講談社 コミックプラス

新人賞/アシスタント募集

2019年05月16日

第44回 新人漫画賞 グランドチャレンジ 全作品編集長コメント

第42回月マガ新人漫画賞 グランドチャレンジ 編集長のコメント

※敬称略 ※順不同です。このナンバリングは評価の上下を表すものではありません。

  

奨励賞以上の受賞作品

  

1★漫画部門 準入選「水のリボルバー」佐藤駿光

とにかくカッコイイ! 少年漫画において、カッコイイ絵とセリフがあること、これに勝る武器はありません。思わず真似したくなるシーンがいくつもあって、素晴らしかった。少し状況を摑みづらい絵があったので、そこさえ直せば即戦力。大いに期待しています!

編集長のコメント
2★漫画部門 佳作「失恋確定」シミズポリポリ

今回の中で、最も商品に近いのはこの作品かと思います。少年少女の切ない感情を丁寧に描き出す演出、好感度の高い画面はほぼ完成の域。あとは描き続けるに足るキャラクターとアイデアがあれば、月マガでの連載は目の前!

編集長のコメント
3★漫画部門 特別奨励賞「夏に咲いた、エゾギクの花」広生

絵が美しく、表情が多彩で飽きさせない。ストーリーは非常に恐ろしくてインパクトはあるのですが、やや読み進める動機に乏しい印象です。「あなたならどうする?」と読者に問いかけるような演出を心掛けてください。

編集長のコメント
4★漫画部門 特別奨励賞「Passion」瑞城雨

ボードゲームという極めて難しいテーマに挑んだ姿勢に拍手を送ります。しかし、「ルールを知らなくても面白く読める」ためにはキャラのドラマが重要ですが、主人公2人の背負う問題意識が噛み合っていない感がありました。

編集長のコメント
5★漫画部門 特別奨励賞「本城マリアは堕とせない。」稲葉樹

設定がすごく面白い! これからどうなっちゃうんだろ…とワクワクしました。出来ればそこから、展開がエスカレートしてくれるとよかったのですが、やや同じネタの繰り返しが多い印象が残りました。女の子の絵の強化もぜひ!

編集長のコメント
6★漫画部門 奨励賞「ゼゲツッ‼」小林ユマ

画家を目指す者たちの自画像対決という非常に難しいテーマを、多彩な演出とキャラの表情で描き切った力作です。ラストのヒロインが描いた絵が、なぜ勝ちにふさわしいのかわかりづらいことだけが残念でした。とはいえ、セリフだけに頼らない画面作り、読者へのサービス精神はすでにプロ級。将来が楽しみです!

編集長のコメント
7★漫画部門 奨励賞「歴史への旅路」ファム・カン・トゥン

アイデアの量で言えば、今回No.1。読者をとことん楽しませようとする姿勢は非常に素晴らしいです。画面作りに既存作の影響が強すぎるのと、主人公にとっての困難がやや物足りないのが課題でしょうか。

編集長のコメント
8★漫画部門 奨励賞「小悪魔アイドルめれく」谷中悟志

テンポとキャラクターが素晴らしい! 62ページはさすがに長いものの、一気に読ませるだけの実力があります。絵もデッサンや構図は抜群なので、ペンタッチを磨いてください。次回作で“大化け”してくれる予感がしています!

編集長のコメント
9★漫画部門 奨励賞「子蝶の夢」急式ひろひろ

幻想的な世界観の中で生きる少年少女の、瑞々しい表情が冴えています。高い技量は感じるものの、主人公の存在感が希薄で、誰の何の話なのかが不明瞭です。後半、絵が荒れてしまったのも残念でした。

編集長のコメント
10★漫画部門 奨励賞「REBIRTH」小髙優大

根幹のアイデアである「雨爆症」が説明不足で、物語に入りづらかったです。その一方で、ラストの切ないシーンはとても素晴らしかった! キャラと設定をうまくリンクさせさえすれば、持ち前の演出力が活きてくると思います。

編集長のコメント
11★漫画部門 奨励賞「マイヒーロー」婀笠鏡士郎

画力・演出ともに基礎的な実力の高さが窺えます。それらに比して、ややキャラクターが弱い印象を受けました。読者がページをめくる手が思わず止まってしまうような絵を入れることも、併せて心掛けてみては?

編集長のコメント
12★漫画部門 奨励賞「クロユリ」カツザワ

上質のミステリを読んだときの読後感。読者の興味を引っ張るのが上手いですね。オチも秀逸で、驚きました。地力は十分あるので、あとは魅力的なキャラクターを生み出せるかどうか。キャラデザも併せて強化を試みてください!

編集長のコメント
13★漫画部門 漫画部門 奨励賞「LENCHI MAN」森山梨仁

作者の執念を感じさせる画面には脱帽です。ストーリーは、主人公と世界観の設定が複雑すぎて、頭に入ってこない感が。これだけの絵が描けるのですから、とにかく「人間」を描きましょう。その素養は十分に備わっているはず!

編集長のコメント
14★漫画部門 漫画部門 奨励賞「怪力乱神」小室悠貴

設定やストーリーはわかりづらいのですが、演出や絵のなかに「行き過ぎたカッコよさ」があります。これは少年漫画を描くうえで得がたい才能! 絶対にそれを失うことなく、魅力的なキャラとわかりやすい物語を追求してください。

編集長のコメント

  

ショート漫画部門

  

1★ショート漫画部門 佳作「粒子サイズの夢」カツザワ

擬人化ものは数あれど、ネームとしては完璧に近い出来。『クロユリ』と同じくややキャラクターが弱いので、そこを追い求めてください。カツザワさんの個人的な“萌え”を詰め込むことが、その第一歩だと思います!

編集長のコメント
2★ショート漫画部門 奨励賞「逢坂さんの殺人恋愛上達法」あつもりそう

恋と殺しのダブルブッキングwww この設定はすごく魅力的です。あとはこの状況の中で、ヒロインが七転八倒するところを眺めるわけですが、ややアイデアが不足していた感が。キャラの描き分けにも課題が残りました。

編集長のコメント
3★ショート漫画部門 奨励賞「ミミクリー」岸森詩央

絵が上手い…! ペンに慣れない中で、確かな地力を感じます。ストーリーもよくまとまっています。ぜひ次回は、もう少し長いページ数で、魅力的なキャラと世界観を読ませてください。楽しみにしています!

編集長のコメント
最終選考まで残ったが惜しくも受賞は逃した作品

  

1「僕の嫌いな色」横山太一

美術部に所属しながら、自信がなくて勧誘もできず、ただ廃部を待つだけ。そんな少年が、親友からの働きかけに応じて、大きく羽ばたき出す――。基礎的な画力と演出に光るものがあり、読者の心に物語をすんなりと届ける能力を感じます。お話はキャラの内面に関することばかりで、打倒すべき「敵」がいません。敵を打ち倒すことで、自分の内面も変化する。そんな物語を考えみては?

編集長のコメント
2「フレーマー」龍輪周大

機械の声が聞こえる少女。人と違う能力を持つことに悩んでいたが、ある日、“フレーマー”と名乗る機械に身体に入り込まれてしまい…!? ストーリー展開がスムーズで、読者を飽きさせません。作画も丁寧で好感が持てるのですが、やや読者へのアピールが不足しています。各キャラに「もっと俺を見ろ!」と言わんばかりの魅力を持たせましょう。もちろん台詞も見た目と同じくらい重要です!

編集長のコメント
3「魔女戦記」瑚乃美

両親を喪い祖母に育てられた、心優しい少女。16歳の誕生日に、突如魔女が襲ってくる。実は彼女自身も魔女の血筋らしく…!? 冒頭で描かれたキャラ設定がその後の展開にあまり影響せず、読み味を減らしています。また、この世界において魔女とはどんな存在なのか? という根本設定が説明不足で、物語に入りづらかったです。最終ページまで手を抜かない作画は見事。集中力は才能なので、ぜひ精度を高めてください。

編集長のコメント
4「痛みを知る子供」平野沙妃

その孤児院に住む子供たちは、痛覚を知らないかわりに、自らの血を源泉に魔法を使う。主人公はただ一人、痛覚を持っていたが、孤児院には恐るべき秘密があった…! 設定は非常に魅力的で、どんな物語になるのかワクワクしました。ただ、主人公がひたすら優しくて、自分をいじめた少年の窮地にも身体を張って助けるなど、やや行動に納得ができない面が。読者が応援したくなるキャラ作りを模索してください。

編集長のコメント
5「September」武久 愛

突然現れた天使により、スケバンだった頃の身体に戻されてしまった花子。自分の願いを叶えれば元に戻れる、というのだが…!? 実は彼女が亡き夫との思い出を必死に忘れようとしていた、という切ない想いが徐々に明らかになり、非常に感動しました。やや初期設定のわかりづらさが足を引っ張っています。物語の冒頭は非常に大事なので、丁寧かつ大胆に、読者をガッツリ惹きつけてください。

編集長のコメント
6「霊写師」矢野みずき

カメラを使って悪霊を退治する霊写師。ある日、カメラを整備してくれる幼馴染を巨大な悪霊が襲い…!? 物語がコンパクトにまとまっていて、非常に読みやすかったです。作画も丁寧で、まだまだ伸びる予感! ただ、全体的に既存作からの影響がそこかしこに見えてしまい、やや興ざめ感が。設定・キャラクターともに、作者ならではのオリジナリティを期待します。

編集長のコメント
7  「ムシバライ」小曽根 賢

ある日を境に豹変してしまった恋人に違和感を抱く少女。その前に現れたのは、「蟲祓い」。人に取りつく悪しき虫を祓うというが…。物語の起承転結がきちんとしていて、読みやすいです。ドラマもしっかり練られていて、感情移入できましたが、や予想通りの展開が続いてしまう部分がありますね。蟲退治のシーンも、主人公のターンになったら割とアッサリ倒せてしまって、肩透かし感がありました。

編集長のコメント
8「カセット」ナカオハジメ

遺跡から発掘される、不思議な力を秘めた「カセット」。多くの者がそれを求めて奪い合う中で、主人公は世界を変えたいと願うが…。非常に設定が多くて、理解するのが大変でした。限られたページ数のなかで、どの程度の情報量が適切かを考える必要がありますね。それでも大きな才能を感じさせるのが、演出の過剰さ。読者の予想をことごとく上回るこの感じ、エンタメ性抜群です。次回作に大いに期待しています!

編集長のコメント
9 「友霊」明楽A男

霊が見える特異体質の主人公は、除霊で金を稼いでいる。ある日、自殺未遂した同級生の生き霊から「友達になってほしい」とつきまとわれ…!? 同級生の霊が、いい感じにうざい(笑) 彼らのやり取りが微笑ましくて、楽しく読みました。途中で急に真面目な展開になるのが、やや違和感がありました。最後までコメディで押した方がよかったのでは?

編集長のコメント
10「異」岡部つくし

ふと迷い込んだ森の奥の祠。そこに現れたのは「巫」と名乗る美しき二人。失われた記憶、徐々に体を蝕む錆…はたして!? キャラ絵が美麗で、見ていて楽しい気持ちになります。不思議な世界観ともよく合っていたかと。お話は、主人公の記憶が徐々にわかっていく作りですが、やや“フリ”が弱く、明かされた真実が唐突に感じてしまいます。主人公の感情と読者の気持ちのペースを上手く合わせましょう。

編集長のコメント
11「メメントの森」かなどめはじめ

墜落した飛行船から救出されたペシェは、記憶を失っていた。助けてくれた少女ゴールドと共に、飛行船を落とした凶悪犯を追うがーー。設定過多のきらいがあり、話が頭に入ってきづらかったです。読者に与える情報の量や説明の順番を精査しましょう。記憶喪失の主人公が突然戦いだす理由もやや不明瞭だったかと。サービス精神を感じる絵柄や、熱い台詞は非常に良かったです。

編集長のコメント
12「羽なし天使」弥生神奈

日照りの村に雨をもたらす天使。彼の両親は幼いころに自分を捨てたと言われていたが、突如現れた悪魔の導きで隠された真実を知り…。美的センスあふれる絵柄に将来性を感じます! 設定も魅力的でした。ストーリーは、主人公に果たすべき命題がなく、変化する事態に対して受け身に終始してしまったのが悔やまれます。主人公に目的を持たせ、主体的に行動させましょう!

編集長のコメント
13「六道守護者」品治令悟

天界に転生するはずが、手違いで地獄に迷い込んでしまったイム。“六道守護者”を名乗るアグリに導かれて本来の道に戻ろうとするが、その前に六道修羅の過激派が立ちふさがり…。画力はまさにプロ級。描き込みも凄まじく、作者の気迫を感じました。ただ、主人公であるアグリの目的意識が少しぼやけてしまっています。イムが実は自殺をしていた、というのもキャラ的に違和感が残りました。

編集長のコメント
14「タイトル未定」明日かかし

クラスメイトとの仲に悩むサキの前に現れた“先輩”。彼女の悩みを食べてくれる、というのだが!? 絵柄が可愛いし、ところどころエロくて、サービス精神を感じます。お話はきちんとまとまっているのですが、結局はサキと“先輩”が二人っきりで話をしているシーンが続くだけで、ややスペクタクルに欠けます。もっともっと読者をドキドキさせる構成を考えてみてください。

編集長のコメント
15「日本史メイト」加藤春菜

花子が転校した先では、クラスメイトが歴史上の偉人ばかり! コンパクトに設定を説明出来ていて、非常にテンポが良いです。“偉人あるある”で16ページもたせた力量は素晴らしい! 惜しむらくは、笑いが全て偉人たちの逸話にのっとっていて、読者がそれを知らないと全く笑えないこと。できれば逸話でなく、キャラ性で笑いたかった。あと、いわゆる夢オチは絶対にやめましょう!

編集長のコメント
16「サクラ柄の浴衣」阿黒巧煕

人生初のお祭りデート。意中のショートヘア体育会系女子が、なんと浴衣を着てきた! 主人公のドキドキ感が伝わってきて、非常に楽しく読みました。ショートの元気少女が照れるとか最高かよ。ストーリーのわりに、ややページ数が長いですね。あと、キャラの顔は◎なのですが、身体がアンバランスに感じられるコマがチラホラ。仕上げの丁寧さも課題かと。次回作に大いに期待しています!!

編集長のコメント

  

その他の応募作品

1「私たちの魔術的な放課後」新十郎

JKが4人集い、魔術的な何事かを研究する部活。今日もあやしい魔道具が持ち込まれ…!? 可愛い女の子たちの日常でニヤニヤしてもらおうという企画意図がハッキリしていて良かったです。ややキャラの区別という点で不満が残ります。魔術というネタも曰くありげなのは良いのですが、彼女たちのキャラの良さを引き出すところまでには至っていない感が。

編集長のコメント
2「かいらい少女」赤乃とんぼ

深刻な事故で両手両足を失った少女。与えられた義手義足は実は軍事用に開発されたもので、人類を脅かすインベーダと戦うことを宿命づけられてしまい…!? いろんな要素を盛り込んでいるわりにはスッキリした読み味です。構成力が巧みですね。少女が事態の進捗に対して常に受け身で、結果として彼女のキャラクター性が埋没してしまったのが残念でした。

編集長のコメント
3「塩江君によろしく。」ひのはら

学園祭での芸術制作、そのリーダーを任された塩江。完遂したらご褒美♡をくれるという風見さんに尻を叩かれながら、重たい腰を上げるのだが…。伝えたいメッセージがハッキリしていて、胸を打ちます。時折ハッとする絵があって、将来性を感じました。理想で言えば、言葉だけに頼らずに、読者の心に刺さるシーンを読みたかった。やや構図がぎこちなく、キャラがどの位置にいるのかわかりづらいのも課題かと。

編集長のコメント
4「トウガク!!」有馬次朗

華麗な技を「受ける」ことを目的に、格闘技の精鋭が集まる闘志学園に入学した少年。設定は魅力的で、ワクワクしました。キャラもどこか変わっていて、オリジナリティを感じます。惜しいのは、少しずつですが読者の理解の先を進んでしまうこと。また、せっかく「受ける」のが得意な主人公なのですから、それを利用して事件を解決に導いてほしかったです。

編集長のコメント
5「死刑執行人アルファルド」青天目晴彦

悪魔に魅入られた悪人によって弟を殺されてしまった少年。そんな彼の前に現れたのは、“死刑執行人”――! 最終的には自分自身が死刑執行人と一体になって戦わなければいけない、という設定は魅力的です。絵や台詞回しにも独特の美的センスを感じました。ものすごく悲しく悲惨なことが起きているわりに、主人公の悲哀が弱いように見えてしまったのが残念です。

編集長のコメント
6 「トレーニング・デイ」うえすとさいど

スラム街から抜け出そうと、冒険者ギルドに入った少年。彼に待っていたのは過酷な新人トレーニングの日々だった! 孤児である主人公が運命に抗うさまや、それを決して温かくは受け止めないギルドの先輩たち。細かい設定にリアリティがあって、面白かったです。が、あえて言えば「夢」が足りません。現実にはありえないけど、あったらいいな~!と読者が願っていることを描いてみては?

編集長のコメント
7 「おっぱいを探せ!」山本皐太

海の中で出会った人魚を探すため、少年は立ち上がった。目的はひとつ、人魚におっぱいを見せてもらうため! おバカな設定が清々しかったです。細かいギャグが面白いですね。あえて言えば、「おっぱい」と連呼しているわりに1コマも絵に出てこない。主人公の妄想でいいので、理想のおっぱいを読者に見せるべきでは? ヒロインに主人公に対する何らかの感情があるともっと良かったかも。

編集長のコメント
8「無題」山本皐太

地球を狙う侵略者を撃退するため、「傀儡」になれと命じられた少年。冒頭からいちいち母親について言及する主人公、それがきちんと伏線になっていて、作品全体を貫くテーマにも繋がっています。物語を紡いでいく豊かな才能を感じました。一番の課題は画力でしょう。でも、頭の中に「描きたい絵」をすでに持っている人なので、練習すれば確実に上手くなりそうです。次回作に大いに期待しています!

編集長のコメント
9「DAY BREADAM」井出智也

魔力を凶悪犯罪に使う“悪魔の眼”。その首領を追うレンとカンナの痛快バトルアクション! 魔力ありのアクションシーンを楽しんで描いたことが良く伝わります。作品全体の雰囲気も明るくて、ワクワクしました。ただ、悪の首領がいったいどんな悪さをしたのか、そこに具体性がないので、主人公を素直に応援できません。何をしている絵なのかわかりづらい箇所があるのも、改善ポイントですね。

編集長のコメント
10『くるくるまわる』鈴木啓示

この世ならざる怪異に対し、人々を守る“賢人”。その中でも圧倒的な力をもつ“冒険少女”ことシウルは、いつも庇護しているサーカスへの恋心を自覚。だがそんなある日、恐るべき脅威が…! 絵柄が非常に魅力的! キャラの造形やエピソードもワクワク感に満ちていて◎です。ただ、世界観が入り組みすぎていて、話が頭に入ってきません。キャラを中心に据えて、整理してみましょう。

編集長のコメント
11「アリーとジロー」松下七彩

ドイツから転校してきたアリーと、トランスジェンダーの同級生・ジロー。徐々に交流を深める2人だが、ある事件をきっかけにアリーが不登校に…!? 冒頭のキャラ立てが良く、軽い読み味の4コマから一転、感動のエンディングへ。構成が非常に巧みです。惜しむらくは、4コマのネタがジローのセクシュアリティに基づくギャグがメインで、あまり笑えなかったこと。キャラ本来の面白さを追求してみてください。

編集長のコメント
12 「ペイン」時 邦裕

喪った家族への思いを抱える殺し屋が出会った、不思議な少女。彼女は“痛み“を知らないという。奇妙な同居を始めた2人だったが、思わぬ悲劇が待っていた――。殺し屋と少女の同居、迫力のガンアクションと、映画『レオン』を思わせるスペクタクルでした。ストーリーは渋くまとまっていて面白いのですが、ちょっとキャラが想定内の範疇に留まってしまった感が。もっとキャラを暴れさせてもいいのでは?

編集長のコメント
13「アイオーン」小熊 佑

機械兵器が人類を殺戮する時代。人型通信用兵器として地下で作動するアイオーンのもとに、幼い少女が迷い込み…。感情を持たない兵器と少女の交流が緻密に描かれていて、心温まりました。台詞のテンポが良くて、非常に読みやすかったです。課題はやはり画力ですね。アイオーンとユヅキ、2人がもっと可愛く(ちょっとエロく)描けたら、それだけで面白さは爆増します。ぜひ精進してください。

編集長のコメント
14 「人工世界樹ばびる☆バベル」まつおゆうすけ

生まれつき左足がなく、部屋に閉じこもっていた少年ばびる。面倒を見てくれていた姉が急死してしまい、その義足を付け替え、自ら部屋を出るが…!? ディストピア高層マンションを舞台に、泣き虫少年の冒険に息を呑みました。不思議な世界観ですが説明を極力省いていて、読みやすかったです。記号的な表現が多いのがやや興を削ぐ感が。もう一つ、主人公の動機に地に足が着いたものがあると深く感情移入できたかも。

編集長のコメント
15「ルゥとルベラ」台丸谷和葉・台丸谷紅葉

虐待された少女を不憫に思い、食べ物を与える魔物。ある日、それが少女の家族に見つかり、銃で撃たれてしまう。それぞれの世界で傷ついた一人と一匹の物語。悲しくて切なくて、心に沁みます。絵柄がやや拙いので、少女の可憐さや魔物のモフモフ感などが出せるように、練習あるのみ!ですね。ドラマは予定調和なところに収まってしまっていて、もうひとつ意外性が欲しいところです。

編集長のコメント
16「Lucky Punch」司背 廉

努力でボクシング王者まで上り詰めた男。だが練習嫌いの天才に敗れ、自暴自棄になったある日、謎の男が声をかけてきて…。やや地味な絵柄ですが、センスは抜群。筋肉をきちんと描く人は伸びます(断言)。台詞も読者の常識を覆す力があり、しびれました。ストーリーはやや尻切れトンボですね。結局「ラッキーパンチ」とはなんだったのか? 徹底努力の男の物語を、最後まで読みたかったです。

編集長のコメント
17「死神と天使」岸森詩央

完璧に仕事をこなし続ける死神に、幼い天使がまとわりついて…!? クールな死神が、赤ちゃん天使の愛くるしさの前に心を溶かされていく様が、非常に微笑ましい。読者に愛されるキャラを描けるのは得がたい才能です。ショート漫画としては、ややオチが決まってない感が。天使によって、死神がどう変わったのか、そこをきちんと描いたうえでオチをつけるべきでは?

編集長のコメント
18「社畜と座敷わらし」岸森詩央

残業に疲れたサラリーマンが目を覚ますと、枕元にかわいい座敷わらしが! タイトルそのまま、2人の関係性を楽しく読みました。画面作りにセンスがあって、読者を惹きつける力があります。ちょっと短すぎるのがもったいなく感じました。社畜くんにしても、座敷わらしちゃんにしても、もっとキャラのエピソードは掘れるはず。ぜひ続きが読みたいです。

編集長のコメント
19「Panakeia」吉野竜馬

どんな病も治すと言われるパナケイア。突如倒れた祖母を救うため、弱虫アルトは、幼馴染2人と共にパナケイアを採るため魔の山へ…。淡々とした語り口ながら、読みやすい画面です。主人公のキャラが旅の前後で大きく変わってしまったのには、かなり戸惑いました。魔王のキャラを人間味あるものにして、正義と悪を絶対化しないのは面白いのですが、ラストがすっきりしないというデメリットが出てしまいました。

編集長のコメント
20「ふたりでね」相沢 直

毎朝すれ違う空手美女に恋してしまった女子高生。ある日、ふと言葉を交わした際に、思わずキスをしてしまい…!? 衝撃の出会いから、トントン拍子にベッドシーンまで。その展開の仕方はテンポが良かったです。しかし、さすがにここまでのガチ百合作品は月刊少年マガジンでは受け付けづらく…。ボーダーレスの時代とは言え、ある程度は投稿対象の雑誌を研究することも大切かと思います。

編集長のコメント
21「FIRST CONTACTでライジングラブ」藤本将展

はじめての風俗店で出会った、絶世の美女。だが彼女には決して知られてはならぬ秘密があり…。個性的な絵柄ですが、全編手を抜くことなく楽しんで描いているのが伝わります。後半の展開はジェットコースターのようでしたが、意外過ぎて楽しめました。ただ、風俗店での出会いといい、あまりにも月刊少年マガジンとはかけ離れた内容です。ある程度は投稿対象の雑誌を研究することも大切かと思います。

編集長のコメント
22「モーツァルトが歌う理由」稲田瑞希

学校の音楽室にモーツァルトの幽霊が出た! 目的を聞けば、合唱部を世界一に導くのだというが、どうやら彼は天性の音痴で!? コメディ設定としてよくできていて、楽しんで読みました。ただ、彼がモーツァルトを自称し、周りがそれを受け入れるまでのくだりがやや長いです。登場人物の顔のパーツがどれも同じなため、見分けがつきづらいのも課題かと。

編集長のコメント
23「黒猫黙示録」鈴木廸子

長い戦争の果てに結んだ条約により禁忌とされた、人間と妖怪の恋。それによって生まれた半妖の主人公は、追われる身ながら、ある目的のために行動を起こす! 1ページ目に描かれた設定が魅力的で、どんな物語が始まるのか、とワクワク。が、主人公の行動動機が最後までわからず、どういう気分で読めばいいのか見失ってしまいました。なるだけ早い段階で、「問題提示」をして読者を惹きつけましょう。

編集長のコメント
24「EXIST」小原浩一

やる気ゼロのダメ教師・佐々木は、理想の「安定」を求め、今日も生徒に迷惑をかけられないよう、微妙に圧力をかけたりかけなかったり…。日常系コメディを志向していることはよく伝わります。そうは言っても、あまりにも何の事件も起きない中で、読者にアピールする点はどこにあるか、そこを考えるべきかと。人物の顔の区別がつきづらいのも、改善すべきポイントだと思います。

編集長のコメント
25「星のおちる日」横田美穂

密かに人間界に住む天使と交流をもつ少年。だが、天使の父親は人間の淘汰を画策しており…!? 独特の美的センスを感じる画面です。ただ、ストーリーはかなりわかりづらい。構成が入り組んでいることに加えて、目線が少年と天使と両方入ってしまっていることが原因かと。なるだけ視点は固定して、誰の何についての話なのかをハッキリ読者に伝えましょう。

編集長のコメント
26「妖精の棲む森」ただの學介

妖精が棲むとされる森の近くに立つ屋敷で働くアンナは、迷い込んだ森で一人の青年と出会う。辛い日々の中で、彼と過ごす時間は宝物になっていくのだが…!? メルヘンな世界観を、丁寧な筆致で描き出しています。まだ固い部分はありますが、表情を多彩に描こうとする姿勢は素晴らしいです。やや物語が大人しく、主人公も受け身のままだったのが残念でした。

編集長のコメント
27「鬼絵師国雪」桑原一

才能を得るために鬼と契約を交わし、当代随一の絵師となった国雪。魂を食われる前に、国雪は鬼が食い殺した999人の人間の供養をするというのだが…。基礎画力が高く、時折ハッとするほど良い絵があります。設定も魅力的なのですが、やや取っ散らかってしまった印象です。主人公の動機をきちんと絞り、そこから導かれる読者の「期待」に応えつつ、「予想」を上回って下さい。

編集長のコメント
28「ヒーローになった私」芳山拓未

人類を襲う怪獣と戦う女子高生ヒーローの真井。賞賛を一身に浴びる日々だが、彼女は本当は平穏な生活を望んでおり…。見開きの構図に迫力があります。ヒーローをアイドル扱いする世間の描写も笑えました。ただ、主人公に感情移入するポイントがやや希薄で、読んでいて「他人事」のように感じてしまいます。読者と主人公の距離をいかに近づけるか、それを研究してみてください。

編集長のコメント
29「Cat Walker」川口優太

過去の戦争によって生み出された亜人。生き残りのケイデンスは孤独の中で、マフィアに身を寄せる。そんな彼女を警察官のゾラだけが見守っていたが、ある日…!? 随所に丁寧な描写が光ります。差別される亜人という設定も、何かが起きそうな予感。ただ、痛みの表現にやや力がなく、マフィアへの恐怖が実感できません。ケイデンスが覚醒してからは、無敵すぎるのもすこし興ざめでした。

編集長のコメント
30「曲がり角ではご注意を」横田美穂

恋する彼女を待ち伏せた曲がり角で、ゴツンと衝突。まさかの人格入れ替わり、しかも彼女の友達の地味っ子女子と…!? 冒頭はとても楽しくて、何が起こるのかとドキドキしました。そのあとの展開が、だいたい予想通りの流れになってしまったのが残念です。「面白い」ということは、基本的に「意外性」から発揮されます。ぜひ読者の予想の斜め上を目指してみてください。

編集長のコメント
31「ケイヤク」増長天竺

魂と引き換えに、何でも三つだけ願いを叶えるという悪魔。そんな甘い誘惑に、なぜか相太は一切乗らず!?  ほとんどが会話シーンで埋め尽くされていますが、独特の迫力があって読まされました。設定も面白そう…ではあるんですが、悪魔からの申し出が、そうはいっても命と引き換えなわけで、それほど魅力的ではないように感じてしまいます。ラストの主人公の選択も、あまり応援できない感じでした。

編集長のコメント
32「水泡」増長天竺

海の絵を描く孤独な少年の前に現れた人魚…。短いページですが、少年の感情はきちんと描写できていると思います。一方、人魚のキャラが弱いため、少年のためだけに存在しているかのような、都合の良さを感じてしまいました。結果として、少年の孤独が癒される過程が、やや説教臭いものになっています。しっかりと作り込んだキャラ同士を物語の中でぶつけてみてください。

編集長のコメント
33「オオ神ヨ」増長天竺

大聖神アガメルのお目付け役をつとめるイノルは、あまりにも働かない上司に悩める日々…。怠惰な神とその配下という構図は、ツカミとしては悪くありません。ただ、2人のやり取りが同じことの繰り返しで、読み進めるうちに飽きが来てしまいました。たとえば、アガメルのあの手この手のサボり術…みたいな、たくさんのネタが読みたかったです。

編集長のコメント
34「烟(けぶり)」クガミズキ

悪行を重ねる者から金を盗み、貧しき者に分け与える義賊“ツキノトリイ”の甚内。その八面六臂の大活躍! 全編から作者の強い美学を感じます。アングルの利いた絵には、時折ハッとさせられました。アクションシーンにもキレがあります。ただ、キャラの描き分けが甘いのと、入り組んだ設定のせいで、いまひとつ話が飲み込めません。はっきりした敵役がいた方が、すっきり読めたかもしれません。

編集長のコメント
35「柔拳美人」星村定之

拳法の達人の下に生まれた双子の兄妹。剛拳と柔拳をそれぞれに教えるも、性別を間違えてしまい…!? コメディ設定ですが、格闘シーンがしっかりしていて、読みごたえがありました。とはいえ、この設定が主人公にもたらす葛藤がいまひとつ腑に落ちません。剛と柔とはいっても、どちらも強いわけですし…。画力はしっかりしているだけに惜しい作品でした。

編集長のコメント
36「リーフフォールファミリー」山田尚克

リーフフォール家の三姉妹。ヒマな三女のわがままで、古いゲームを始めるが…!? 可愛い絵柄はショート漫画に向いてますね。ただ、ひたすらゲームをしているだけで、キャラクターの魅力が引き出されていません。三姉妹それぞれの違いも、いまひとつわからず…。かと思えば唐突に挟まれる、全然関係ない世界線が、読みづらさをさらに生んでしまいました。

編集長のコメント
37「バニシングガール!」山崎悟

ラジオが大好きな女子高生スーパーヒーロー。ヒーローになりたての彼女は、初出動で見事に失敗。そんなときに助けてくれたのは…!? ポップな絵柄は、すでに完成されていますね。全編アップテンポで、楽しく読みました。キャラクターが読者に語りかけるなどの、所謂メタ演出を全て否定するわけではありませんが、あまりにも頻度が高いと興が醒めてしまいます。

編集長のコメント
38 「秘密」西路夜刀

海外出張中の父親を待つ高校生。彼には秘密があった。そう、誰にも言えない“殺人”の…。秘密を隠し持つ者と、それを暴こうと近づいてくる者とのサスペンス。演出がしっかりしていますね。ただ、キャラクターに感情があまりなく、ゲームのように物語が進行するため、読んでいてハラハラしないのです。読者の心を大きく動かす演出を心掛けてください。

編集長のコメント
39「サンタ泥棒」黒猫

サンタの格好で泥棒を繰り返し、貧しい子供に分け与える“サンタ泥棒”。ある日、盗みに入った家の娘に、父親を殺してほしいと依頼されて…!? キャラ設定がロマンティックですね。ビジュアルも映えるので、良いアイデアだと思います。演出が淡々としていて、読んでいて感情が動きにくい印象です。ラストも、匿名じゃダメなの?といまひとつ納得がいきませんでした。

編集長のコメント
40「ポンコツ発明家と最強の営業マン」koyoto

身体を張った営業で一人娘を養うマイ子。だがある日、強欲な取引先をナイフで刺してしまい…!? 短いページ数とは思えぬスペクタクルでした。情報の詰め込み方は非常に上手です。一方で、キャラの立て方が足りないせいか、ラストの彼女の選択が予定調和に感じてしまいます。発明家のジャックが、ただの便利キャラになってしまったのも残念です。

編集長のコメント
41「万能者」auau

「やるかやられるか」の世界に絶望するチカ。唯一の希望は“万能者”と呼ばれる女性が世界を変えてくれることだったが…!? 物語における問題設定が非常に観念的で、読者の心にストンと落ちてきません。そのため、どうしても他人事のように感じてしまうのです。クセの強い絵柄ながら、丁寧に最後まで描いているのは素晴らしい。女性キャラの描き分けには課題が残りました。

編集長のコメント
42「綺麗な瞳のお兄ちゃん」森 樹

私のお兄ちゃんは働いてない。でも、いつだって瞳は綺麗でーー。非常に存在感のあるキャラクターで、心に残りました。ただ、リアリティがありすぎるせいか、本当の意味で笑えるキャラまでは至っていない感があります。もうちょっと要素を足してみてはいかがでしょうか。「このキャラのグッズが売れるかどうか」を考えてみるといいかもしれません。

編集長のコメント
43「たぬきのおかえし」森 樹

勇気を出して憧れの男子に告白し、その成就をたぬきにお祈りした少女。だが翌日、その男子はたぬきにクソ団子を食わされて入院してしまい…!? 次々と小ネタが差し込まれて、大笑いしながら読みました。微妙な表情を描くセンスもありますね。ただこれも、アイデアが勝っていて、キャラクターが弱い。特にギャグはキャラが全てです。ぜひそこを強く意識してください。

編集長のコメント
44「プッシュさせてよ」森 樹

昔、宇宙人にさらわれたとの噂の陸貝さん。彼女のうなじには、謎の「押しボタン」があり…⁉ とても面白かったです! 抜群のつかみから、まさかの告白→意外なオチまで、興味を引かれる展開が連続します。青春もののショートギャグとして、ほぼ完成品かと。唯一にして最大の欠点は、画力ですね。この女の子がもっと可愛ければ…! それが非常に惜しまれます。

編集長のコメント
45「大人のお留守番」森 樹

女性に非常にモテる先輩の代わりに留守番を頼まれた主人公。大人の秘密を知ることができるか…と思っていた矢先、先輩の彼女を名乗る女性(28歳ドM)が訪ねてきて…。青年誌の読み味ではありますが、これまたネタ満載のエロコメディでした。独特のリズムが奇妙な味を出していて、面白かったです! やはり画力に難がありますね。そこを鍛えれば、間違いなく連載作家になれる才能かと。

編集長のコメント
46「天色」今中知広

片思いのクラスメイトに告白したが、彼女は親友と付き合っていた! しかし彼女は、実は自分のことも好きだったと…? 描写が丁寧で、青春の一断面としてのリアリティがあります。ただ、女の子のダークサイドが早期に明らかになるため、主人公の恋心に共感することができませんでした。彼女の暗い欲望も、読者の想定の範疇をこえるものではなかったのも残念です。

編集長のコメント
47「all light」三木涼平

頭髪をリーゼントで決めている高校生は、最近読書を始めた。図書館で出会う、美しき少女の存在ゆえに! 

高校生3人の日常会話から、想像だにしない展開に。予想の斜め上を行く流れに驚きながら、楽しんで読みました! 行き当たりばったりに見えてしまう部分もありますが、この読み味は稀有ですね。ラストの車でのシーンは、やや長くて冗漫に感じてしまいました。画力を鍛えて、ぜひ再挑戦を!

編集長のコメント
48「ゆるやかな自殺」ヒトトセシキ

未来に希望が持てず、自殺しようとしてもあえなく失敗した男。あてどなくふらつく街中で、一人の女性と出会う。彼女は百万円で美味しいものを食べ尽くす、というのだがーー。自殺願望を持つ男女を丁寧な演出で切り取り、余韻が深い作品です。ただ、テーマも描きっぷりも、あまりにも青年誌向けですね。少年誌を志すのであれば、ぜひ新作を。お待ちしています!

編集長のコメント
49「そこにいるからこそわかる世界」榛名誠

男子ハンドボール部の、そこはかとなく流れる時間。いわゆる日常系ですね。ハンドボールのご経験があるのでしょうか、ディテールがしっかりしていて読みやすかったです。しかしこの手の作品は、作中で描かれていない部分を、いかに読者に想像してもらうか、が肝要かと。その点では、ややキャラクター同士の絡みが薄味で、不満が残りました。

編集長のコメント
50「PET」5段

ペットのハムスターが死んだ。庭にお墓を…と思ったが、幼い息子は「どうして焼かないの?」と素朴な疑問を…。日常に起こりうる小さな事件を丁寧に描いています。ただ、他人に、ましてやお金を取ってまで読ませようとするならば、単に日常というだけでは足りません。読者の予想を裏切る意外性を追求してみてください。

編集長のコメント
51「脳内会議」なうと

誰しも脳内に天使と悪魔がいて、それぞれの主張によって行動を決める。だが最近、新たに「魔王」が現れて…⁉ よくある設定の中に、斬新な部分を付け加える手法は、非常に素晴らしいです。会話のリズムやセリフの切れ味にも、光るものがあります。主人公を縛る条件付けがやや弱く、追い込まれる二律背反の状況が飲み込みづらかったのが残念でした。

編集長のコメント
52「なぜGAME OVERになったのか」上原 大

学園内に伝わる、男女の告白イベント“汚れなき聖域”。そのルールを侵すものには、恐ろしい罰則が…!? 絵柄は可愛いしエロいし、旺盛なサービス精神が感じられます。とはいえ、物語のルールとキャラ同士の感情線が複雑すぎて、頭に入ってきませんでした。まずはわかりづらい部分をそぎ落として、シンプルな設定で描いてみてはいかがでしょうか?

編集長のコメント
53「パーティーマン」矢口 尋

パーティーに現れては参加者を殺戮する殺人鬼。かつて自分の誕生パーティーで友人たちを殺されたレミだったが、数年後のある日、親友が開いてくれたサプライズパーティーの場で、再び惨劇がーー。スプラッターものとして、質が高いです。怖かった! 殺人鬼にダメージを与えるルール説明が足りず、リアリティを失ってしまったのが残念でした。

編集長のコメント
54「創世のレクイエム」桂の介

父親に裏切られて自暴自棄になった愛子の前に現れた、謎の少年。その正体は…!? 冒頭から語られる、主人公の苦しい胸の内が心に刺さります。少年が現れてからは、基本的に会話劇になるのですが、そこに読者が萌えるものが少ないのが残念です。暗い話の中でも、どこかで読者の夢を叶える部分があると、ぐっと商品価値が高まりますので、ぜひ研究してみてください。

編集長のコメント
55「夜叉になる前に」桂の介

盗賊集団に母親を殺されるも、命惜しさにその仲間となった夜叉。どうにか逃げ出した先で、一人の少女と出会い…!? 苦難の人生を歩む主人公が復讐を果たすまで、丁寧に描き切りました。少女との関係性が、物語のなかで機能しきれていない印象が残ります。また、ラスト付近で少女が村人から捨てられるのは、あまりにも後味が悪かったです。

編集長のコメント
56「YES! ボクの男子校ですよ!?」桂の介

ある少年の女子と見間違う可愛さに惚れ、父親が理事長を務める学校に転校させた主人公。いろいろと破天荒な行動をするのですが、あまり笑いには繋がっていない感が…。絵柄的にもあまりショートギャグには向いていないように思います。

編集長のコメント
57「アイドルtoしようよ」桂の介

売れないアイドルの男女が、人気を上げようと奮戦するが…。こちらも主人公たちの行動はハチャメチャですが、それが笑えるかと言うと…。すべてが下ネタなのも、やや食傷気味になってしまいました。やはり、あまりショートギャグはおすすめしません。

編集長のコメント
58「ミチルとゆめみのやしき」祥葉健人

新人レポーターのミチルは、テレビ番組の下調べでホラースポットへ。持ち前の霊力を活かし、時には幽霊の「仕込み」までこなすが、今回の屋敷には本物の霊がいて…!? 設定は面白いと思います。ただ、読者にテーマや問題が提示されるのが遅いので、興味が持続しません。1ページあたりの文字数も非常に多いので、読者にストレスを与えない分量を研究してみてください。

編集長のコメント
59「呪宿」原久一

神のいたずらのような小さな呪い。それ生まれながらに背負った勇輝は、呪いを解いてくれるという神さまに会いに行く。だがそこに座っていたのは、口の悪い猫で…!? 冒頭部分から文字による説明が続き、全体のページ数も膨らんでしまいました。まずは物語の設定の中で、必要/不要をきちんと把握して、読者の興味を最短距離で引っ張りましょう。

編集長のコメント
60「リインカーネーション」原久一

興味本位の少年によって召喚された魔王姫。命知らずな小僧を食ってやろう…と思いきや、あっさり撃退。まさかの屈辱の日々が始まるが、少年に命じられたのは…家事!? 設定はコミカルで面白かったです。しかし、少年と魔王姫と視点が混在してしまっているせいで、物語の焦点が絞れなくなってしまいました。誰の、何のストーリーなのか。それを強く意識して描いてみてください。

編集長のコメント
61「ニワトリが鳴く前に」原久一

世界のエネルギー循環を守るため、魂を回収する“均衡の聖人(キードール)”。落ちこぼれキードールのシュリエルは、神から最後通告を受けるが…。冒頭から設定説明が続き、非常に読みづらいです。読者をスムーズに世界に引き込む技術を研究してみてください。後半はバトルのアイデアに光るものもありました。それだけに、冒頭をコンパクトに見せましょう。

編集長のコメント
62「アリスに巴 記録1 寝言、戯言の赤い王」原久一

傲慢な会社社長・松谷は、何でも望みを叶えてくれるという“赤い木の下”へ出向く。成功者である自分にふさわしい妻を、との願いは見事に叶うのだが…!? 『世にも奇妙な物語』的なストーリーで、魅力的な謎に引っ張られながら読みました。ただ、基本的に何でもありな世界観なので、釈然としないものが残ります。どんでん返しが続くラストも、やや冗漫な感が。

編集長のコメント
63「アリスに巴 記録1 裸足のチェシャ猫」原久一

リストラされた恨みを晴らすため、悪徳社長を亡きものにすべく、無敵の殺し屋に依頼した男。その殺し屋は若い女性、しかも普段は学生で…!? 厳重な警備に守られた社長をどんな手段で殺すのか、さらに謎が謎を呼びます。ただ、種明かしは必ずしも納得のいくものではなく、肩透かし感が。この作品についても、ラストは冗漫に感じました。すべてのシーンにコンパクトさを意識しましょう。

編集長のコメント
64「カミガカリ」原久一

学業もスポーツもそつなくこなす主人公が出来ないただひとつのこと、それは代々受け継がれる名刀を振るうこと。彼にはむしろ刀鍛冶としての才能があり、さび付いた刀を鍛え直すある日、謎の妖怪が現れ…⁉ 設定が混み入っていて、かなりわかりにくかったです。結果として、主人公が自分の使命と向き合うのが遅くなってしまいました。テーマの提示を早くできるような構成を練った方がよろしいかと。

編集長のコメント
65「夕暮れのメドゥーサ」原久一

学園の中で“ミステリクリニック”を営む須佐野と雨月。ある日、先生から相談を受け、学内で発見された偽札事件の謎を追うことに…。この作品も、設定は面白いと思います。ただ、それを飲み込むまでに読まなければいけない台詞の量が多すぎます。読者にストレスをかけずに、いかに読ませるか? それを追求してください。

編集長のコメント
66「救世主は大魔王」原久一

世界の崩壊を防ぐべく、救世主を探す天使。だがついに見つけた救世主は、性格最悪な男で…!? 潔癖症という性格設定が効いています。ただこの作品も、読者にストレスをかけるのは変わりません。救世主になるのを嫌がっていたはずの主人公がバトルに突入する理由もやや弱く、キャラがブレてしまっているように見えました。

編集長のコメント
67「A like blue」チェリー・田中

核戦争後から5年後。冬眠カプセルから目覚めた主人公たちは、終末後の世界を生きる…という話なのでしょうが、いまひとつ頭に入ってきません。まず大事なことは、読者は世界観ではなく、キャラクターを楽しむために漫画を読むのです。冒頭から設定説明が続いてしまうと、退屈で読むのを止めてしまいます。まずはキャラの魅力を理解してもらえるよう、アイデアを考えてください。

編集長のコメント
68「呪術師少女は今日も唱う」流良戒

呪術師の少女ラピスは、魔王の弟でもある剣士ヴァインと共に、魔王討伐の旅に出る…。冒頭から夢のある設定がどんどんと説明されていきます。ただ、主人公に対して降りかかる問題が、次から次へと積み重なってしまうので、いったい何をクリアすればいいのかを見失ってしまいました。問題設定を丁寧にすることで、物語全体が一気に読みやすくなるので、研究してみてください。

編集長のコメント
69「ヒサリ来りて桃猛る」流良戒

鬼が島からやってきたヒサリは、居候先の桃太郎と一緒に学校へ。だが、妖怪学部が新設されることになって…!? こちらの作品も、どんどん新情報が入ってきてしまって、整理がつきません。いったい、主人公は何に立ち向かわなければいけないのでしょうか? 物語冒頭で示されるべき問題設定とは、主人公が何かを「したい」または「しなければいけない」のどちらかです。まずはそこをきちんと読者に示しましょう。

編集長のコメント
70「雀視無双」結城剣聖

高校の麻雀部部長にして雀荘の息子・星野聖志。父親ゆずりの能力で、雀荘をつぶそうと企む麻雀ゴロを迎え撃つ! ギャンブル漫画とは珍しい。たしかに、頭脳バトルのアイデアは原作者に求めたい部分ではあります。ただ、その観点から言うと、「牌を透視できる」能力はあまりにもチートすぎて、スリルに欠けてしまいます。主人公の能力をいかに限定するかが肝なのでは?

編集長のコメント
71「キメラ・共生」岡本真北

冒険家のショーナは、“死の山”の山頂に行き倒れていた化け物に出会う。彼はキメラと戦い続けているというのだが…。主人公の行動原理、さらには世界観の設定など、物語の構成要素が説明不足なため、読み進めるのが難しい作品でした。読者にどのタイミングで何を説明すべきかを判断するには、自分の物語を客観的にみる視点が必要です。それが一番難しいのですが…。

編集長のコメント
72「神換師―かみまねくひと」八阪輝仁

平安の世、人に憑りつく魔性を退治する神換師。アカガネマルは、貴族の姫の乱心を鎮めるべく、魔性に対峙するが…。姫と一緒にバトルするシーンは迫力がありました。ただ、バトルの中に、主人公が克服すべき焦点が示されていないため、かなり一方的に敵を打ち負かす感じになっています。設定についても説明過多な部分が散見しますので、読者に親切で読みやすいネームを目指してください。

編集長のコメント
74「十盗賊」斎藤すもも

長く続いた王制を乗っ取った者たちにより、記憶を改ざんされた世界。覚えのない記憶に悩まされる少年レイジーは、ひょんなことから世界の秘密を知ってしまい…!? 非常に混み入った設定を飲み込もうとする端から、次々と新たな登場人物が出てきてしまい、混乱します。キャラが多い作品は面白いですが、それをきちんと消化するには技術が必要。まずは人物の少ない物語から始めてみては?

編集長のコメント
74「最悪の魔王」北川忠司

かつて魔王をあと一歩のところまで追いつめた“人工”勇者。魔族のもとに捕らえられた彼の元に、魔王の幼い娘が訪れて…!? ひとつひとつの設定は面白いと思います。シェイクスピアの引用があったり、ニヤリとさせられる台詞回しも魅力的。ただ、エピソード間のつなぎがスムーズでないために、もうひとつ主人公の感情に乗り切れなかったのが残念でした。

編集長のコメント
75「山田くんは断ります」「心理様の日常」「まり様はお友達を作りたい」藤慶行

どの作品も心理学をネタにしていて、きちんと調べて描いているのがわかります。ただ、残念なことに、それがキャラクターの中に落としこまれていません。本来は、キャラが主役で、心理学の知識はそれを補強するためにあるべきなのに、それが逆になってしまっているイメージです。ショートギャグは設定も大切なので、キャラとネタを活かせるシチュエーションを考えてみてください。

編集長のコメント
76「前世紀のメシア」緑川速唱

タイトルや、出てくるワードは少年誌らしいワクワク感があります。おそらく作者の頭の中では壮大な物語が展開されていることと思いますが、それがなかなか伝わりません。マンガの技術は一日にして身に着けることはできませんので、まずは基本的なテクニックの習得を目指してはいかがでしょうか。ページ数についても、短いものから始めることをおススメします。

編集長のコメント
77「初恋」望月大輔

大学進学を機に故郷をあとにする日、初恋の彼女は現れた。「いつか迎えに行く」という約束を叶えるかのようにーー。叙情的な物語で切なくなりました。「彼女」がどうして主人公のことが好きになったのか、どうして(病床にあっても)彼にこだわるのか、その理由をエピソードとして知りたかったです。また、主人公が終始受け身なのも課題。主体的に行動する主人公をこそ、読者は求めているはずです。

編集長のコメント
78「面面」信原舞

ある日突然、顔に嵌って外せなくなったお面。他人には見えないが、その裏では時折、世界の終わりを思わせる映像が映し出されていく。そんな時、同級生のまなかだけは、彼のお面が見えるらしく…⁉ 謎めいた設定を、曰くありげに描く手法には技量を感じました。やや観念的なので、いきなり「人類滅亡」とかではなくて、主人公を個人としてもっと追い詰めたほうがよかったのでは?

編集長のコメント
79「magical abi.circle」内山恭介

誰もが生まれながらに持つ魔能力。それを使って人々を守る自警団の活躍! 冒頭から多くの設定が語られていって、なかなか頭に入ってきません。そしてもう一つの問題として、設定過多だとキャラクター表現に割くページ数が減ってしまうのです。それらを解決するには、設定とキャラを「シーン」の中で同時に描くことです。読者の興味を引く事件を起こして、その中でうまく説明してみてください。

編集長のコメント
80「そのあとは」ジク

絶対君主のもとで国民たちは毒薬の仕込まれた首輪をつける生活を強いられている。そんな圧政をやめさせようと立ち上がる者たちの活躍と、訪れる悲劇…。根本設定は非常に面白いです。とはいえ、キャラクターの魅力が足りず、物語としてはやや拍子抜けな感がありました。各キャラクターを立てるために、どんなエピソードを用意すべきか、じっくり考えてみては?

編集長のコメント
81「上からコアラ」中川 司

動物園での生活に疲れたコアラの、人間への復讐。それは癒しの存在たることに対する、完全なる拒絶! むかつく態度をとりまくる彼の前に、癒されることに命を懸ける少年が現れて…!? 非常に面白いです! ひねりの利いた設定を最後まで描く技術とアイデアに感服しました。絵も上手いので、完成原稿で読みたかったです。あとは、「どんな読者に、どんな作品を届けるか」を意識できれば、プロへの道は大きく拓けると思います。

編集長のコメント
82「遅刻オリンピック」モカヅマ

ベタベタな遅刻シチュエーション…かと思いきや、世界各国が遅刻にまつわる演技を披露する謎の採点競技「遅刻オリンピック」で!? 冒頭から、設定が明らかになるまでのくだりは面白かったです。ただ、いわゆる“出オチ”というやつで、だんだん失速してしまいました。この設定ならば、各国ならではの遅刻シチュエーションが読んでみたかったです。

編集長のコメント
83「Outsider’s World」ひめここ

自己肯定感が低く就活に失敗続きのすみれは、“アウトサイダー”に認定され、更生施設送りになってしまう。無事に卒業すれば優良企業への就職が約束される、というが…!? 不気味な設定から、徐々に真実が明らかになる構成には緊張感があります。とはいえ、主人公自身には一切災厄が降りかからないので、サスペンスとしては弱い感が。もっともっと主人公を具体的に追い詰めましょう!

編集長のコメント

※ネーム原作作品は、希望者のみのコメントとさせていただきます。また応募作のうち、同一作品の改稿バージョンや、過去の応募作と同一世界観・設定の作品へのコメントは、感想の重複となるため、控えさせていただきます。

ページトップ