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2019年08月08日

第45回 新人漫画賞 グランドチャレンジ 全作品編集長コメント

第42回月マガ新人漫画賞 グランドチャレンジ 編集長のコメント

※敬称略 ※順不同です。このナンバリングは評価の上下を表すものではありません。

  

奨励賞以上の受賞作品

  

1★漫画部門 準入選「先輩とクラリネット」山本誠志

青春の切ない想いが丁寧に折り重なっていて、とても感動しました。台詞とコマ割りのリズムを合わせる演出は、非常にハイレベルです。絵柄にもセンスが溢れていますが、一枚の絵で強烈な印象を残せるよう、さらに精進してほしいです。

編集長のコメント
2★漫画部門 佳作「ハピエル」ますおぱんだ

ちょいエロな巨乳JKに、不愉快なクマ(天使)…とにかくキャラクターが生き生きしていて、楽しめました。後半がやや冗漫に感じましたが、台詞のテンポは一級品! 即戦力と見ましたので、早々に月マガでの連載を期待しています。

編集長のコメント
3★漫画部門 佳作「BOMB」大瀬戸陸

観察眼の鋭さゆえでしょうか、高校生活の中に漂う空気感を絶妙に描き出しています。ただ、「見えてるのに描けない」悔しさは、作者が一番痛感していることでしょう。次回作では「見えない世界を想像して描く」ことにも挑戦してみては?

編集長のコメント
4★漫画部門 特別奨励賞「座敷童とたたりもっけ」クスノキ陽菜

濃密な風景描写に支えられて、2体の妖怪のリアリティが際立っていました。単純な救いを拒絶しながら、相矛盾した主張から逆説的に人間性を描こうとするラストは見事です。今作は終始「会話劇」でしたので、次回作ではキャラの行動を伴うスペクタクルに期待しています。

編集長のコメント
5★漫画部門 奨励賞「獄サツ」古城哲士

「地獄警察」という設定を体現したキャラクターは◎。「~であります」という口癖、思わず真似したくなりました。ストーリーにやや意外性が足りず、バトルシーンも迫力不足。ぜひ研究して、キャラの魅力をさらにUPさせましょう。

編集長のコメント
6★漫画部門 奨励賞「レオ」小高優大

3度目の受賞ですが、画力に格段の進化が見られます。「描きたいことを描ける」武器を手に入れましたね! 今作では、物語の軸とアイデアとが上手くかみ合っていない印象です。そのせいでキャラもやや弱く感じられてしまいました。

編集長のコメント
7★漫画部門 奨励賞「ぼくらの日々」林里美

細かい描写が巧みで、1ページあたりで表現できる量がずば抜けています。ストーリーも青春ものかと思いきや、実はホラーで驚きました。作者が描きたいことだけでなく、「読者が読みたいこと」を意識できれば、無敵になれる逸材かと。

編集長のコメント
8★漫画部門 奨励賞「Shell Ring」あにき

キメラというアイデアに新味はないものの、カタツムリの能力を使ったバトルは初めて読みました。特に女の子の絵が可愛くて、大きな魅力があります。反面、仕上げの雑さが目立つので、もっと作画で粘りましょう。次回はキメラ以外のアイデアで!

編集長のコメント
9★漫画部門 奨励賞「Dazzling Day」戸賀環

画力の向上には目を見張るものがあります! 2人のキャラの違いが弱く、だんだん同じ性格に見えてきてしまいました。物語の展開も、基本的に局面が変わらないので、もっと明確にピンチ感を強めるなど、工夫してみてください。

編集長のコメント
10★漫画部門 奨励賞「這えば立て、立てば歩めの妖心」急式ひろひろ

青春映画を観たかのような読後感でした。描写力は相当なもの。ただ、前作と同じく主人公が不在で、読者にとって感情を動かすポイントがありません。「誰についての、何の話なのか」を意識すれば、ずっと読みやすい作品が描けるはずです。

編集長のコメント
11★漫画部門 奨励賞「MAGUKICHI」松下七彩

冒頭の語りから台詞のリズムが良く、豊かな可能性を感じます。アイデアも面白くてワクワクしました。課題は画力ですね。作者の脳内で流れる映像を、質を落とすことなく表現できるよう、鍛えてください。キャラの描き分けにも注意です!

編集長のコメント
12★漫画部門 奨励賞「ドール」龍輪周大

アイデアがたくさん詰まっていて、サービス精神を感じます。最初は嫌味な主人公を、ラストでは応援したくさせる力量は見事でした。やや一本調子な展開と、画力が課題でしょうか。あの手この手で読者を楽しませる作家になってください!

編集長のコメント

  

ショート漫画部門

  

1★ショート漫画部門 奨励賞「お忘れものをお届けにまいりました。」江藤瞳

可愛い絵柄を丁寧に仕上げているのが素晴らしいです。読者の心にふんわりと寄り添う、そんな作風ですね。うさぎのキャラが、可愛い以外に特徴が薄いのが残念でした。もっと要素を増やして、読者にキャラを深く愛してもらいましょう。

編集長のコメント
2★ショート漫画部門 奨励賞「THE DOGS」サーレス・レオナルド

ギャングに対する強い美意識を感じます。カッコよかった! ただ、長大な物語の冒頭部分といった印象ですね。次回作では、主人公がどんな運命に巻き込まれ、どんな結末を得るのか、最後まで描いてください。楽しみにしています!

編集長のコメント
その他の応募作品

  

1「箱庭のネフィリウム」高岸かも

残りわずかなエネルギーを奪い合う世界。ロボットに乗って出撃を繰り返すアラシは、ある日電源扉の向こう側に少女を見る。彼女は生きる動力源として使役されていて…。主人公の少女を守りたいという行動動機に共感し、感動しました。しかし、エネルギー不足の世界で大型ロボットをどうやって造ったのかという疑問が最後まで拭えず…。その世界なりのリアリティーは大事ですね。あとはキャラ絵が少し地味に感じるので、研究してみては?

編集長のコメント
2「コウモリサイコロジー」在原昇太

同級生にストーキング被害に遭い、ついに包丁を突き付けられた…その時、現れた謎の男。彼はストーカーを分析すべく、尾行していたというが…。サスペンスから一転してコメディ調になったり、いわゆる「緊張と緩和」が出来ています。リズムもあって読みやすかったです。お話はキャラクター紹介で終わってしまった感。ここからどんな事件が起こるのか、そして公森は何を見出すのか、それを読みたかったです。

編集長のコメント
3「警魔組合」桑原許人

この世ならざる者たちを退治する派遣会社から来た、柳生八重。妖刀「影喰らい」を手に、悪鬼をぶった斬る! 演出にキレがあり、カッコいいシーンがたくさんありました。読んでいてワクワクする感じは、まさに少年誌向きですね。画面がごちゃついていて、何をしているのかわかりづらい部分が散見します。画力を上げて線を整理しつつ、「何をどう見せるか」に集中してみてください。描き続ければ必ず上手くなる人かと!

編集長のコメント
4「青春コンプレックス」あつもりそう

イチャつくカップルに制裁を。幸せな人間の足を全力で引っ張ることを信条とする里安。そんな彼にも、思いもかけぬ春が訪れて…!? 陰湿な欲望を抱える主人公の表情が良かったです。誰もが一度は心に描いたことがある欲望を描こうとするのは◎。だけどこの描き方だと、主人公を応援できません。欲望の中に、「こうなったらいいな~」という夢を描くのが漫画です。女性キャラの描き分けも課題ですね。

編集長のコメント
5「魔女の王」芽瑠藻

多くの野良猫を飼ういぶき。そんな彼の前に現れたのは、なんとイタリア代表の魔女。各国代表の魔女が、猫を使役しながらバトルしている、だと…!? 画面は可愛らしく、サービス精神があって良かったです。物語の構成要素が数多く、それぞれがあまりリンクしていないため、混乱してしまいました。また、テンポが速いまま一定で、読み疲れを起こしてしまいます。いかに読者を物語世界に導くか、研究の余地ありでは?

編集長のコメント
6「ブレーメン」川口優太

産業スパイの一京と小鉄は、依頼人の華凛と共に最新スマホのデータを盗もうとする。だがその裏には、華凛の父親にまつわる秘密が隠されていて…!? サスペンスの演出が巧みで、3人のキャラクターもイキイキとしています。細部まで練りこまれた力作なのですが、絵的な見せ場に欠けていて、漫画としての読み応えが足りません。とはいえ、読後感は非常に良かったです! ぜひ再チャレンジを。

編集長のコメント
7 「Dream of a Past for the Future」Ong Daoxie

かつてテロで半身を失った科学者のヘレンは、元同僚から研究の手助けを依頼される。その研究とは、知的生命体を3Dプリンターで出力すること。だがそれは重罪で…。近未来の設定にリアリティーがあります。半身と共に喪った子供への追憶から、実験体の少女を助ける主人公の行動動機も真に迫るものがありました。非常に力のある作家さんです。次回はぜひ少年誌を意識して、ワクワクとカッコよさを追求した作品を読ませてください!

編集長のコメント
8「無題」岸森詩央

先輩はまるで星だ。キラキラと輝いて、見上げるといつも元気をくれる。私はそんな先輩のことが…。自信を持てない女子高生の気持ちが瑞々しく描かれていて、非常に好感度の高い作品です。応援したくなる主人公を描けるのは才能ですね。ただ、これはさすがに少女漫画かと。月マガでのデビューを目指すのであれば、想定読者は基本的に少年をイメージしてほしいところです。

編集長のコメント
9「無題」四宮紗梨菜

恐ろしい研究により、人間兵器と化した戦争孤児エーベル。ある日、任務を終えたところで何者かに拉致されるが、そこで自らの出生の秘密を知り…。ハードな設定を描き切りましたね。猛牛をベースとした兵器デザインにセンスを感じました。エーベルが改心するまでのドラマが余りにも浅く、洗脳の恐ろしさが弱く感じられてしまいます。作者が描きたいシーンで、いかに読者に感動してもらうか。演出を工夫しましょう。

編集長のコメント
10「藍原くんは喋らない。」田中梨々花

背は高いが生来の不器用な藍原は、教室内で喋れない。憧れの麗愛に彼氏ができて落ち込む藍原だったが、その男は女癖が悪く…!? 自己肯定感の低い藍原の奮闘が好ましい作品です。とはいえ、少年誌読者からすると、少しイライラしてしまうかも。また、麗愛の可愛さの表現が少なすぎる印象。少年誌読者が自分を投影できる主人公と、読んでいて恋してしまうようなヒロインを、それぞれ研究してみてください。

編集長のコメント
11「一発逆転!コモドゴン」劇毒ジュース

ヒーローに嫉妬し、自ら怪人となったコモドゴン。ヒーローの力の源である少女を捕らえ、ついに完全勝利の時を迎えようとしたその時、彼の胸に去来した思いは…!? 悪者を主人公にした着眼点は良かったです。しかし、話が進むにつれて彼の行動動機が子供じみたものであることがわかり、さらにわりとあっさりと転向してしまうため、やや肩透かし感が。心の弱い主人公を描くときは、繊細なバランスが必要ですね。

編集長のコメント
12「無題」陳延麟

飛行機の窓から見えた亡霊はいつしか機内に入り、俺にビデオを差し出す。墜落した先の無人島で、地面に描いたブルーレイに差し込んで観えてきたのは…。基礎的な画力は非常に高いです。提示されたシチュエーションも魅力的なのですが、その後の展開はシュールとしか言いようがありません。次回はもう少し長いページで、主人公と読者の感情を動かしてみてください。

編集長のコメント
13「無題」鈴木春陽

莫大な資産を持つ者が、世界の支配権を賭けて、自らの使役する奴隷同士を戦わせている。主人公は宝くじに当たったことから、バトルへ参加することになるが!? この設定は非常に面白い! どんな展開になるんだろうとワクワクしました。惜しむらくは、設定説明にページが割かれてしまい、キャラクターが弱くなってしまったこと。この設定にぴったりのキャラを生み出せたなら、素晴らしい作品に仕上がるかも。

編集長のコメント
14「美しい姫」澤木

貧しい国の王子・琉夏は、「美しい」と評判の隣国の姫から求婚される。だが、彼女の見た目はまるっきり羊のようで…!? 端正な絵柄に惹きつけられます。コマ割りのテンポにもセンスあり! お話は「美醜」という深いテーマに踏み込むものですが、やや説得力に欠けます。羊の外見の姫が、読者にとっても可愛らしく見えてくれば成功だったはず。そのためのエピソードが足りない、ということかと。

編集長のコメント
15「私が魔法少女になってイイんですか!?」深瀬きび

大きな魔力を秘めた魔法少女の卵・夢見るる。だが彼女は、いじめのトラウマを抱えた心の弱い少女で…。独特な絵柄ですね。数多くの漫画のなかで、一目で見分けられる個性は大きな武器だと思います。しかし、それと読みやすさは、必ず両立するはず。今作では、何が起きているシーンなのか、あまりにもわかりづらい部分があります。ご自身の絵柄を客観的に見る目を養ってください。

編集長のコメント
16「is-イズ」小澤U

どんな場所にも荷物を届ける、秘境配達人のイズ。今回の依頼人は自分の祖父で、行先は迷いやすいことで有名な森で…。丁寧な作画に好感が持てます。将来、めっちゃ上手くなる予感がします! お話は、主人公にミッションはあるものの、そこに感情が動いてないので、達成したときの充実感がありません。結果として、全体に淡々とした読み味になってしまいました。どんな感情を描くか?を考えてみましょう。

編集長のコメント
17「オカルト肯定研究部」鈴木彗太

オカルト大好きな面々がまさかのゴーレム(?)召喚に成功! とりあえず紅一点の袖淵さんが飼うことにしたのだが…? やわらかいペンタッチで、微妙な表情を描くのが上手いですね。特に部長のキャラが秀逸でした。ストーリーは事件不足というか、部員たちがただ喋っているだけのシーンが続き、やや冗漫な印象です。ショート漫画に向いている気がするので、次回はキャラを活かしつつ、コンパクトにまとめてみては?

編集長のコメント
18「ASIP」汪林美椎屋空

芸術家の依頼を受け、道具や素材をさがす“ASIP”。新米のジャックは相棒のエデンと共に、コロンビアに向かうが…。ASIPの設定には面白みを感じます。絵柄も未完成ながら、独特の雰囲気がありますね。主人公が立ち向かうミッションが「コーヒー豆の採取」というのが、芸術と関係がないように見えて、いまひとつピンと来ません。作家の脳内では完璧に設定が出来上がっていても、読者にとってはすべてが初体験ですので、懇切丁寧な説明を心がけましょう。

編集長のコメント
19「バリタチ彼女のおねだり」相沢 直

童貞の和輝に会いたいという女性が! 彼女の男性の好みはなんと「包茎であること」…なんで!? 設定が奇抜で、どういう展開になるのか楽しみでしたが、まっすぐなエロでした(笑) たしかに男性読者はエロが大好きですが、ここまでストレートなものは少年誌的には難しいです。また、彼女の顔が能面みたいなのは、画面に華が失われて楽しみを減らしてしまいます。作画は丁寧で素晴らしいので、少年誌らしいエロとは何か、ぜひ研究してみてください。

編集長のコメント
20「バスケは5人じゃ勝てないよ?」「MOON SIGNAL」「最強、私立洛陽中学バスケ部」 「月が綺麗ですね教徒はお月様の擬人化に成功しました。」「ハビットスポーツ」龍雪豪

経験がおありなのでしょうか、バスケに関する言及には説得力があります。SFやファンタジーの設定も凝っていて、楽しんで描いたことが伝わってきました。とはいえ物語としては、あまりにも起伏がありません。読者は事柄の推移が読みたいのではなく、キャラクターの心の移り変わりに感情移入をしながら読み進めたいのです。もっともっとキャラの心を動かしてください。

編集長のコメント
21「Ⅱ セコーンド」河本勇樹

伝説のマフィアの隠し子は、東京・新宿にいた。「Ⅱ世」を名乗る彼は、ケチな悪党どもを打ち払っていくが…!? 設定やストーリーの流れがスムーズで、読みやすかったです。上手な絵で描かれていれば、あるいは入賞したかも。ただし、あなたはネーム原作者志望ですので、ぶっちぎりで面白い設定やキャラクターを生み出す必要があります。他にない、あなたならではの強いオリジナリティーで勝負してみてください。

編集長のコメント
22「るつぼワールド」玉野ヒロシ

多数の異世界が混ざった日以来、未来が視えるようになった歩。呪いとも思える能力を持て余す日々だが…!? 設定がユニークだし、説明セリフにセンスがあり、興味を惹かれます。面白かった! 物語上で不満だったのが、主人公であるはずの歩があまり主体的に行動してくれないこと。立ちはだかるモンスターに対して、「視る」以外の行動をもって、危機を打ち破ってほしかったです。

編集長のコメント
23「怠け者の決意」太地英一

いつも寝てばかりの少年と、まるで介護のように支える彼女。そんな二人の関係に、彼女が引っ越すことにより、大きな変化が…。二人のイチャイチャはなかなか微笑ましく、楽しめました。二人の破局からの流れが一番盛り上げどころなはずですが、あまりにも予定調和で意外性に欠けます。面白さは読者の思ってもみない、それでいて「そうだったらいいな~」と思える展開にこそ宿るものです。

編集長のコメント
24「DREAM」すもも

大魔導師を目指して修練するナル。仲間とともに20人の選抜隊に残るが、選抜試験の中で殺人を犯した候補生が脱走し…!? 「罪悪感を質量に変える魔法」のアイデアや、ヒロインの行動動機など、素晴らしい箇所が随所にあります。ちょっと欲張りすぎて、要素が分散してしまったのが残念。プロットを考える段階で取捨選択することも大事です。また、ネームではなく原稿を仕上げることを目指してみては? 持っているポテンシャルは非常に高いものを感じます。ぜひ頑張ってください!

編集長のコメント
25「破邪鬼伝 乱鬼」「呪術師少女は今日も唄う」流良戒

鬼の楽園“華桜”、美術都市イシス…夢のある舞台を思いつき、作者が楽しんでいるのがよく伝わります。ただ、冒頭から設定に関する説明が続くのは非常に読みづらいです。読者は設定ではなく、キャラクターのドラマを楽しみたいので、まずはそれを提供して興味を引き付けてください。そのためには、設定はなるだけシンプルなものにすると良いでしょう。自分で考えた設定を削るのは辛い作業かもしれませんが、読者を楽しませることが作家の仕事です。

編集長のコメント
26「樹海の墓」松本龍樹

深い樹海の奥に、自らの生きた証として墓を作り、自死しようとする男。そんな彼のそばには悪魔がいて、死んだときに生まれる“不幸”を食べようとするのだが…。設定が魅力的で、冒頭から心をつかまれました。二人の関係が深まっていくのがこの作品の読みどころなわけですが、そこがやや観念的に終わってしまったのが残念でした。もっと二人の会話にキュンとしたかったです。

編集長のコメント
27「黒い夢」「霊界案内人」祥葉健人

どちらの作品も人の生死に関わるシビアな問題を、独特のセンスで明るく描いていて、奇妙なテイストがあります。ただ、設定が非常に入り組んでいて、読んでいて頭が混乱してしまいます。まずは主人公の行動動機をはっきり提示しましょう。そのうえで、それが読者の心をつかむよう、丁寧に演出を積み上げてほしいです。設定でなく、キャラの感情を描く修練を重ねてください。

編集長のコメント
28「花園の王者」「美麗至上主義」中原逸仁

片や美女の中でハーレムを築く少年たちのバトル、片や不細工であることが罪である社会での脱獄劇。どちらも非常にインパクトが強い設定で、心がつかまれました。まずは、単純に「面白い」――これは漫画界の絶対正義です。素晴らしい! 小ネタの手数も多く、作者の豊かな才能を感じます。ただ、どちらも少しだけ演出が冗漫で、中盤以降でややダレてしまう部分がありました。①ネタを精査して絞り込む ②中盤でもう一つ意外な展開を入れる この二つを実現できれば、可能性は大いに広がると思います。ぜひ次回作も読ませてください!!

編集長のコメント
29「パーフェクトワールド」渡部玲子

孤独を抱えた二人の少女の、心の旅路。つらい現実から目を背けるために始めたはずの「不幸ごっこ」が、いつしか呪縛となってーー。丁寧な演出と誌的なセリフ運びに、並々ならぬ実力を感じます。とはいえ、あまりにも少年誌からかけ離れたテーマとキャラクターで、戸惑いました。特にネーム部門には、新人賞ながら戦略性を問われます。対象読者の欲望を鋭く捉えたテーマを意識してみてください。

編集長のコメント
30「プライスレス」鶏野からあげ

人気絶頂のさなか、漫才コンビの相方を亡くした主人公。ピン芸人としてもがくある日、元相方のネタ帳と共にスマートスピーカーが送られてきて…!? 設定はなかなか面白かったです。しかし、客に受けるネタと受けないネタが、漫画の中では区別がつかず、わかりづらくなっています。「笑い」をテーマにする難しさがもろに出てしまいました。物語的にも、起伏が少なくて物足りない印象が残ってしまいました。

編集長のコメント
31「JEWEL」岩崎四季

ジュエルと呼ばれる托卵器を創る者と、それを奪う者との命がけの争い。ジュエル職人のタローは、自作のジュエルと共に妹の身柄を攫われて…!? 冒頭から入り組んだ設定の説明が連続して、飲み込みづらかったです。また、コメディ調な語り口のため、起きていることがどれほど深刻な事態なのかが伝わりません。コメディとシリアスのバランスは難しいですが、模索してみてください。ネームながら高い画力を感じますので、ご自身での作画にも挑戦されてはいかがでしょうか。

編集長のコメント
32「ベースボール・ダイアリーズ」萩口 椿

野球未経験なのにすごい才能を持つ瀧本。様々な条件の下、野球部に入部したが…。破格の主人公というのは、読んでいてワクワクします。野球の実力ととんでもない理屈っぽさを併せ持つ瀧本は素晴らしいキャラですね。後半、主将の加藤の本音が出るあたりは一級のサスペンスでしたが、ラストはさすがに唐突な感が否めません。また、すべてが台詞で表現されてしまい、絵で魅せる漫画のダイナミズムがないのが残念でした。

編集長のコメント

※ネーム原作作品は、希望者のみのコメントとさせていただきます。また応募作のうち、同一作品の改稿バージョンや、過去の応募作と同一世界観・設定の作品へのコメントは、感想の重複となるため、控えさせていただきます。

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