ドラマとしてのリアリティが落ちてしまった点が残念でした。

編集長のコメント
2『天津肉饅!!』児玉陽太

夫婦漫才師を目指す高校生男女の凸凹コンビ。ヒロインの口うるさいキャラはとても好感度が高く、読んでいて楽しい作品でした。文化祭での舞台実演を目指して困難を乗り越えていく話でしたが、ちょっとストレートにお話が進み過ぎなところは工夫が必要かなと感じました。題材である漫才のことも少し掘り下げてもらえれば、作品に深みが出たかなと思います。

編集長のコメント
3『秘密は明日から』夏目友貴

未来が見えて自分の願いを次々と叶えることができるペンダント。それをめぐって主人公とヒロインとそれぞれの母親、総計4人の行動が、各人にとってリアリティのある動機でそれぞれ動いているのがすごいなと思いました。18歳という年齢でこれが出来るのは、本当にすごい。お話としては途中で終わってしまった感がありますが、画力も含めてさらに上を目指して頑張ってほしいです。

編集長のコメント
4『仕方ないから言ってやる』白本綾音

言葉を発するだけで、相手をその通りに操れてしまう「発症者」というアイデア自体はとても面白いなと思いました。それを使って、家族の愛をテーマに描こうとしていましたが、少し話がとっちらかった印象ですね。思い切って主人公目線に統一して描いた方が、話自体に分かりやすさが出た気がします。

編集長のコメント
5『悪魔売りの商人』美根孝亮

自分の恋を叶えるために悪魔を購入しようと悩んでいた少年。そのお相手は先に悪魔を購入していた。自分の恋心は本物か?それとも相手の悪魔の力によるものか?こういったファクターで相手の気持ちの真実に迫る恋愛劇は、斬新でとても面白かったです。悪魔売りの商人に対して逆転に持っていくための知恵の部分も良かったです。あとは、あくまで恋愛物なので、女の子のいじらしさ、可愛さの演出がもっと出来ていれば入賞は出来たのかなと思います。

編集長のコメント
6『最終決戦兵器のソラとネル』有原明良

話の入り口で、スポーツものかと思いきや、直後にスケールの大きなSFへとつなげる「つかみ」は予想を裏切られて引き込まれました。巨大な建造物、巨大なパワーをシンプルに描いて、画面から伝わってくる力に圧倒されました。あとは、女の子の描き方も含め、人物造形が多少崩れている印象を受けますので、そこに力を入れてみてはいかがでしょうか。

編集長のコメント
7『Book』麻生勇

人間の怨念が「物語」そのものに宿って具現化された化け物と、それをさらに「物語」を使って倒すことを生業とする男。アイデアに満ちた設定と、ハードボイルドな世界観と主人公のカッコ良さは健在です。戦闘アクションシーンなども相変わらずセンスを感じさせるので、あとはシンプルな女性キャラと男性キャラの描き分けなど、絵のバリエーションを増やしてほしいなと思います。

編集長のコメント
8『ニア ブラック』ひととせひるね

使った人を異形の怪物に変える「魔薬」という設定とそれを追う捜査官の話。大胆なコマ割りにはメジャー感がありますし、クリーチャーのデザインもよく出来ていると思います。サスペンスとして読むと、明らかに書店の女主人は怪しいので、ストーリーを追う楽しみが少し弱い気がします。彼女が犯行に動いた動機ももう少し読者の心にグッとくるものに出来たのではないかと思いました。

編集長のコメント
9『水の京』夢弥

水中に沈んだ京都の都。その原因をさぐるため、沈んだ家にある宝物を手に入れる為、高校生の男子二人が水中へ潜る――。二人にそれぞれの家族の事情があり、浦島太郎の伝説にかけたファンタジーでもあり、様々な要素が入っているので飽きさせないという感想と、やろうとしていることが多すぎてちぐはぐ感があるという感想と、半々くらいの印象です。画力はもともと高いので、うまく活かせるような題材を1つに絞り込めればいいなとおもいます。たとえば水中都市の眺め一つで読者を圧倒できるようなやり方だってあるかなとこの作品では思いました。

編集長のコメント
10『女子校のアレ』八神ちさ

強制的に、というパターンは多いですが、わざと自ら間違えて女子校に入学するというクズが主人公の漫画は、なかなか見た事がないので、うまい設定だなと思いました。主人公のキャラも先生のキャラも良かったので、もっとネタがうまく広げられればさらに良かったのにと、その点が残念に思います。

編集長のコメント
11『ゴイチがGO!』上森裕文

小学校が舞台で、生徒も関係者もキャラが立ってて楽しい漫画でした。絵柄もシンプルですが温かみがあって、作風に合っていると思います。ただ切り口として、何をメインにもってくるのか、毒なのかエロなのかほのぼのなのか萌えなのか、そういった強みをもっと前面に出せた方が良かったかなとも思いました。

編集長のコメント
12『桜火爛漫』フー星人

絵、特にスポーツアクションを描くという点では、抜群の力があります。熱血な素人とエリートでクールな達人のライバル関係というのは、ありふれたパターンではありますが、うまくツボを押さえて描けていたと思います。ただキャラの掘り下げが浅く、もう少し登場人物の過去の背景などを交えて深みを出してほしかった点は残念です。

編集長のコメント
13『うつしみかがみ』松島あの子

ある事件に巻き込まれた双子の姉弟。お互いを愛するあまり、お互いへの誤解をそのままに命を絶ち、幽霊になっても誤解は解けない。世界観と、二人の関係性からにじみ出てくる愛の物語が心地よいです。ファンシーな絵を残酷なエピソードとうまくミックスさせています。ああそういう話か、となかなか気づけないほど複雑な話ですが、話運びの分かりやすさなどを次作に期待したいと思います。

編集長のコメント
 

  

その他の応募作品

  

1『完璧な月』土田琴絵(ネーム原作)

女の子の独白をモノローグで語り、漫画のコマが併記されていくような配置で構成されています。少し絵と文章の量のバランスが悪かったように感じました。絵で見たいな、絵をを楽しんでほしいなという部分をうまく入れ込むのもネーム原作の技術の一つです。

編集長のコメント
2『バシコ 怪盗編+OL編』ふじつかさ

ヒロインを中心に、キャラクターはとても生き生きと動いていて好感が持てます。難点は、タイトルにヒロインの名前を冠している通り、彼女の魅力で勝負しないといけない作品なのですが、魅力が一つに絞り切れておらず、何となく可愛いヒロイン、になってしまっているところです。ここだけは負けない魅力を、ヒロインに作ってあげてください。

編集長のコメント
3『ゆうくんち』八神ちさ

裕樹のお母さんは、ホラー漫画ばりに怖い見た目のお母さん。同作者の最終選考に残った『女子校のアレ』と良い点も悪い点も同じでして、最初のインパクトを与える設定や、その見せ方はとても上手く面白そうに出来ているのですが、そこからうまくネタを広げ切れていないのが気になります。出オチを一歩だけ脱却してほしいなと思います。

編集長のコメント
4『白鳥の湖』吉谷光平(ネーム原作)

ストレートな青春物で、フィギュアスケートをめぐる兄弟間の微妙な関係を描いた作品です。主人公の気持ちも良く描けているし、ネームの絵を見る限り、自分で描いてもらった方が良いような出来でした。ストーリー面では、少し先が読めてしまうところが難点で、読者に意外性を感じさせるような展開づくりが欲しかったですね。

編集長のコメント
5『直(すぐる)』吉谷光平(ネーム原作)

こちらも同作者の上の作品と同じく、まっすぐな高校野球青春物で、ネーム的にはとてもよく出来ているので、自分がペン入れした方が良いような感じを受けました。主人公のキャラクターが良いですね。野球面では特に面白い点はあまりなかったのですが、この主人公の生き様がもっと活きてくるエピソード、ドラマが作れれば良いなと思います。

編集長のコメント
6『シュンユウ記』吉野ちっぺい

カメラ小僧の少年と、僧侶の少年の現代鬼退治物語。まず、とても読みやすく、絵が達者です。話もきれいにまとまっています。鬼の出現と退治といったファンタジー部分を強化するか、少年二人の友情面などをドラマ的に強化するか、どっちかにオリジナリティがもう少し出てほしかったなと思います。

編集長のコメント
7『トートの手』『ゆめゆめ忘れるな』『物探し屋鷹目』カイソラト(すべてネーム原作)

3作品ともネーム原作の作品ですが、もっともネーム原作として良く出来ていたのは『トートの手』です。「調律師」という仕事を中心にして、作者しか知らない音楽世界の知識をうまく使えています。最後に出てきた、9つの楽器をめぐる旅という設定がもう少し詳しく作れていれば良かったなと思います。『ゆめゆめ忘れるな』は、ドラマ的にはしっかり作れているのですが、もう少し音大の話が知りたかったなという印象で、『物探し屋鷹目』は行方不明のお母さんを探すという話のわりには、出てくる組織や裏事情がフィクションに逃げすぎていてリアリティに欠けました。

編集長のコメント
8『ナインナイフボックス』『僕のバイトは男の娘』結瀬綾太(ともにネーム原作)

両作品ともネーム原作として、きちんと設定を活かしたものを作ろうとしていて、好感が持てます。『ナインナイフボックス』はゲーム自体の面白さが少し足りなかったのが残念ですが、それでも生徒会長のサイコっぷりが際立っていたのは良かったです。『僕のバイトは男の娘』はメイド(男の娘カフェ)のリアルな面白さにいくのか、お笑いとH主体で行くのか、そのあたりが少し曖昧だったので、中途半端な感じになってしまったのが惜しいです。

編集長のコメント
9『クラスルール』中川司

5つのルールに縛られた学校生活で、お互いを攻め合うというのは、とても面白いゲーム設定でした。最後に主人公の裏ワザ的な狂戦士化で勝ってしまったのは逆に残念で、このゲームのルールの中で面白い勝ち方を考えてほしかったです。絵もけっこう上手いのですが、賞を取るためには、キャラクターの表情や体のバランスなど、もう1段階こなれてくる必要があります。

編集長のコメント
10『ろいろい』はやし(ネーム原作)

顔のアップとその左右にセリフを載せた1枚絵だけで表現する方法を取っていて、内容的には諷刺的な観点から描かれているものが多いように思います。さくさく読めるし、切り口自体は面白いのですが、セリフがあまりに断片的すぎる気もします。もう少しシチュエーション込みのコント仕立てぐらいのバランスでやってもらった方が良かったかなと思います。

編集長のコメント
11『黒鬼』『嘘は正直を貫く』村森正明(ネーム原作)

スポーツエリートを集めて1番を鬼ごっこで決めるという設定が素晴らしかった『黒鬼』ですが、鬼がアンドロイドなところが惜しいです。途中から人間ドラマに変わっていきますが、鬼ごっこ自体が消化不良なままなので、そちらを貫いた作品にした方が良かったと思います。『嘘は正直を貫く』も、ウソを言うとホントになってしまうという設定自体はとてもアイデアがあって面白いのですが、主人公が裏政府に囚われるあたりから、少し展開に無理がある感じを受けます。どちらも初期設定は面白いので、それを活かせるストーリー展開を心掛けると良いと思います。

編集長のコメント
12『友達からでどうでしょう』前田麻里

男の子の瞬間移動的な能力の部分は置いといて、男の子と女の子の爽やかな青春の感じが絵にも世界観にもよく出ていました。絵がまだ多少未熟ですが、表情などを見ていると表現力は間違いなくあるので、たくさん描いて絵をまず向上させてみてください。

編集長のコメント
13『光線銃は意外に安い』羊野シープ(ネーム原作)

ヒーロー物のパロディ作品で、ヒーロー側の武器製作研究所の研究員たちが主役というのが独特でとても良かったです。特に人間ドラマの点で、所長と助手が本当は事情のある親子という設定がうまくストーリーに生かせていました。一方で、ヒーローの裏方のお仕事を、もうちょっと知識・設定面で詳しく掘り下げてほしかったなと思います。

編集長のコメント
14『ガール&ドラゴン』アキナ

可愛い女の子と憎たらしいドラゴンのコンビコメディ。絵も上手く、コマ割りも読みやすくて良かったです。ドラゴンとヒロインのどちらかに強力なキャラ付けが欲しかったなとは思いました。ドラゴンはダメニートドラゴン、ということでしたが、もう少しその特徴が強烈に出るようなネタがあればさらに良かったと思います。デザインも一工夫ほしいですね。

編集長のコメント
15『あの、空の果てで輝く 天麩羅のように』マツモトモカズ(ネーム原作)

ヒーロー物なのに出てくる「悪の組織」パロディ、みたいなものかと思いながら読んでいたのですが、シュールな展開と登場人物が次々出てくるので、追いかけるのが中々大変でした。キャラ自体は面白いものが多く、ノリも楽しいのですが、いかんせん88Pもあるとノリにも飽きてきます。最後まで読むと人間関係も腑に落ちます。ただし、そこまで読んでくれる人は少ないでしょう。ネーム原作は、読者に喰い付かせる魅力を作ることが第一なので、この作品は向いてないかなと思いました。

編集長のコメント
16『ウチの組の新人はゆとりがありあまる』ババケイゴ

ゆとり新入社員のヤクザさんバージョン。面白かったです。アイデアの切り口としては、わりと思い付きやすいところだとは思いますが、主人公のゆとりっぷりと気の抜けたデザイン、ヤクザさんのリアクションが素晴らしかったです。ただ、ゆとり君のダメなところを見せるだけではなく、これが逆にうまく働いて事件が解決するようなネタが増えてくれば、もっとオリジナリティが出てくると思います。

編集長のコメント
17『立花町子は燃えている』パプリカ

ギャップ萌えというか、あのごつい女の子が最後、あんなに可愛い女の子になるという点には意表をつかれて萌えました。ただ、この8Pだけだと、ヒロインの設定説明だけで終わっているので、次回はこのキャラの活躍をもう少し読みたいなと思いました。絵もまだまだ向上できると思います。

編集長のコメント
18『ボンチ』鈴木潤

ほのぼのした宇宙冒険譚です。SF的な設定についての説明部分、星だったり地球外の生命体設定はとても面白かったです。ただ、スケールの大きいSF物では、絵的な驚きがやはり重要で、その点では物足りさなさがありました。最後の戦いも変身ヒーローの戦いになってしまい、特撮物のパロディに見えてしまったのが残念です。

編集長のコメント
19『ギブソン』Hevy(ネーム原作)

バンドをやっていた青年が、事故で視力に障害を持つことになるお話。目が見えない人の見えている世界をテーマに書きたいというのは、意欲的でとても良いことだと思います。このお話をネーム原作として採用する場合、一番重要なのは、漫画の描き手がどれくらい「視力障害者の視界」をイメージ化できるかということです。このネームの中では、それをどう描くべきかの指南はまだありません。そこが一番のネックになってきそうです。もし、このテーマに引き続き取り組みたいのであれば、ストーリーだけではなく、そういった部分にも踏み込んで伝えてほしいなと思いました。

編集長のコメント
20『その男、Mr.Awesome』藤川与夢

女が音楽を演奏することを禁じる国で、その法を定めた女王へと革命を起こすため、ピアノで挑む一人のおっさんと、男装女性ピアニスト。オリジナリティあふれる物語設定と、分厚い人間ドラマは、読み応えたっぷりでした。世界観がファンタジーなのか擬似歴史物なのか、ところどころおかしいところがあるので、舞台設定もしっかりしてほしかったなと思います。あとは画力、特にキャラクターの絵がまだアンバランスなので練習に励んでください。

編集長のコメント
21『白面の盗賊』キムチャンヒョ

ガネットと呼ばれる石が、エネルギー源や通貨として重宝されている世界で、旅する二人の盗賊が主人公。スチームパンクな絵柄と世界観で、とても絵が上手です。キャラクターも生き生きと動いています。主人公の謎が徐々に明かされていくのがストーリーの本筋になっていますが、ちょっとそこに気を取られ過ぎで、話の展開が少なくて会話が多すぎる印象です。そもそもオリジナルな画風を持っている作者なので、もっと絵を活かせるようなお話作りを心掛けてもよいかと思います。

編集長のコメント
22『Red string’s girl』北川尭史

前世からのつながりで、自らを弄んだ男へ復讐を誓う遊女の魂の軌跡。恐さと迫力、演出力の高さは素晴らしかったです。絵もかなり上手いと思います。初期的な設定があるだけで、それ以上の物語展開につながらなかったのが残念な点で、追われている男にはもっと復讐から逃れるための試行錯誤をしてほしかったです。

編集長のコメント
23『サイコノココロ』加藤諒(ネーム原作)

斎木という殺人願望のある男の、夢の中の物語。彼自身がそこで出会った少女によってどう変わっていくか――。物語としての完成度は高く、ネーム自体もとても読みやすく出来ていました。ただ、この生まれながらの殺人鬼の心理をどう漫画的表現に落とし込むかは、原作を託された漫画家側にとっては大きな難題ですし、表情ひとつ描くのが難しい題材です。ご自分で描くのがベストで、ネーム原作としては向かない作品だと感じました。

編集長のコメント
24『さがしもの』加藤諒(ネーム原作)

主人公の探偵の元へ殺人事件の捜査を依頼にしにきた女性。調べてみるとその女性は、その殺人事件で殺された被害者とそっくりだった――。非常につかみが強い、ネーム原作向きの入りでワクワクしました。ただ、事件の真相に超常現象が含まれているので、「事件自体の謎」を、「謎の現象の発生」で説明するという複雑な着地になってしまったのが残念です。ファンタジーな要素は、推理サスペンスではもう少し限定的に使うべきかと思います。

編集長のコメント
25『GREEN―OF-WORLD』三ツ橋弥矢乃(ネーム原作)

樹界、樹功術、など世界観の設定がすごく細かく出来ていて隙がないのがすごいなと思いました。熱血主人公と最強ヒロインの組み合わせも楽しいですし、ネームを見る限り絵も上手な感じがするので、漫画で見てみたかったです。ジャンル的には王道バトルファンタジーなので、漫画としての売りは主人公たちの戦闘能力、技、武器、敵の容姿や能力を、絵としていかにカッコよく見せられるか、という点になってきます。そのあたりのディテールが少し欠けるネームになってしまっているのが、ネーム原作としては残念なポイントです。

編集長のコメント
26『3マジッ9-リスタート!』大正ろまん

オール40代越えの元アイドル3人組が、事務所の所長のわがままで再結成することになった。過去の失敗の記憶を乗り越えて再結成を成功させられるか?そしてそれぞれのメンバーの胸に去来する思いは!? 非常に人生の味わい深さを感じさせられる名企画です。とても面白く読めたのですが、少年漫画のネームとしては、このテーマでは少し難しいかなと思いました。

編集長のコメント
27『Downfall』岩佐真

文明の進歩とともに上へ上へと伸びていく『バベル』。しかしその下層にはいったい何があるのか・・!?ワクワクする世界観と謎の設定、そこで働く武装された警備員たち。SFとしてアイデアがあって面白かったですね。画力がまだ高くなく、キャラクターは特にバランスが崩れた作画になっているのが欠点ですが、絵的なセンスは感じられる絵なので、ここから先、練習してうまくなってほしいです。特にSFのようなジャンルが描きたいのであればなおさら。

編集長のコメント
28『魔法仕掛けのロケット』メグムヨツコ

小さな能力しか持っていない魔法使いの男の子と、自作ロケットで空を飛びたい女の子の青春譚。絵柄も作風も爽やかで、読みやすいのですが、展開自体が少し単調すぎるのが欠点です。この男の子と女の子の関係から、もう少し読者をはっとさせるようなイベントを起こして、ストーリーに変化をつけられれば良かったのかなと思います。

編集長のコメント
29『TWIN-KLY◆SWOON』井上幽(ネーム原作)

自分の制作者である主人が死んでしまって、その遺書を探しに旅に出る人造人間の少年と少女。悪魔が色を奪ってしまった無色の街にたどりついたが‥‥。ファンタジーとしての完成度が非常に高いです。とても豊潤な世界観で、エピソードにもアイデアがあって面白かったです。ただ逆に、どこを明確に武器にしていいのかが分からない作品でもあります。ネーム原作の場合は漫画家さんに「この作品のここが武器です」というのが明示できる方が良い原作です。この作品自体は、作者の手で漫画化するのがベストかなと思いました。

編集長のコメント
30『地獄』兵庫尊

地下世界で生活する人々。その上世界には君臨者がおり、二つの世界は隔絶している‥‥。設定としては面白く、地下世界での出来事だけに絞ってストーリーを展開したところが良かったと思います。ただ上世界からやってくる化け物や、敵の存在が、ファンタジー作品の魔物のような描かれ方で、ちょっと世界観がよく分からないところも多かったです。あとはSF的な設定でやる場合、画力がもう少し上がらないと世界の特別感が出ないので、その点ももう少し頑張る必要があるかなと思いました。

編集長のコメント
31『熱血指導教諭TOGO!!!』『もし幼馴染が××だったらこんな青春があった可能性が微レ存?』h2

突然まじめからエロ化した先生に、ゴリゴリと迫られる「熱血指導教諭」と、小学生なのに発達しすぎた二人のやり取りが面白い「もし幼馴染が~」。勢い、パワーがあって、作者自身の表現力も高いので相当笑えます。ただし、やっていること自体はわりと普通で、先生と小学生のおかしな設定をいじっているだけという印象があります。主人公がもう少し能動的に動いたときに何が起きるのかというのを見たかったです。

編集長のコメント
32『CROSS CROW』鈴木新隆

化け物に襲われた結果、変形する爪を持つようになってしまった男。爪を活かしたバトルの描き方や、クリーチャーの設定・デザイン、世界観などはとても良く出来ていると思います。話のテーマである、主人公のコンプレックスに対する踏み込みが少し甘いのが残念なポイントで、悩みが自意識の中で完結してグルグル回っているだけでは読み応えに欠けます。もう少しその欠点が招いた出来事、主人公のトラウマエピソードなどに発展させたうえで話を展開してほしかったです。

編集長のコメント
33『活版ガール』安里千春

タイトルから、業界物の漫画かと思いきや、異世界物で驚きました。過去の世界に行って印刷の技術で天下を取るというストーリーは面白いアイデアだと思います。ただ世界観が少しあやふやで、何が可能で何が不可能な世界なのか、それをはっきりさせてほしかったなと思います。主人公が奮闘して成功をつまむ物語ならば、この世界で逆に何が主人公にとって障害・問題となって立ちはだかるのかをしっかり意識して設定してください。

編集長のコメント
34『緋眼の餓狼』森俊吾(ネーム原作)

勧善懲悪、悪代官を懲らしめる主人公二人組の話で、とても少年漫画らしいスカッとする展開とキャラクターは好感が持てます。ただ、ネーム原作ということを考えると、話がストレートすぎて少しアイデア不足な面も否めません。この作品の個性的な部分は、主人公2人が「記者」という設定ですので、ここがもっとうまく機能するような作品にしてほしかったですね。

編集長のコメント
35『BOX』裕

現実と幻想の狭間の様な世界観。作品全体の凄みみたいなものは良く出ていると思います。一方、主人公が夢の中を揺蕩うような描き方をしているため、何が実際に起きているのか把握しづらく、主人公自身がプロゲーマーであるという事以外は何も分かりませんでした。ポエム調の作品自体は否定しませんが、もう少し付帯情報がしっかり分かるようにはした方が良いかと。作品の描き方も、ウスズミですべてを描くのは、単調な画面にもつながりますので、ペンの強弱、トーンワークなどももう少し駆使してほしいなと思います。

編集長のコメント
36『ENDER WORLD ~Hit me baby one more time~』神山ハルカ(ネーム原作)

だいたい産業革命くらいの時代のヨーロッパが舞台のお話で、いじめられっ子の男の子、アル中の元軍人、黒猫などが絡み合う連作ストーリー。話のテンポも絵柄も世界観も独特なものがあって、ネーム原作にしては描き込み度が高く、漫画を読んでいる感覚で読めました。ネーム原作として見た場合、この雰囲気を他の絵で出すことは難しく、話のテーマもわざとぼかしているような作品なので、他人が描くのは難しいと思います。ご自分の絵的な力量を上げてチャレンジしてもらう方が良いかと思います。

編集長のコメント
37『なめくじ女と天然迷惑男』里宮健一朗

とにかくHですね。体から粘性の液体が分泌する体質のヒロインという設定は、とにかくエロいです(褒め言葉)。せっかくこんなにもエロい設定のキャラクターを生み出せたのだから、もっとその体質上の特徴をうまく使ってエロコメディ的な展開を見たかったのですが、体質のことが主人公にバレたらそれでおしまい、みたいに終わってしまっているのがもったいなかったです。

編集長のコメント
38『SAVE GUN』奥村奎吾

死んでしまった保安官のあとがまを狙う悪徳親子と、旧保安官の娘の決闘。そこへ流れ着いた主人公と言う、いやがおうにも盛り上がる西部劇の設定。キャラクターはとても生き生きしていて、良いですね。決闘シーンで主人公の見せ場がすごく見づらい描き方になってしまっているところなど、見せ方がまだまだあちこち上手くないのと、絵自体も雑な描き方をしているので、丁寧な作画を心掛けてくださいね。

編集長のコメント
39『色彩を作る漫画家志望の異能の話』横山光紀(ネーム原作)

人間の生命力には色がついていて、それが見える主人公。そしてそれと同時に、人間の生命力を狙う悪魔も見えてしまう。色の組み合わせで戦うという、このバトル設定の着想の部分がもっと広がれば良かったなと思います。敵の設定などが、少し普通すぎる感じがしますので、そこももう少しアイデアがほしかったかなと。

編集長のコメント
40『ミカゲノフチの住人』夏野クロール

異星からワープしてきたお姫様をかくまい、戦う、古典的なSFストーリー。シンプルな絵柄で読みやすく、女の子もカワイイなと。ストーリーも含め少し懐かしい感じがする読後感でした。綺麗にまとまっている分、強い売りがほしいなとは感じます。壮大な世界観、ラブコメ、ラブストーリーとしてのドキドキ具合、科学技術的なギミックなどなど。

編集長のコメント
41『遙かなる時の中で』大山徹(ネーム原作)

小惑星が激突して世界が一変したなか、食料を求めて流浪する主人公。そんな時、ある穀物倉庫から、さらに野生な生活を送る人々の住む世界へ転送されてしまった。壮大なSF世界を描こうと挑戦していることは良いことですが、行き来する二つの世界がともにフィクションな世界なので、この作品を描くとなると漫画家さんにとっては絵にするのが通常の2倍くらいの負担がかかります。主人公自身の目標や望みが何なのかがはっきりと分からないので、ラスト、野生の世界に主人公が戻ったことがグッドエンドなのかバッドエンドなのか、いまいちよく分からないなという読後感でした。

編集長のコメント
42『勇ましきヘッポコとその仲間たち』真田大二朗

RPGの世界観で、マジな冒険譚ではなく、コメディ寄りにふった作風。キャラクター自体は、クスリとさせてくれるおかしさをそれぞれ持っていて、楽しく読みやすい作品でした。ただ、小ネタの連続で続けるにはちょっと話が長すぎる印象なのと、主要3人の冒険者の中で、突出したインパクトのあるキャラクターがいなかったので、作品自体の印象も薄くなってしまっていてもったいないなと思いました。

編集長のコメント
43『RPG×BASEBALL』広田輪吉

野球の世界観をパロディにして作る冒険世界。これ、ワンアイデアとしては本当によく出来ています。球団ならぬ救団に入って、魔王を倒しに行くという言葉遊びも秀逸です。キャラクターの絵が上手ですが、アクションの絵がもう少し上手ければ良かったのになぁと思いました。あと、画面がちょっと白いです。でもそのアイデア力を生かして、次もチャレンジしてみて下さい。

編集長のコメント
44『結婚してくれ!まもるちゃん』魚虎雅

キャラクター自体の面白さもさることながら、いちいち感情の表現がエキセントリックというか極端で、そこが面白いなぁ、独特だなぁと思って読ませていただきました。まだキャラクターの絵が「よれる」というか、線が安定していないので、丁寧に描くことを心掛けて画力アップに挑戦してください。漫画的な表現という点では、優れたセンスを持っていますので。

編集長のコメント
45『月華のワルツ』雪森零

戦乱の世を治めるために、世間を知らないまま城から他国へお輿入れする姫と、通りすがりの「空飛ぶ郵便屋」の少年の交流。『ローマの休日』みたいな、1日だけの少年・少女の恋模様のようなものが、とても美しく描かれていて、胸が痛みました。絵がもう1段階洗練されれば、というのと、どうしても読者が女性しかいないような物語なのがネックですが、力は十分に感じられる作品でした。

編集長のコメント
46『夢のオルガ』『魔力大戦』坪谷晃

前者は夢をテーマに描かれていて、後者はシンプルなロボット戦闘を描いた作品です。どちらの作品にも共通して言えるのは、世界観の説明が少し足りなさすぎな部分。特徴のあるキャラクターなどが出て来て楽しく読めるところもあるのですが、世界観の説明を文章の殴り書きで終わらせてしまい、結局何が起きているのかが分かりづらいです。次回では読者を意識して描くことを心掛けてください。

編集長のコメント
47『Q』『竜人の踊り』『LittlePoe』鈴木潤

それぞれ天才科学者、山神さま、腕利き探偵、とキャラクターをもっと前面に出した作品に出来たはずですが、エピソード中心になってしまっていて、そこが物足りないです。絵柄や表現に独特なものがあり、コミカルさが最初から備わっているので、あとはキャラクターでインパクトを作る事を心掛けてください。

編集長のコメント
48『桃太郎伝説―前夜―』森正樹(ネーム原作)

作品の着想はとても良いなと思います。浦島太郎が玉手箱で爺さんになってしまってから、立ち直るまでの過程に着目するのは、アイデアとして新鮮です。キャラクターの心情も良く描けていると思います。さらに桃太郎のお話にうまくつなげたかったのでしょうが、そこは「つなげただけ」で終わっているのは残念ですね。

編集長のコメント
49『侵略者 キャプテン・パッチ』木村修平(ネーム原作)

いじめられっ子の主人公が、宇宙人に救われたところから始まるストーリー。とても読みやすく、テーマがはっきりしている物語という感じがしました。漫画として見るならば、「いじめ」とは何か、に議論が終始して、ストーリーの展開に乏しいのが残念なポイント。会話のシーンが多すぎます。ラストは意表を突かれた解決でしたが、それでいいのか?と半信半疑な読後感も残りました。

編集長のコメント
50『レンタル彼女』矢野勝也(ネーム原作)

彼女がいた事のない男のところへ、彼女をお試しで送り込む制度「レンタル彼女」。設定も面白いし、彼女の正体を突き詰めたいというストーリーも王道ながら読ませる力があります。ただ、本当に女の子に惚れる瞬間はどういう時か、とか、少しエッチな展開になるくだり、とか、もっと色々盛り込めたはずだと思うので、少し展開に物足りなさは感じました。

編集長のコメント
51『異世界転生』後藤匡成(ネーム原作)

発想が面白いなと思います。「根」の中で眠る事で、自分の夢の中で現実を見ずに生きることが出来るという悪魔のシステム。主人公はその誘惑から逃れられるか?というお話ですが、どっちに転ぶか最後まで分からない構成の仕方は上手かったですね。ネーム自体がちょっと雑すぎて、世界観やクリーチャーのデザインなどがあまりにあやふやなのはマイナス点です。ネーム原作は漫画家に渡してイメージしてもらうものなので、もう少し丁寧に描くように心がけてください。

編集長のコメント
52『ゴールデンコンビ』平林泰直(ネーム原作)

足と心に障害を持っている主人公と、その主人公が見出した気弱なデカ男。心の強さを二人で手に入れる、王道少年漫画としてはしっかりまとまっています。キャラクターもよく動くし、読みやすかったです。あとは、サッカー漫画の切り口としての斬新さがほしかったです。クロスボールの使い手とヘディングの使い手が揃えば、サッカーとして何が強いのかを教えてほしかったです。

編集長のコメント
53『アンダーワールド』小林健太郎(ネーム原作)

スマホゲームの世界に入ったら、そこは現実とリンクしたデスゲームの空間だったという設定。こういった設定でキーになるのは、出来る限り関係者同士でゲームをさせるという事。人間関係と対戦がうまく絡ませられるかどうかが成否を分けます。この作品だと、殺される母親の存在が効いてますが、敵自体はただの殺人狂なので、そこが少し物足りないです。あと、そもそも母親がなぜゲームに参加していたのかという謎が未解決なのは残念です。

編集長のコメント
54『百鬼現世』『オホドク』ジュージ・ワン(ネーム原作)

前者は東京に鬼の大群が上陸してくるというなか、バンドを目指している少年の想いを追うお話ですが、こちらは焦点が絞り切れておらず、鬼の脅威がどれほどなのかという点がしっかり描かれていないのが欠点です。一方、後者の作品は、ミステリーとしてきちんと構成されていて、謎解きの過程も予想外の展開で面白かったです。ただ、父親が娘を殺す理由やエピソードが弱いので、なぜこんなことになってるんだろうという疑問はついてまわりました。

編集長のコメント
55『アマービレ』『来理愛』坪谷晃

勢いがあって良いのですが、内容がシュールすぎるのと、主人公の魅力が伝わるほどの尺がないので、評価が難しいところです。キャラクターの魅力を出し切るまでは描いてほしいなと思います。

編集長のコメント
56『鳥』HEVY(ネーム原作)

体操の日本代表選考会で鉄棒落下したことがトラウマになっている主人公。その主人公が内村の演技を見て勇気づけられるお話。設定だけで、予想外の展開とかにならないので読み応えはあまりないです。一方で、鉄棒しているシーンなどの描き方が、はっとさせられる構図や見せ方が出来ているので、ネーム原作よりも絵で勝負する漫画を描いてもらった方が良い気がします。

編集長のコメント
57『D―HEARTレーサー昴』富田光(ネーム原作)

SF世界、ファンタジー世界で架空のスポーツ競技を作って対戦する企画が、応募作品の中に時々あるのですが、まず勝利条件や勝負の機微が読者側に体験的に分からないので、非常に読者にとってハードルの高い企画になってしまいます。この企画もそういうデメリットを背負っていて、それを跳ねのけるには、相当良質な人間ドラマを代わりに提示できないといけないのですが、その点がまだ物足りません。キャラクターはとても生き生きと動いているので、世界観の説明があまり必要ないようなジャンルを描いたほうが良いかと思います。

編集長のコメント
58『HERO』岡慎吾(ネーム原作)

ヒーロー願望のある主人公が異世界へ転生して魔物と戦うヒーローとなるお話。お話自体は最近流行のジャンルで、さくさくと読めました。武器や戦いのギミックや、ヒロインとのラブストーリーなど、どこかにこだわりが見える作品になれば、もっと良くなったと思います。あと、展開として「たまたま」が重なりすぎているので、主人公がヒーローとして選ばれた理由をきちんと考えて書いてほしいです。

編集長のコメント
59『椎名真佑子は倒れない』澤井宏一(ネーム原作)

発想は良かったです。「足腰強化部」という発想と「中国武術」の精神論などがとても楽しく読めました。部活を壊しに来る不良との戦いは、正直、展開としては面白くないので、もっと足腰強化の薀蓄が深まっていく方に、話の展開をもっていってくれた方が良かったです。椎名さんのキャラも良し。

編集長のコメント
60『猫一族』佐々木優子(ネーム原作)

猫漫画。この世にはたくさんの猫漫画があるので、どこで差別化をはかるかが重要です。この漫画の猫は、しゃべれる猫、という特徴だけで、あとは作品内のイベントが淡々とこなしていくだけなので、少し企画的に弱いかなと思います。猫は十分可愛かったですが。ただ、ネームを見てる限り、作者はとても絵がうまいので、ネームで応募するのではなく、自分で漫画にしてしまった方が絶対良いと思いました。

編集長のコメント
61『成写師』浜砂高未千(ネーム原作)

霊が成仏するための卒業写真を撮る仕事「成写師」。この職業設定はとても面白かったです。ストーリーは感動的に出来てはいるのですが、少しひねりが足りないです。可哀想な少年が心の清いヒロインに救われるという1直線のストーリーでは読者は物足りない。なぜ成写師という仕事が必要なのか、もしなければどんな悪いことが起きてしまうのか、そういったバッドエンド条件も考えてお話作りをしてみてください。うまく行くことが分かっているお話ほどつまらないものはないです。

編集長のコメント
62『トラウマンチ』北野卓也(ネーム原作)

闇に落ちてしまった女子高生の内面の苦悩を具現化した物語。ひたすら暗い方向に突き進んでいきますが、「死春期」などのワードに象徴される世界観は、ちょっとドキドキさせられました。ただ、この世界観とヴァンパイアの組み合わせがあまりピンとこなかったですし、ヴァンパイアが果たしている役割もあやふやだったのが残念です。

編集長のコメント
63『鬼と少年』増渕司(ネーム原作)

人を襲う鬼と、鬼を体に宿して鬼を退治する少年。シンプルでカッコいい設定で、キャラクターも人気が出そうな少年2人で良かったです。ただ作品自体の見せ場が、アクションシーンで占められているので、ネーム原作的に見ると、アイデアが多少不足している印象が強かったです。

編集長のコメント
64『赤い小鳥たち』ヨシノコユキ(ネーム原作)

精神病院の閉鎖病棟にいる人々たちの群像劇。目新しく、興味深い題材なので、企画としてはとても良いと思います。こういった企画の場合、一番重要なのはリアリティで、リアリティで読者を圧倒できるような作り方をしてほしいなと思います。その点、もう少し病院の仕組みや、患者たちのリアルを知りたかったな、とも思いました。

編集長のコメント
65『僕が生きる意味』石川芳季(ネーム原作)

自殺しようとした少年が、助けようとした少年と入れ替わってしまい、その後を生きる意味を探す物語。主人公が生きる意味を探してもがく気持ちが、丁寧に追われていて、とても真摯な作品だなと思いました。遺された母親や入れ替わった少年の彼女との向き合い方はとても良かったです。逆に、犯人の先生の描き方は動機も含めて疑問が残りました。誰か一人のキャラクターとの関係に絞って描いた方が、作品としての焦点はもう少しはっきりしたかなとも思いました。

編集長のコメント
66『メッタメタ』後藤匡成(ネーム原作)

忍者を倒しに行くヒロインのバトル物。作者のやりたいことは、読者のいる「こちら側」を巻き込んだメタなバトル手法で、アイデアとしてはなかなか面白かったです。「ページをぶち抜くパンチ」とかね。ただ、ネーム原作でこういった凝った手法の実験作をやっても、漫画家側に引き受け手はいないので、作画手法自体を売りにしたければ自分で挑戦してみてほしいです。

編集長のコメント
67『逆貯金女』岩瀬亮(ネーム原作)

恋愛物のネームとしてはよくまとまっています。ライバルが出てきたり、二人の間にトラブルが起きたりと、飽きさせない展開も込められています。ちょっと惜しいなと思ったのは、「逆貯金女」というアイデア自体があまりうまく使えていないなと思った点。ワードとしてはとても面白いのに、キャラクターの可笑しさにあまりつながっていませんでした。

編集長のコメント
68『ロボ研』長谷川敦(ネーム原作)

ロボット同士を戦わせる競技漫画。ロボットの説明は一通りしてあるのですが、ロボット同士の優劣、競技の勝敗を分けるキモの説明などがまだまだ不十分です。架空の競技を漫画で描く場合は、読者にその競技のリアリティを感じてもらえるレベルまでしっかりと説明をしてください。さらにもっと大事なのは、この漫画に出てくるロボットというものの魅力、どこがカッコよいのかが読者に伝わるようにしてください。

編集長のコメント
69『悪夢の放課後』桜井博巳(ネーム原作)

ぼっちな自分なんかに、学校の帰り道に話しかけてくれた女の子。その女の子が誘拐され、自分は刺されて意識不明の重傷。しかし夢の中から彼女を救うために命をかけて記憶をたどろうとする。少年漫画としてもサスペンスとしても、とてもドキドキさせてくれる良作です。事件を解決する手がかり・プロセスが少し簡単すぎたところが惜しいところで、もう一ひねり欲しかったですね。

編集長のコメント
70『テニス界にその名を轟かせる男?』伊沢昌樹(ネーム原作)

主人公のキャラクター自体は明るくてとても良いです。テニスも今やメジャースポーツなので、漫画の企画としてはウェルカムです。この作品の足りないところは、テニス自体の面白さの掘り下げが足りないところです。テニスの新たな魅力、あるいはテニスの新しい勝ち方、を自分で発明できるくらい知恵を絞ってください。あとは、主人公が中学時代2回戦負けの理由が、長々引っ張った割には普通なのがちょっと残念です。

編集長のコメント
71『ラブラジオ』中原嘉(ネーム原作)

企画としてはかなり面白かったですよ。読者(リスナー)からの恋愛相談に応えるラジオパーソナリティーという形式で、色んな面白ラブシチュエーションを見せてくれる。企画の焦点がよく絞れていて良かったです。あとはパーソナリティーの誰か一人が、特異なキャラを持っていてくれれば、さらに面白かったのですが。作品というよりは、雑誌のワンコーナーとして読んでみたい感じでした。

編集長のコメント
72『口裂け男あぐりさん』須川奏巳(ネーム原作)

怪異が棲みついてしまった呪われた場所=「廃墟」を管理する廃墟管理人の妖怪・口裂け男が主人公。妖怪のお仕事漫画という設定は、とても斬新で面白かったです。口裂け男のキャラクターも暗さが微塵もなくて楽しかったです。廃墟に棲みついた霊と鬼を退治する方法にもう少しアイデアがほしかったのと、棲みついていた霊たちの事情がもう少し知りたかったなという点が物足りなかったです。

編集長のコメント
73『ドラゴンの宝』亦中宏(ネーム原作)

古典的な中世ファンタジーの世界観にぶれがなく、読んでいて懐かしい感じがしました。ドラゴンと少女の交流は美しく描かれており、心温まるものがありました。ドラゴンと人間の決闘シーンが、かなり割愛されている点が残念で、もう少し大迫力のアクションシーンを組み込んでほしかったですね。

編集長のコメント
74『賢者の口』李ハンジン(ネーム原作)

1日5回願いを叶えてくれるスマホアプリ「賢者の口」、それと組み合わせた「賢者のポーカー」。ゲームシステムとしてはよく出来ていて面白かったです。少し話が長くなりすぎなのと、主人公たちが何をめぐって争っているのかが分かりづらかったのが難点ですかね。勝負事の漫画は、負けたらどうなるかというバッドエンド条件も、もう少し厳しいものを用意した方が盛り上がると思います。

編集長のコメント
75『オン ザ ビーチ!』平松よう(ネーム原作)

負け試合のトラウマから、そのスポーツが出来なくなってしまった選手の物語はよくあるモチーフですが、このお話は結論が面白かったです。主人公の自己中で試合に負けたことを、主人公自身が自覚して個人競技のスポーツに移行するというのは、独特ですね。ただその結論に対して読者として抵抗感がなかったのは、主人公の心理をよくえぐれていたからだと思います。ちょっとページが少なくて、スポーツ自体のアクション的な見せ場をうまく作れていないのが惜しい点です。

編集長のコメント
76『クレイジーガール』埜口亜希子(ネーム原作)

悪魔の心を持った女の子と周囲と1線を画すクールな主人公の、ちょっと変わったラブストーリー。二人とも良いキャラをしています。世間的には反抗的で非道徳的な態度の二人ですが、そこが二人を結び付けていくポイントになっています。こういう「特別な関係」を二人の間に築けることがラブストーリーのもっとも大事なポイントなので、この作り方を今後も続けてほしいと思います。ただ、もうちょっとシチュエーション的にドキドキするシーンは欲しかったかな。

編集長のコメント
77『アザレアの言葉』荒木裕哉(ネーム原作)

不登校の生徒、ネットでつながる恋愛、この恋が現実か非現実か不確かな気持ちの揺れみたいなものが、よく描けていたと思います。ただ、恋敵として出てくる少年とこの少年の関係性みたいなのが、深いのか浅いのかがよく分からないので、どれだけ深刻な事態が起きているのが掴みづらかったです。恋愛物は人間関係が大事ですので、登場人物同士のバックボーンがもう少し分かるように描いてほしいです。

編集長のコメント
78『OOPARTS―古代文明の遺産―』葵みつき(ネーム原作)

古代文明の遺産を探す探検家の物語で、「竜宮城」が題材。こういった作品はやはりロマンがあって引き込まれますね。竜宮城をめぐる探検は、展開にとてもワクワクして楽しく読めました。ただし、この作品のキモになるのは「浦島太郎」の物語の真解釈みたいな部分だと思います。なぜ善行をしただけの浦島太郎が、お爺さんになってしまわないといけなかったのか、そこに対する作中の答えが物足りなかったですね。

編集長のコメント
79『時を守る少年』今村陸人(ネーム原作)

街の中心にある大きな時計台。この町にある唯一の時計を、毎日守っている少年のお話。独特の世界観に魅かれました。コツコツと毎日毎日変わらない日常を、町の人のために送っている少年の生き方に、感銘を受ける作品です。腕時計を配りにくる商人との争いが、中盤から始まりますが、ここの描き方次第ではもっと良くなったかなと思います。主人公が本当に守りたかったものは、「正確な時間」以上に何だったのか?そこをもっと明確に示せるような描き方をしてほしかったです。

編集長のコメント
80『冬のひまわり』森正樹(ネーム原作)

恋人が出来た瞬間、彼女を事故で失ってしまった主人公。喪失と癒しを丁寧に描いていて、泣ける作品に仕上がっています。彼女のキャラも主人公も、とても好感が持てて良かったです。ただこの内容で60ページオーバーはさすがに多すぎます。感動的な演出のためにある程度ページ数が必要かもしれませんが、それでも32ページくらいでまとめられたはずだと思います。ページを切って、ネームを作る癖もつけてみてください。

編集長のコメント
81『Ares』山上浩平(ネーム原作)

体感型ソーシャルゲーム「Ares」の達人だった少年は、両親が亡くなってからゲームへの参加を取りやめていたが‥‥。ゲームシステムについてのアイデアだったり、主人公のキャラクターだったりは、とても面白かったです。ゲーム自体に特化したバトルものにするのか、それとも主人公と両親との関係にスクープした人間ドラマも盛り込むのか、そのあたりが中途半端でどっちつかずになっている印象があるのが、惜しかったです。

編集長のコメント
82『ワンオーバー』なかばさとる(ネーム原作)

クリケットの漫画。世界で2番目に競技人口が多いと言われるスポーツですが、日本ではマイナーです。それがどんなスポーツかを見せる、という点ではとても分かりやすく説明的に描くことが出来ていました。ただ、野球で挫折した主人公がクリケットで再生するという筋描きで、その立ち直りを描くことに集中しすぎていて、クリケット自体の魅力がここ!という部分をピックアップし忘れている感じはします。主人公がこのスポーツに感じる魅力を、野球とは別途にきちんと設定できれば、もっと良かったと思います。

編集長のコメント
83『4月1日の透明人間』松本龍樹(ネーム原作)

かなり面白かったです。透明人間になってしまった主人公と、その原因となる人間、さらにそこから被害を受けた人間へと、少しずつ人間関係を広げていく見せ方がすごく上手いと思いました。連載向きの描き方ですね。話自体がまだ完結しておらず、誰も犠牲になっていないし、かといって決着もつかないまま終わってしまって残念です。真犯人との対決まで読みたかったですね。

編集長のコメント
 

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