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2018年02月26日

第39回 新人漫画賞 グランドチャレンジ 全作品編集長コメント

第39回月マガ新人漫画賞 グランドチャレンジ 編集長のコメント

※敬称略 ※順不同です。このナンバリングは評価の上下を表すものではありません。

  

奨励賞以上の受賞作品

  

1★漫画部門 特別奨励賞『PINCHITTER』久本卓

野球というジャンルは人気ジャンルで、やり方もいろいろやり尽くされている感があるのですが、作者のアイデア1発で新たな切り口を見せてくれたことを評価したいです。構成がとても秀逸で、最後に主人公が前向きになったところで、タイムリープが終了するところに、けっして野球というスポーツだけではなく「人生」を描くんだ、という作者の気概が感じられて良かったです。

編集長のコメント
2★漫画部門 奨励賞『痛ミガ分カラナイ少年』笹岡息吹

設定はとても残酷なんですが描写は決して残酷には見せない。むしろ描写に頼らないからこそ起きている事の異常さがよく伝わる。漫画として非常に優れた見せ方が出来ていると思います。まだまだ画力は発展途上ですので、作品としての魅力を保ったまま、絵の習練に励んでください。

編集長のコメント
3★漫画部門 奨励賞『Flying Dutchman』池間潮

独特な画風ですが、画力自体は非常に高いと思います。バイクのアクションシーンなどは、新人で描きこなせる人は昨今なかなかいませんので、作者の武器になると思います。擬人化された鳥のライダーと、しゃべれるバイクというコンビの間の友情も熱いです。ただ、キャラクターや世界観にオリジナリティがありすぎるのがネックで、作品がとっつきにくすぎるのが残念です。この作品で作者の実力は伝わりますが、人間同士のバイクレースを描いて、読者の間口を広くしたものも次は見てみたいです。

編集長のコメント
4★漫画部門 奨励賞『DEATH HERO』戸賀環

ストーリーや設定はわりとよくあるもので、突出したアイデアは感じませんでしたが、死神の男の子二人の会話劇やキャラクターの絡みが上手だなと思いました。これが上手いと、バトルファンタジーに限らずたとえば学園物、スポーツ漫画、友情物などは期待できます。少年キャラの絵に瑞々しさというか、色気があって、これは作者の武器だなと思いました。

編集長のコメント
5★漫画部門 奨励賞『課金少女ひなみ』高岸かも

課金少女、というフレーズがキャッチーですね。絵も、特に女の子を可愛く描く力は非常に高いです。アイテムと引き換えでお金がかかるというシンプルな課金システムに、もう少しひねりがあれば、もっと面白く出来たかなと思います。課金少女の数を増やすことで連載していけそうな企画ですね。

編集長のコメント
6★漫画部門 奨励賞『やまとのうたうた』北鴨綾音

毎回応募してくれる投稿者の方ですが、今回は前回までと違って、一つ殻を破った感があります。まず読みやすさが飛躍的に上がりました。大ゴマを効果的に使えるようになったことが良かったです。それから設定に、「受験」という現実的なものを持ってきたのも良かったと思います。100%ファンタジーでチャレンジすると、説明不足で話が分からなかった前作までの欠点をうまく克服したと思います。

編集長のコメント
7★漫画部門 奨励賞『ENISHI』佐倉光

テーマをしっかりと掘り下げて感動につなげる力や、セリフのキレなどは非常に優れています。漫画に必要な画力も、キャラクターの表情などについては向上してきています。ただ掲載レベルに比べると、背景や画面の密度・華やかさなどがまだまだ足らないです。画面全体で見てどんな絵を描くのかを、そろそろイメージとして持ってもらいたいです。

編集長のコメント
8★漫画部門 奨励賞『正義のヒーロー アキラ』青トキエ

ヒーローはお金を稼ぐためには戦わなくてはいけない。怪獣はいずれ理性を失って人を襲う習性がある。自分ではどうしようもない運命に抗おうとしている少年と少女を、しっかり描いてテーマを消化出来ているところが良いです。街が破壊される様子などの描写に力があり、演出もかっこいいので、このまま伸びていってほしいです。

編集長のコメント
9★漫画部門 奨励賞『ゼロワン』蕃茄ハイチ

ネット世界を舞台にしたSFで、キャラクターたちが魅力的です。作者の方は、いつもものすごく凝った世界観やオリジナルな設定を作ってくれて、それ自体は面白いのですが、絵にした時にそれが「そこそこ」の見映えになってしまっているのが、評価がいまいち上がらない理由です。ハードSFというのは最高の絵が必要とされてしまいます。よってこの路線で行きたければ、絵を誰も見た事ないクオリティに引き上げるしかないかもしれません。

編集長のコメント
10★漫画部門 奨励賞『彼女がパンツはいてくれない件について。』みなみかわ

彼氏と彼女のいちゃいちゃ感が良く出ているとか、女の子のキャラが面白いとか、褒める所はいっぱいありますが、応募作の中で一番ドキドキさせてくれたのは間違いありません。これからも変でカワイイ女の子をたくさん描いてほしいですね。

編集長のコメント
11★漫画部門 奨励賞『マルタのDD』芽瑠藻

女の子がすごく可愛く描けますし、少年漫画らしい主人公もちゃんと描けています。でも一番良かったのは、異世界のお姫様がダイエットして聖なる法衣を着こなすため、現代のボクシングジムに転生してくるという個性的な発想の設定。これだけで受賞資格あると思います。これからも面白い切り口の作品を生み出していってほしいです。

編集長のコメント
12★漫画部門 奨励賞『ハコビヤ』松下賢吾

絵に伸び代をすごく感じますし、構図やセリフも含めてカッコ良さを追求しようとしているのがよく伝わります。キャラクターの魅力や、ストーリーがどうすればしっかりと読者に伝わるかという部分は、これから勉強してくれればと思います。

編集長のコメント

  

ショート漫画部門

  

1★ショート漫画部門 奨励賞『すうはいかみさま』福毛萌

アキバ文化の中心地に、何百年ぶりかに復活した幼女の恰好をした神様。アイデアと絵の可愛さで、読者をつかむキャッチーさがあります。ただ、エピソードだったり展開だったりは、ありがちな感じもします。そんななか、3話目は、アキバ系の要素を抜きにしても感動を描くことができるんだなと感じさせてくれて特に良かったです。

編集長のコメント
 

  

最終選考まで残ったが惜しくも受賞は逃した作品

  

1『『Blood Victim』丸山瑚乃美

血液の化け物とブラコンの妹。設定やキャラクターは個性があって面白かったです。展開もきちんと作れています。マイナスは、画面を多少読みやすく整理してほしいのと、絵自体を雑に描きすぎているので、少し丁寧に描いてほしいです。

編集長のコメント
2『落し者』紀田有

「金の斧、銀の斧」の寓話の裏側、物を落とされた池の側を描写するという逆転の切り口。これ自体は特殊なアイデアではないですが、そこから物を落とした人間の隠された事情まで広げたのは、ストーリーテラーとして優秀だなと感じました。絵と演出が淡白なのがちょっと惜しくて、もっとこの話なら読者を泣かせる事が出来るはずと感じました。

編集長のコメント
3『風雷封神』杉山今日子

派手な設定と華やかなバトルアクションに学園ラブコメ的なノリも加わり、すごく楽しい作品に仕上がっていますが、画面が白いのがとても残念です。内容と言うよりはノリが楽しい作品なので、絵をもっとキャッチーに仕上げないと、魅力が半減します。気をつけましょう。

編集長のコメント
4『ウインダム』安田智哉

設定がしっかりしているのが良いですね。飛行機乗りになるという夢を叶えるには、何が必要なのかという「時代の制約」を前提にして、ストーリーを作っているのが特に良いです。絵柄が個性的ですが、少し誇張気味なダイレクトな感情演出と絵柄が合っていて良いと思います。主題が地味ではあるので、少年漫画向きかどうかは疑問が残りますが、味のある作品だと思います。

編集長のコメント
5『BLUE・SPLING』桔梗

ストーリー自体は、よくある青春物のひな形でしかないのですが、リアルな曲名を出したりして、青春の現在進行中な空気感を作るのが上手かったです。絵的には一番センスの出る「キャラの顔、表情」が上手く描けているので、他の部分については練習を重ねて伸びるはず。

編集長のコメント
6『画家の記憶』メゾン高見沢也

美しすぎる画家の青年に魅入られてしまった男の人生を描く作品。暗くて耽美な世界観で、少年漫画の新人賞の中に入ると異彩を放ってはいるのですが、設定自体はわりと見かけるものかなと思います。そうすると絵的な個性が欲しいのですが、その点が淡々と地味で、見映えが少し厳しいかなと感じました。

編集長のコメント
7『無題』新羽隆秀

画力の高さ、描き込みの密度、演出のカッコ良さなど、良いところがたくさんある作品で、作者の実力は高く評価します。ただ、連載作品の1話目の途中みたいな終わり方で、キャラ紹介だけで終わっています。しっかりキャラの背景やエピソードを消化して、1話作り上げてもらえれば、受賞までいけたかもしれませんね。

編集長のコメント
8『My Dad』松浦翔

アメコミのヒーロー物パロディとして、にやにやして読むことも出来ますが、父娘二人だけの家庭のホームドラマとして良く出来ていると思います。特に会話シーンの二人の表情の付け方や間の取り方などがうまいので、場面転換がなくてもシーンがもつのがすごいなと思います。絵は下手ではなく、「雑」なので、丁寧に描くようにしてください。

編集長のコメント
9『愛はときはいろ』藤川与夢

ヒロインのお母さんの死と、それをめぐる娘と主人公の気持ちの描写がうまく出来ています。キャラクターのセリフにも血が通っている感じがします。ただ、演出や絵の描き方などは、既存の作品の影響が濃く出すぎていて、どこかで見たような漫画に見えてしまいます。ここから絵的にもストーリー的にもオリジナリティを出せるかどうかが受賞できるかどうかの一つのハードルになるかと思います。

編集長のコメント
10『壁ドン先輩』ころねり

キャラクターの「訴訟・・」の一言が、あまりにも唐突すぎて面白かったのと、壁ドンと見せかけて、背後にいる悪霊を倒そうとしていたというオチに意外性があって良かったです。それが結局、恋愛展開にもつながったところは唸らされました。

編集長のコメント

  

その他の応募作品

  

1『黎明事件-星がふる夜に―』(ネーム原作)ラムカナ

探偵物で事件の犯人を当てるオーソドックスな内容。犯人が複数の人格を持っている事が事件の原因という結末は、あまりにも使い古されたパターンなので、そこに新たなアイデアを加えないと通用しないかと思います。

編集長のコメント
2『VICTORY HAWK』(ネーム原作)初鹿野匡

閉鎖された空間で行われる、生徒同士のデスゲーム漫画。キャラクターを犯した犯罪の種類で一人一人キャラづけしているのは、ワクワクしました。一方、刑期を賭けたデスゲームのシステム自体にあまり工夫がない、地味な印象だったのが惜しい点です。こういうジャンルに引き続き挑戦するのであれば、ゲーム自体が面白くなるように頑張ってみてください。

編集長のコメント
3『辞典と理科部の実験室』(ネーム原作)石田彩香

ちょっと変わった部長のキャラクターと、ヒロインのおかしなテンションが漫画的で良かったです。最初の綿菓子作りから理科の問題を出題する流れは良かったですが、その次あたりからは、知識の羅列を読まされているような印象になってしまっています。こういう漫画は会話だけだと読む方は辛いので、もうちょっと絵的に楽しめる要素を混ぜながら、お話を構成するようにしてください。

編集長のコメント
4『ポリュドトロースの悲哀』(ネーム原作)祥葉健人

世界観・設定がかなり分かりづらかったです。三魔人と大魔法使いの血を継ぐ娘の戦いというのは伝わるのですが、魔人同士の関係性が説明不足で、よく分からなかったです。そこの設定が一番個性的で面白そうだったので、残念です。

編集長のコメント
5『この世で一番悪い奴』(ネーム原作)

主人公の新米警官のイカれた考え方はとても面白かったです。この作品にちょっとだけ足りなかったのはリアリティです。釈放されたばかりの元殺人犯が、事件の遺族の隣に引っ越してくるというのはちょっとありえなくて、その時点でストーリーに対する興味が少し削がれます。お話のリアリティが強固になればなるほど、この主人公の狂気は輝くと思います。

編集長のコメント
6『銀色の旅』(ネーム原作)流良戒

世界観が分かりやすいSFファンタジーで、とても読みやすいです。ただ読む側からしてみると、もっとバルトシーンを増やして、宇宙船「銀龍」だったり、戦闘機「山嵐」のスペックや戦闘力を、もっと楽しみたかったのです。そこが具体性に欠けてしまっているのが残念です。

編集長のコメント
7『キツネの影』(ネーム原作)弘

復讐に来た狐の子供、と見せかけて、本当は狐の恩返しだったという構成の作品。何となく、先が読める作品ではありましたが、演出力が高いからか、ずっと緊張感を保てていたのがすごいなと思いました。ただ、どうやって恩返ししたのかがよく分からなかった。どうして少年の命は助かったのか、狐のどういう力が発揮されたのか、そのあたりをちゃんと描いてほしかったです。

編集長のコメント
8『一朝の戦士』(ネーム原作)岡田祐典

ビビリの剣士が、村こぞっての盗賊退治依頼を断れず、嫌々戦いに出かける。この剣士が一皮むける理由に、もう少しひねりが欲しかったですね。ただ仲間がやられて、その怒りで力が発揮されるのであれば、ありがちすぎる展開だなと思います。

編集長のコメント
9『破邪鬼伝☆乱鬼』(ネーム原作)流良戒

ちょっと設定を盛り過ぎな印象です。鬼の階級と種類だけで、読んでる方は頭パンパンになります。そこに人魚まで出て来てしまったので、話を追うのがしんどかったです。一番面白いと思う設定に絞って、お話作りをしてほしかったです。

編集長のコメント
10『一縷屋』(ネーム原作)二階堂太郎

よく出来ていると思います。話としては、会った事のない二人の想いを一歩一歩近づけていくだけなのですが、話の着地点に予想がつかず、ミステリアスな雰囲気が常に漂っていて、ページをめくるモチベーションにつながります。戦争だったり、少女の置かれた環境だったりを、もう少しうまく使えれば、もっと意外な展開を組み込めたかもしれませんね。

編集長のコメント
11『悲しみのWere Wolf』中原望

感染性狼男、というワードは良いですね。ちょっとワクワクします。特殊な設定の面白さを読者に十分に伝えるには、現状ではちょっとページ数が足りな過ぎますね。狼男が正義に転ぶか、悪に転ぶかの見極めも、何が分水嶺なのか分かりづらかったですし。もうちょっとしっかりページを使って作ってほしかったです。

編集長のコメント
12『SIN-BREAK』(ネーム原作)名無し

前世からの罪が刻印として現れる「罪印」という設定は、使いようによってはすごく面白いです。現状、差別の象徴としてしか描かれていませんが、これを前世の自分のキャラクターの能力とリンクしてうまく使えるようになれば、バトルファンタジーとして広がりが出ると思います。添付されていた絵も悪くないので、ネームを改稿のうえ、自分で描き上げてみるのも良いと思います。

編集長のコメント
13『ユメを見る』(ネーム原作)石川陽康

他人の記憶を改竄することが出来る薬を手に入れた少年。その結果、自分が一切変わることなく、スクールカーストの頂点に立つことが出来た。しかしその副作用で‥‥。現実を改竄していくことで、何が現実か分からなくなっていく主人公の描写が絶妙で、ストーリーに緊張感がありました。この話はバッドエンドへ向かうしかないので、他人に描いてもらってエンタメとして作り上げるのは難しいですが、作品としては優れていたと思います。

編集長のコメント
14『仮面リア充達の学園戦闘日誌』『フレンドサーチ』(ネーム原作)雨乞猫

両作品に共通して言えることなのですが、設定にかなり古さを感じます。イケメンと美少女がオタクであることを学校で隠している、アイドルをやっている事を学校で隠している、そういった設定自体はかなり使い古されたもので、ネーム原作ならなおさら、もうちょっと新鮮な切り口が必要になってきます。何かがバレないように四苦八苦するキャラクターというのは王道で笑えますので、その「何か」の部分に新しいアイデアが出るように期待します。

編集長のコメント
15『ポラリスの瞳』『ワンダーラビット』(ネーム原作)こづみ

『ポラリスの瞳』は、デス・ウイルスが「視える」能力を移植された人工生体の主人公が、育ててくれた恩人のためにウイルスとの戦いに挑む話。序盤の設定説明が読みやすく、かつワクワクさせてくれるものだったのですが、話が進むにつれてありがちな感動系のストーリー展開優先になってしまったのが、ちょっと残念です。火力が人間には影響しないというのも、よく分からない中途半端な設定だなと感じました。『ワンダーラビット』は、独特の世界観と少年漫画らしい夢と希望が詰まったストーリーで非常に良かったです。主人公は最高でした。もう少し動物ごとのスペックみたいなところが活かせることが出来れば、原作としてアリだなと思いました。

編集長のコメント
16『青春喰者』(ネーム原作)近藤大樹

このコンビ、キャラクターがどっちも立っていて、素晴らしいなと思いました。青春を喰うという発想も面白いです。リストカットの女の子の家庭の事情に踏み込んでからのお話が少しありきたりな展開になってしまっているので、そこにもう1アイデア加えてほしかったなと思います。

編集長のコメント
17『シビトヒメ』(ネーム原作)初鹿野匡

少しずつゾンビ化していく人間を見捨てられずに、共に旅をする話と言うのは、ゾンビ物によく出てくる展開なので、ストーリー自体は珍しいものではありません。もう少し話の中に、この戦士と王国への想いや王や王妃との関係などを、ふんだんに織り交ぜてみても良かったかもしれません。ただ、演出力が高いのだと思いますが、淡々としたコマ割りやセリフ回しが逆に物語に緊張感を与えていて、読者を引き込む力は高かったです。

編集長のコメント
18『AIR-REAL!!』(ネーム原作)後藤稔貴

面白かったです。架空の戦闘ゲーム「エアリアル」も分かりやすかったですし、ヒロインの病んだ性格も、キャラとしては良かったです。ただ、ストーリーが進んでいっても、ヒロインの女の子にまったく共感できなかったのも事実です。彼女の闇に同情する余地がほとんどない作りになっていたため、読者としてはのめり込みづらかったです。

編集長のコメント
19『TITAN』(ネーム原作)秋乃克行

巨大なロボットと怪物が、とにかく巨大なスケールで戦う、ひたすら読んでて気持ちいい漫画でした。正義のロボットをまっすぐ応援する人々に、自分も参加しながら読んでいる感じがしました。ただ、これを漫画にするには非常に高い画力が必要とされるので、ネーム原作としては漫画家頼みの部分が大きすぎるなと感じました。

編集長のコメント
20『Good-by,the past』(ネーム原作)柄澤和尭

漫画としては、良くも悪くもまとまっているな、という印象です。読みやすいですし、設定の説明も非常にうまくこなします。設定やキャラクター、そして被害者のエピソードにはどこか既視感を抱きます。すべてに個性を出せとは言いませんが、どれか一つくらいは自分なりの変わった発想・アイデアを込めてほしいと感じました。

編集長のコメント
21『mato-』(ネーム原作)香園良太

「魔刀」の設定、かなり面白かったです。彼の持ち主である少年のキャラクターも、熱くて少年漫画らしさがあって良かったです。「時間を斬る」という必殺技もカッコ良かったです。1ページ目から魔刀のモノローグをずっと入れる手法をとっていますが、もちろん発想としては良いのですが、ちょっと長すぎて途中で飽きがきます。そこさえクリアできれば、受賞までいけた作品ではないかと思います。。

編集長のコメント
22『ひと夏の思い出』佐々木愛梨

絵を描く事が大好きな少年が、親の理解を得られずに勉強しろと追い詰められて‥‥。物語自体は、「青春物ではよくあるお話」以上ではなかったのですが、後半に入ったあたりから、主人公の気持ちを描写する作者の力が一段も二段も上がっていくような印象を受けました。展開としては、リアルな青春物として読んでいたのに、最後急にファンタジーな設定が出てきたのが唐突過ぎて、感想としては悪い方向に驚かされました。もう少し伏線を入れるなりした方が良かったですね。

編集長のコメント
23『赤ずきん』関根俊介

ヒロインと、その側にいる男の子。そしてヒロインの親の仇。たった3人の登場人物で、非常に濃いドラマを構築していて、素晴らしいと思います。セリフのキレも良く、「あなたを疑ったんじゃない、ミカを信じたの」という言葉は、とても印象深かったです。あとは画力ですが、絵自体は拙くとも「描きたい絵がある」コマ割りや構図に挑戦しているので、これからどんどん伸びてくれると思ってます。

編集長のコメント
24『Solve et Coagula』小倉隆司

何度か読み返してみたのですが、設定が難解すぎて完全には理解が及びませんでした。ハードな設定のSFやファンタジーは、文章メインで説明しようとすると、読者からは敬遠されがちです。難解な設定を文字で連ねるよりも、それを視覚化したときの1発のインパクトで勝負できるように、画力を磨いてみてください。

編集長のコメント
25『H3』上森裕文

風紀委員のスカートの中を逆襲でのぞいてやる、という男子生徒の目標設定や、典型的なアメリカ人の風貌をした生徒キャラたちなど、笑いを取りに行く方法が少し見慣れたものになってしまっているなと思います。もっと自分なりの笑わせ方を生み出す方向でチャレンジしてほしいです。

編集長のコメント
26『戦闘SEXマシーン☆ボッキィィーン♡』和田晃

下ネタなのかエログロなのか、それともSFなのか、画面が黒すぎてはっきり分からなかったです。世界観も大事ですが、まずは主人公などのキャラクターが、しっかり分かるように描くことが漫画にとっては大事です。

編集長のコメント
27『新聞部の危機!!』神代迅

ある部活が廃部にされそうになって、その事態を主人公たちでどう挽回していくか、というのは、学園物では王道のストーリーです。あえてそこで真面目な展開を作らず、部員のキャラのおかしさだけを強調するやり方で描いたのは、作者の作風には合っていたと思います。画力がまだ低いので、部員一人一人を絵的に可愛く描けるようになれば、評価は上がると思います。

編集長のコメント
28『ちもねこプロローグ~オナラの王子様~』ぽんず

この猫(らしき)キャラクターが見た目的に可愛いかどうかは、人それぞれの感想になると思います。ただ、キャラクターとして見た時には、少しページが少なすぎて、魅力が掘り下げられてない印象です。ヒロインの顔を描かないというやり方を使って、「ちもねこ」が目立つように工夫しているのは面白いですが、それをやっても主役の印象が薄いままです。もうちょっとページ数を描いてほしかったです。

編集長のコメント
29『トライアド』佐々木優香

基本がしっかりしている漫画でした。主人公のキャラクター、彼を支える周りのキャラクターがそれぞれの考えで動いていて、生き生きと映りました。主人公の抱える悩みが、何をきっかけに解決へと向かっていくか、という点では、もう少しアイデアが出せると良かったかなと思います。現状だと、友人との対話だけで何とか解決してしまうので、そこに何らかの事件を外から関係させてみたり、過去のライバルなどを登場させるなどして、もう一波乱起こせたりすると、良いかもしれません。

編集長のコメント
30『グーとフジマルの冒険譚』中野カンフー

読み終わってみると、おそらくコメディだったのかな、とようやく分かる感じの作品。テーマが「男性と女性」だったり、軍事的なモチーフの組織や人間がたくさん出てきたり、ネコがしゃべったりと、シリアスなのか笑っていいのか、読者としては反応を決めかねるようなところがあります。少年マガジンの新人賞投稿作品として見た場合、もっと少年漫画らしい分かりやすさを持ってほしいかなと思いました。

編集長のコメント
31『MIX FUT』都竹翔

フットサル、それも男女混成フットサル漫画。画力は結構高いです。ただ、やろうとしている事が多すぎてパンクしている印象です。フットサルというスポーツをアクション面でもちゃんと描こうとし、試合の面白さも伝えようとし、ヒロインと姉の関係も描いて、男の子が持病のせいでサッカーをあきらめた過去も描こうとしてます。このうち、何かに特化して描いたほうが、せっかくの画力を活かせるのではないかと思います。

編集長のコメント
32『戦場のDreamer』小口温子

話の展開を作る力や構成力がすごいな、と思いました。読者がこの漫画を楽しむのに、これ以上の設定やキャラクターはいらないというラインの見極めが出来ています。演出力も高くて、戦闘シーンのラストの見せ方はとても良かったです。あとは単純な画力を上げてもらえれば、良い作品がどんどん出来るのではないかと思っています。

編集長のコメント
33『Seekers』司馬戌湧

凄い画力だなと思います。特に遺跡の描写は、原稿をずっと眺めていても飽きないぐらいのクオリティです。鎖が垂れ下がった絵は圧巻でした。漫画としての弱点は、主人公たちが、遺跡の奥へ進んでいく際に、「この先には〇〇がある」とか「何があるか分からない」とか、読者になぜか予告するようにしながら進んでいくところです。読者としては緊急事態に対する身構えが出来てしまい、観光ツアーに連れていってもらっているような感覚で読んでしまい、怖さが半減してしまいます。こういうジャンルは、キャラクターに何かが起きると同時に、読者もそれを追体験できるように作ってほしいです。

編集長のコメント
34『チクタク』細井拓路

演劇とかミュージカルといった、舞台芸術のようなノリとハイテンションで描かれた作品。なかなか面白かったです。テーマ性が強く、抽象的な表現も多くて、目に楽しいページがある一方、何が起きているか全く分からないページもあります。絵自体は、下手ではないのですが、コマが密集しすぎていて見づらかったりするので、画面の整理には気を遣って描いてほしいです。

編集長のコメント
35『moon borns』奥村奎吾

主人公がどこからやってきて、何と戦う運命なのか、という設定の部分が説明不足で分からないのが、読んでいてちょっと辛かったです。ボールペンで殴り描いたような絵も、もう少し丁寧に描いてほしかったです。主人公の男の子のキャラクターがカッコ良かったので、なおさら残念です。

編集長のコメント
36『盗賊ネロと王家の鍵』藤崎明彦ラ

絵も上手ですし、盗賊二人のコンビのキャラクターも良いし、お姫様を救うという少年漫画らしい目的も良かったです。お姫様、可愛いですしね。だけど、一個一個の要素はどこかで使い古された設定の印象で、どこかに一つ、インパクトのある目新しいアイデアが欲しかったなと感じました。

編集長のコメント
37『ANECDOTE』佐々木佳次

絵がまだ拙いというのもあるのですが、キャラクターをデフォルメしすぎていて、敵も味方も区別がつきづらいところが欠点です。魔女の設定が敵としてかなり面白そうだったのと、魔女を倒すための武器や装備がかなりオリジナリティがあってカッコ良さそうだったので、画力を上げてから、またファンタジーに挑戦してほしいです。

編集長のコメント
38『夢双の拳』上浦未生

少年漫画らしい、夢を追うことの大切さを正面から力強く訴える作品で、読んでいて心洗われる感じがしました。魂だけになってしまっている侍の、戦国時代の主従エピソードがとても良くて、これを使ったことでテーマをすごく深められていると思います。絵自体がまだまだなのですが、「綺麗な絵」というより、アクションシーンやキャラの筋肉の描き方などで「重厚な絵」を描けている点は、少年漫画的に武器になるのではと思います。

編集長のコメント
39『ダルセーニョの臨終』新田実音人

甲冑の幽霊と臨終間際の父親の間に隠された秘密の関係を、徐々に明らかにしていくストーリーテリングがすごく達者でした。エピソード自体も感動的で良かったです。ストーリー面での弱点はほとんどないなので、あとは画力を上げてほしいです。キャラクターの主線が弱々しすぎて、せっかく力強いお話なのに、画面から伝わってくる迫力がなかったです。

編集長のコメント
40『Masked girl』黒猫

マスクを外したら嫌われるのではないかと、怯えるヒロインは可愛かったです。絵柄はシンプルですが、上手です。話のオチまでがストレートに進みすぎていて、展開にもうちょっとひねりがあると良かったです。

編集長のコメント
41『スーパーガールヘマ子!!』機雪侑

スーパーで働く女の子の波乱万丈なバイト生活をコミカルに描いた作品。エッジの効いたキャラクターと、ギャグに関してはとても良かったです。強盗がやってくるとか、展開のアイデアが多少ありがちだったのと、ヒロインの可愛さを絵的な面、性格の面、両面でもっと頑張ってほしかったと思います。

編集長のコメント
42『KANTARO』モリマサヒロ

読みやすいし、キャラクターの表情が生き生き描けているのは良かったです。ちょっとカメラワークが寄りすぎで、だいたいのコマが顔のアップになってしまっているのは気をつけてください。現代なのか未来なのか、それとも架空の世界なのか、世界観がまったく説明されていないので、読者的にのめり込みづらかったです。

編集長のコメント
43『フィギュリップ』原京平

原稿の絵が、ネームかと思うくらい、荒いです。もうちょっとしっかり線を描き、仕上げをいれましょう。ギャグとして見た場合、結構面白いのですが、話に抑揚がないというか、ここで笑わせるというポイントをもっとはっきりさせてメリハリをつけてほしかったです。ずーっと一定のテンションでギャグをやるので、途中で飽きてきます。

編集長のコメント
44『招かれざる乗客』田近俊士

ハードボイルドな世界観で、シリアスでカッコいいキャラクターが良かったです。主人公・レインズのバックボーンがもっと分かるように描ければ、さらにカッコ良さが増したと思います。濃い絵柄は特徴的で良いですが、アクションシーンが肝になる作品なので、画力自体はもっと磨いて上を目指してほしいです。

編集長のコメント
45『祓い屋』伊呂八

霊が見えてしまう男の子と、祓い屋の男の出会い。祓い屋の基本的な仕事・任務の内容を説明しただけで終わってしまっているのが残念です。赤い霊の女性のエピソードをもっと膨らませるとか、祓い屋の仕事をすることの危険な面も含めて、もっと色んな面を掘り下げて欲しかったです。

編集長のコメント
46『置き去りのダンディライオン』黒猫

誰からも必要とされない女の子のロボットが廃棄処分される間際のお話。テーマはよく分かりますし、キャラクターも良かったです。ただ、主人公に役割がないというか、常に受け身なので、どうしてこの男の子が女の子のロボットを救いたいと思ったかが、はっきり分かりません。彼の背景も含め、そこの理由が作れれば、もっと主人公が能動的に動けて、ワクワクするヒーロー物に出来たのではないかと思います。

編集長のコメント
47『モモいろ』夏野ばな菜太

最後の1ページのラストシーンが意味深ですね。あれを最後に出すのであれば、もうちょっとロボットの過去を知りたかったなと思います。ヒロインが、絵的にとても可愛く描けているのですが、もっとサービスシーンがあったり、主人公が恋に落ちるようなシチュエーションを、頑張って描いてほしかったです。こういう漫画にしては、ドキドキが足りなかったです。

編集長のコメント
48『白黒の竜』無鳴ナツ

99ページの大作です。ページのわりにはサクサク読めて、読みやすかった印象です。人間として失敗して死を選んだ主人公が、竜族に転生(?)して「生きる」ために何が大事かを改めて知るというストーリーはとても良かったです。画力がまだ拙くて、画面も白いです。ファンタジーには画力と画面の密度は必要なものですので、頑張ってどんどん描いて上手くなってください。

編集長のコメント
49『イチノマホウ』飛ケ谷ケンスケ

異世界に転生したケンカ屋のイチが、魔法使いの女の子を助けて戦う物語。イチのキャラクターがまっすぐで熱い、少年漫画らしい主人公で良いです。キャラの絵は良いのですが、バトルシーンのアクションがかなりぎこちないので、こういったバトルファンタジーを描きたければ、もうちょっとアクションシーンを研究して描いてみてください。

編集長のコメント
50『ケリセリオン』

ケリセリオン=ライオン+クモの架空の生物。キャラデザが不気味ですごく良かったです。動物同士を掛け合わせた架空の生物とハンターの戦いにしてしまえば、もっと何話も作れそうですね。バトルアクションも良かったです。キャラの絵に少し癖があって、描き分けがあまり上手くないのは改善していってほしいです。

編集長のコメント
51『この罪が消えるまで』下園克

肩に刻まれた数字の分だけ罪を先祖から受け継ぎ、その罪を減らそうと努力する女の子と、あきらめた主人公のお話。設定はとても面白いですし、肩の数字が作品のシンボルとして、カッコ良く映ります。二人のキャラも良かったです。数字が増えるとどんな事が起きるのか、数字が減るとどんな事が起きるのかというところを、お話の展開として作ってほしかったです。

編集長のコメント
52『灰色の狂人』(ネーム原作)松本龍樹

殺人鬼の主人公がお姫さまに近づいて、どんどん親密になりながら、殺人欲をその分高めていく過程が、ドキドキしながら読めました。ストーリーテリングが上手いなと感じました。この殺人鬼が、さあ、最後にこのお姫様をどうするのか、というのがアイデアの出しどころでしたが、情が移ったかのように、殺せなくなってしまって、結果自分を殺めようとするという展開は、少し平凡な気がしました。もっとこのキャラクターなりの結論が見たかったです。

編集長のコメント
53『チェンバーオブLOVE』(ネーム原作)モカヅマツモト

感情豊かでじゃじゃ馬なA.Iと主人公のコンビは見ていて楽しかったです。お話もちゃんと作ってはいるのですが、一見仲の悪いコンビが、戦いの中でお互い素直になって、また元通りという展開に、そんなに工夫が無かったなとも感じます。ネーム原作ならなおさら、もう少し展開にオリジナリティが欲しかったかなと思いました。

編集長のコメント
54『KOKONATSU Project』Raoul MAVOULOUQUE

島の野生児である主人公のキャラクターは、何でもありで面白かったです。ビジュアルが山下清みたいなのもウケます。画力がまだ拙いのと、バトル中心のわりにはアクションシーンを省いているのが残念です。少年漫画と言うよりはもうちょっと低年齢向きの漫画かなという印象です。

編集長のコメント
55『うまいやき』EVAN DI FRANCESCO

ちょっとページが足りなかったなーという印象です。主人公の設定が、調理師試験に落ちただけなのがキャラとして薄いなと思うので、もうちょっとキャラを掘り下げるか、主人公が訪れるお店の人のエピソードを広げるか。どちらも中途半端で終わっているのが残念。料理漫画なのに、すごいビジュアル系な絵なのは、漫画としてはとても面白いです。

編集長のコメント
56『Attraper l'horizon(地平線を捕まえろ)』FabienLEFIZELIER

マラソンに挑戦する主人公が、なぜそこまでマラソンにこだわるのか、そしてそれを成し遂げられた原動力が「沿道の人の声援」というのはなぜなのか、疑問がほったらかしで、読んだ後にカタルシスがないです。マラソンを走っている途中の主人公の苦悶の表情は、とてもよく描けていました。

編集長のコメント
57『竹本加奈子の巡り合わせ運』辻ひのき

絵がすごく上手いです。絵だけならデビューしてもいいくらいのレベルです。キャラクターの一つ一つの所作が凝っていて、雰囲気があります。この作品自体は何度読んでも、最後の人間関係がどうなっているのかが理解できないですし、そこが作品の肝でもあるのに残念です。この描き方で読者から見て分かるかどうかを、もうちょっと丁寧に点検しておいてほしかったですね。

編集長のコメント
58『JQ&TO』(ネーム原作)白崎瑠奈

不運人間というワードが良いですね。主人公が不運というキャラ設定はありがちですが、この作品はそれを宇宙規模に広げたり、タイムトリップを使ったりして、シチュエーションを広げることでそこから色んな展開を作っている所がすごいなと思います。普通にやると、日常の中だけで作ってしまいがちなんですが。不運人間に生まれた主人公自身の気持ちの持ちようの変化も丁寧に描写されていて良かったです。

編集長のコメント
59『ネコとマジョ』原作:鄧漢傑 漫画:Costo

面白かったです。絵も可愛いですしね。サイレントな漫画ですが、起きていることがすべて絵で理解できるので、構図、コマ割り、キャラクターの表情を描写する力などが非常に高く、達者なのだと思います。展開の作り方も、魔女が弱そうなネコにやられた直後に、マッチョな敵には鬼のような強さを発揮する所などは、意表をつかれて面白かったです。

編集長のコメント
60『ロボット高専』(ネーム原作)副作用

最初は工学系の高校全体を扱う学園ものかと思って読み始めたのですが、ロボコンの部活物でした。主人公たちの友情の描き方とか、生徒会長が助け舟を出してくれるところとか、青春らしさがすごくよく出ています。ただ、ロボットが何者かの手によってコンテストの前に破壊されてしまい、一晩でそれを修理しなければいけない、といった苦境の展開は、あまりに使われすぎているパターンなので、そこはひねって考えてほしかったですね。

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