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2016年02月05日

第32回 新人漫画賞 グランドチャレンジ 全作品編集長コメント

第32回月マガ新人漫画賞 グランドチャレンジ 編集長のコメント

※敬称略 ※順不同です。このナンバリングは評価の上下を表すものではありません。

  

奨励賞以上の受賞作品

  

<漫画部門 佳作>『夜鷹と六等星』蔦村紗帆

恋愛での行き違いから誤解を受け、いじめられていた先輩女子と、その先輩に憧れている後輩の男の子が、心を通わせながら、勇気を出して一歩を踏み出す青春ストーリー。絵の上手さもさることながら、他の優秀な作品と比べて頭一つ抜けていたのは、演出力です。10代の少年少女が心の未熟さから起こしてしまう残酷な出来事に、主人公たちがどのように傷つき、そしてそこで何を考えるのか、一つ一つの感情・心理を、とてもリアルに表現できていました。素晴らしいです!

編集長のコメント
<漫画部門 特別奨励賞>『Book Dealer』横山直哉

自称・活字中毒者がたどりついた1軒の本屋。そこで出会った少女は「ブックディーラー」を名乗り、この本屋は、「本が人を選ぶ」本屋だと話した。企画面で良く出来ていて、変わった設定に引き込まれます。主人公自身の悩みが明かされていくプロセスと、その解決話にも納得がいきます。惜しいなと思ったのは、作品がセリフと筋書きを読んでいく楽しみだけになっていて、キャラクターや演出を楽しませる遊びや漫画的演出が少し足りなかったこと。そのため、多少読み疲れも途中で感じてしまいました。

編集長のコメント
『正夢探偵』畦ひかり

弱った人間の心に寄生して、悪夢を見せてそれを正夢にしようとする「獏」。母親が倒れてから悪夢を見るようになった主人公を助けるため、正夢探偵のねぼすけさんが主人公の夢の中で活躍する。同じような設定は正直、プロアマ問わず、あふれていますが、ヒロインの見る悪夢や心理描写、「獏」のクリーチャーとしての怖さや、ねぼすけさんと獏のバトルなど、画力が関わる全ての面で斬新かつ魅力的な表現が出来ています。画面からパワーが溢れているような印象を持ちますので、その旺盛な表現力が活きる世界を選んで、これからも描いてください。人物の顔やキャラデザインはこれからの課題。

編集長のコメント
<漫画部門 奨励賞>『Anti Magical Girl』櫛灘ゐるゑ

学校一の不良少女・螢は、幼馴染の慎也の事が好きだが、学校に馴染めずケンカに明け暮れてばかり。そんな螢のもとに現われたキロという犬型の宇宙人に、地球へ逃げてきた大罪人「ロキ」を捕まえるのを協力してくれと言われ‥‥。バイク(メカ)と美少女の絵がとても上手く、そこにファンタジー要素も加えて、とても商品性のある分野で、自分の武器を見せようとしてくれた点を評価したいです。設定にもう少し斬新さがあれば、もっと評価が高かったと思います。

編集長のコメント
『まがい神まがい者』柊しど

妖狐に奪われた少女をもう一度救い出すために、旅を続ける狐憑きの主人公。旅先で出会った少女もまた狐憑きで‥‥。「忘却の狐」「後悔の狐」など、妖狐の能力に細かな違いを作っている設定に新しさを感じました。時代劇の和な世界観で、感情表現や心理表現にも美しさを求めて描こうとする姿勢は好感が高いです。ただ、まだ画力が少し追い付いていない点と、狐憑きの被害者が複数名いて、誰を救う話なのかがうまく整理出来ていなくて、話の分かりにくさにつながっていた点が惜しかったです。

編集長のコメント
『竜もどきの子 オッポ』森江里華

竜のせいで滅んだ人類の世界(おそらく本当は人間自身が戦争で滅ぼした)、その後、竜を恐れ、地下にもぐった人類の中に、勇者の少年が生まれ、もう一度竜を倒して未来を切り開こうというお話。異形のモノ、得体のしれない世界を描く作者の力には毎回感心させられます。今回は竜をモチーフに描き、分かりやすいストーリーにした分、読みやすさが向上した点は良かったです。滅んだ過去の世界、竜と竜の子、主人公の少年と生き残った人類、設定それぞれの掘り下げはあまり出来てなく、繋がりも感じなかったので、もっと描くべきものを絞り込んでほしいなとも感じました。

編集長のコメント
『ブラック・ゴッドハンド』内田一輝

妖怪を治すお医者さんが主人公。その無償の医術に疑いを持った人間と妖怪の双方から睨まれた主人公が、それでも命を救う目的とは!? 妖怪の生体構造の説明まで入れながら手術をする様子に、これまでの類似企画とは一線を画した斬新な印象を受けました。主人公の医者を志した理由や謎にもサプライズがありましたし、鬼姫もとても可愛いかった!ただ、絵柄に少し古臭さを感じ、今の流行りの絵を研究して良い所を取り込んでくれると次回以降にさらに期待がもてます。

編集長のコメント
『CROSS・MIND』葛西美奈子

パラレルワールドを題材に、時空の狭間に落ちた少年と、違う時空からやってきた父親の想いがぶつかり合う、ファンタジー作品。ファンタジーとしてのアイデアが詰まっていて、さらに「家族」の愛のぶつかり合いという分かりやすいテーマをうまく組み込んでいて、泣ける作品に仕上がっています。子供は子供、大人は大人の魅力をもったキャラクターが作れているのも見事だなと思います。パラレルな時空構造について、文字だけの説明で全部終わってしまっていて、全容が読者の頭に入りづらい感じもしますので、脱落者が出ないように、そこを漫画としてどう見せるかはもっと意識しても良いかと思います。

編集長のコメント
『マイハート』押岡大和

心臓の病気で長期入院、退屈と淋しさを紛らわせたい主人公の少年が、トイレで呼び出した幽霊は、手のひら大の少女の幽霊だった。病気の少年と死んでしまった少女の交流という、とてもシンプルなストーリーですが、絵柄の素朴さと題材が合っていて、しみじみと心に沁みてくる良作でした。絵柄はこのままで良いと思うので、画力を上げつつ、設定にもう少しだけオリジナルなアイデアが入ると良いなと思います。

編集長のコメント
『DON'T CRY WITCHIES』ウラミユキ

全女性の10%が魔女で、魔女だけが入れる「魔女警察」に、好きな女の子を追って入ってしまった主人公。主人公は男なのに魔女の力が使える特異体質だった!とても高い画力、特に可愛い女の子を描く力は群を抜いています。ヒロインの巨乳メガネ女子も魅力的です。ただ、設定が多いわりには緻密さに欠けていて、読んでいて「なぜ?」と思うような甘さは散見されました。もっと作者が描く女の子の魅力を素直に活かす設定があった気もします、少し惜しい作品でした。

編集長のコメント
『ともだちのしるし』榎本さく

すぐに手が出る高須さんと、高須さんに転校早々気に入られてしまった中本中太くん。二人の凸凹コンビが送るラブコメディ。さくさく読めて、画面も見やすくて、女の子が可愛いです。ボケ側が女の子なので、可愛さをとるか、笑いをとるか、少し迷いが見られました。もう一人キャラを出したのも、その迷いの表れな感じもしましたね。でも楽しかった!

編集長のコメント
 

  

ショート漫画部門

  

<ショート漫画部門 奨励賞>『ラブリーキューピット♡ミミちゃん』鳳タケシ

お金で恋の悩みを解決するブラックなキューピット、ミミちゃん。ショート漫画部門で、もっとも笑いの密度が濃い作品でした。1Pで2回は笑えます。もう少し流行りの絵柄を研究して取り入れることが出来れば、掲載レベルをクリアできるのではないかと思って、期待しています。

編集長のコメント
『Rabbit HERO』世江口寸

ヒロインの女の子を、常に助ける兎のかぶりものの男。その正体は‥‥。終始可愛らしい表情や、健気な気持ちだけで勝負するラブコメでした。とても可愛い絵を描くので、この作者の絵で、次は本格的な青春ラブストーリーものを見てみたい気になりました。

編集長のコメント

  

ネーム部門

  

<ネーム部門 奨励賞>『ROLE&ROLE』佐藤一樹

仮面をかぶり、閉ざされた街で生活する義務を負った「ROLE&ROLE」たち。彼らを「災害の日」に殺しに来る「狩人」たち。街中で繰り広げられる惨劇の果てに、何かが覚醒する‥‥!人間を使った壮大な社会実験とデスゲームをうまく混ぜ込んだ企画。設定が本当にワクワクさせてくれる一方、死んでいく友人などのエピソードが全然盛り込めていないので、泣けるところへ持っていけていないところが残念。元々、連載の方が向いている企画だと思うので、泣けるキャラクターエピソードを増量してみるのは手かなと思います。

編集長のコメント
『かなしみなみだのダイアリー』おのた

流す涙が宝石に変わるというヒロインと、そのヒロインを金儲けに使っている商人の話。一見、悪者に見える商人が、なぜヒロインから信頼されていて、本当はどんな人間なのかが、話が進むにつれて明かされていきます。そして、どんどんそのキャラクターを好きになっていきます。これはストーリーの構成がとても上手くはまった結果ですね。キャラクターの関係性も、工夫があって、とても面白かったです。

編集長のコメント

  

最終選考まで残ったが惜しくも受賞は逃した作品

  

『ROMANS WEAPON』米田いな穂

英雄が残した超威力の武器を集めて悪さを働く者がいる一方で、武器に、ロマンを感じて集める主人公・アスラが登場。武器はいつの時代も使うものの心を反映するという王道テーマをきっちり消化していて好感が持てます。主人公と敵の超絶バトルは、見ごたえがあって良いです。キャラクターの絵がまだ未熟なのと、画面が少し白いのが気になりますので、絵に対するこだわりを少し強めにもってもらいたいなと思います。

編集長のコメント
『シェアにんグ!』かしやま

忍者の里から町へ降りてきて、主人公の部屋の屋根裏部屋に住むことになったくのいち。主人公との変則ルームシェア生活はどんなものに!? ドジと世間知らずが可愛い女忍者が良いキャラクターです。コメディとしては面白いのですが、せっかくの男女同棲生活ものなので、主人公に少し良い思いをしてもらいたいなと思いました。読者は、この作品の場合、主人公に感情移入して読むと思いますので。

編集長のコメント
『死ぬのはオレか』煮凧明日飛

交通事故で、霊魂のひもがつながってしまった、クラスメートの少年二人。そのままだと49日後には二人とも死んでしまう。そのひもを相手から奪って体内に戻すことができたら生き延びられるのだが‥‥。作品の発想が面白いです。いったいどういう結末になるのかを楽しみに読み進めることができました。もう少し二人の友情を裏付けるエピソードがしっかり描かれていた方が良かったかなと思います。家族の気持ちも。

編集長のコメント
『物見の一本』都田都

剣道部で選抜を目指す主人公の少年は、自分より強い先輩を倒すための術を探していたが、なかなかそれが見つからなかった。小さい頃、剣道で勝てなかった幼なじみのヒロインに対してコンプレックスがり、素直に接することができない主人公。しかし、強くなる術のヒントは、ヒロインの言葉の中に隠されていた‥‥。スポーツ、青春、恋愛の要素がうまく混ざり合って入っている、王道少年漫画です。ヒロインが本当に可愛くて良かったですが、シーンの見せ方にあまりメリハリがなく、キャラクターの絵も終始印象が薄いので、もう少し線の描き方やコマの割り方などに気を配ると良いと思います。

編集長のコメント
『僕はハタチでままになる。』桃山夕嬉

若くして描けなくなった作家の主人公は、同棲している年上の女性に食わせてもらっていた。ある時、主人公の口の中から卵が転がり落ち、それが割れて出てきたのは人間の赤ん坊。毎日毎日その赤ん坊は急速に育っていくが‥‥。主人公の創作の悩みを、ただ吐き出すように綴るのではなく、ライトなSF設定のなかにうまく落とし込んでいて、頭で読む楽しみと心で感じる楽しみの両方をうまく成立させています。絵柄が少年漫画向きではないのと、画力自体がまだ未熟なことを乗り越えることが一番の課題だと思います。

編集長のコメント
『榴の刃』瑚乃美

ヒロイン・榴がミスコン格闘技に出て、強い自分を取り戻していくストーリー。バトルの面白さに収れんしていくべき企画なので、試合が面白ければアリだと思いますし、将来的には格闘アクションをちゃんと描ける作者だと思います。現時点でも、戦いから迫力は感じます。ただ、女子同士の戦いで、ブス対美人の構図を使うのであれば、美人キャラとブスなキャラの見た目にあまり差がないようだと、なかなか企画が活きてこないかなとも思いました。

編集長のコメント
『カミラ=ハウザー』夢弥

物心つく前に、何者かに地下室に閉じ込められ、何年も発見されなかったカミラという少女。その存在に隠された様々な謎が徐々に明らかになっていくストーリー。本当にあった残酷な事件をモチーフにしたかのようなミステリアスな物語で、最後までワクワクして読めました。一方で、閉じ込めたのは誰か?という点に物語が集中しすぎていて、閉じ込められていたカミラ自身のキャラの掘り下げが物足りない感じがしたのが、少し残念でした。

編集長のコメント
『歴史泥棒 ハルニタ』波川しゅう作

歴史学者・ハロルド=ローレンスは、犯した罪により過去に流されることに。そしてそこで出会ったのは歴史的大泥棒・アニータだった。過去を改変し続ける闇の組織に、一人で立ち向かう主人公や、アニータの「面白ければそれで良い」生き方など、キャラクターや物語設定にはすごく魅力があると思います。惜しかったのは、今回のエピソードの中では、何が歴史としておかしくて、ローレンスがどういう解決を導いたのかが、読者にはっきりと分からないことです。その点をうまくやってくれれば賞に十分近づけたと思います。

編集長のコメント
『むまさう~幸せ♡グルメ猫♡♡~』宮川亜希子

今回の選考の中でも判断の難しい作品の一つでした。猫とグルメと人情派時代劇がうまく融合して一つの作品となっていて、心が温まるような笑いを提供してくれる作品でした。企画としてかなりレベルの高い作品でしたが、絵柄も含めてこの作品が少年漫画誌向きか、という観点から残念ながら入賞とはなりませんでした‥‥。

編集長のコメント
『大盛くん』石田万

信じられないくらい動物に好かれるコワモテキャラの大盛くん。どこへ行っても大量の動物が付いてくるので大騒ぎ。ただそれだけの漫画ですが、絵柄も可愛く、それにもまして大盛くんの受難の様子が可愛らしいです。この設定自体はわりとよくあるものではありますが、コメディセンスは感じますので、作者には次回作での入賞を大いに期待しています。

編集長のコメント
『ちくわの奏者』『超美術部』照屋タクミ

前者は合奏で与えられた楽器「ちくわ」を少年が吹き切るまでのお話で、後者は美術を格闘術と勘違いしている主人公の話。どちらもシュールなシチュエーションが最初に登場し、しかしそれがツッコまれて終わることなく、最後まで淡々と続いていくところに特徴があるギャグ漫画です。脱線しがちのギャグ漫画という分野で、最初に設定した笑いのポイントを最期までそらさないのはすごいなと思いました。自分のセンスを信じて次回作にも取り組んでほしいと思います。美術の方の最後のオチが下ネタだったのは賛否両論でした。個人的にはアリ(笑)。

編集長のコメント
 

  

その他の応募作品

  

『ELEVEN BALL』大西智貴

ビリヤードの達人が、チームプレーに憧れてサッカー部に入部。得点王にまでなった、その秘密の技とは!? リフレクションを利用してゴールを決めるというアイデアには、発想の面白さと、スポーツのリアリティがちゃんとあって良かったです。スポーツを面白く描くための画力がまだ足らないので、どんどん描いて絵を向上させてほしいです。

編集長のコメント
『えだわかれ』波丘煌生

未来からきた人間に、「お前は将来殺人鬼になる」と告げられる。その導入はとても魅力的で良かったです。本来的には16ページでやれるネタではなく、将来の自分の姿を目にして主人公はどう思ったか、の部分を掘り下げて描くか、タイムパラドックスを利用した解決を、もう少しひねった形でやる方がさらに良かったと思います。しかし発想は魅力的。

編集長のコメント
『BOWLINGIRLルナ』野村エージ

父親が有名なプロボウラーだった少女が、現役の女王プロボウラーに挑むお話。絵も上手ですし、話もコンパクトにまとまっていて読みやすいです。逆に言うと、バランスが良すぎて、どこが一番の売りかが難しい作品だなとも思いました。マイナースポーツですので、女の子の可愛さやHさを売りにするなら徹底してやっても良かったかなとも思います。

編集長のコメント
『めい探偵パウロの事件簿っぽい話』直なおた

タイトル通り、推理物をやると見せかけて、推理の筋書きにチャチャを入れつつ笑いに転換する、まさに「事件簿っぽい」作品でした。やろうとしている事は面白かったです。こういう作品は主人公のキャラクター次第で、人気が決まるところがありますので、パウロ自身のキャラデザインも含めてもっと魅力的になるように作れれば、なお良かったと思います。

編集長のコメント
『帝都せんびきや』渡辺久晃

現実と、あってはならない非現実の間に線を引く、それが「線引き屋」の仕事。この仕事の設定はとても面白いです。内容的には「鳥」を追いかけるというだけの他愛ないミッションですので、登場キャラクターの女の子たちに萌えてもらうのがまず一番の売りになってくると思います。そうすると、絵的にあと一段上の可愛さを描けるようになってほしいです。発想が良いだけに惜しい作品だと思います。

編集長のコメント
『神様と僕らの町』『神様と僕らのヒーロー』『神様と僕らの秘密基地』宮畑喬

神様が作ったゲームに巻き込まれる3人組の男の話。最初の「町」が、シムシティのような街づくりソフトで、消えてしまった町を復活させる方法を探すストーリー。「ヒーロー」はアプリをダウンロードすると自動的にヒーローに変身してしまい、その解除には人助けでポイントを稼がないといけないという話。そして「僕らの秘密基地」では恋愛シュミレーションゲームの正しいルート探しが出来ないと、時間の中に閉じ込められる話。ゲームシステムのアイデアを楽しめたのが最初の1本で、3本目はエピソードがすごく泣けました。物語の仕組みやアイデアはよく出来ているので、画力をもう少しあげて再チャレンジしてほしいなと思いました。

編集長のコメント
『俺の事実は小説より『稀』なり。』千葉桜コウミ

ワームホールから出てきたメガスクイド(タコの化け物みたいな生物)と戦って、幼馴染のギャルにおっぱいを揉ませてもらおうとする主人公・鹿郎。ものすごく高いテンションで、絵のレベルも相当高く、何より展開の予想がつかないところが面白かったです。思いついた設定をすべて盛り込んで作っているので、情報過多で途中で振り落とされてしまう読者は多いと思うので、ポイントを少し絞って作ることをお勧めします。でも力のある作者さんだと思います。

編集長のコメント
『沿尾警備部隊』新望

中央から辺境へと飛ばされてしまったハル隊長が、仕事にまっすぐな少女に最初は苛立ちつつも、傷ついた心を開いていく物語。主人公の鬱々とした気分をうまく表現できていて、まっすぐな女の子との対比もとても上手でした。キャラ作りが上手いです。心理的な部分だけではなく、もう少し活劇も見たい設定の作品だったので、犯罪者を倒すプロセスをもう少しアイデアで膨らませると、なお良かったかもしれません。

編集長のコメント
『TRINE』虎院

巡礼先でファランが出会った少女・フィリアは、一族の継承問題で命を狙われていた‥‥。世界観がはっきりしていて、雰囲気がとてもある作品でした。フィリアの事情の方はとても良く説明できていたのですが、ファランの方が、教団がらみということで事情がうまく分からなかった点が惜しかったのと、ファランのキャラクターも、もう少し説明が必要だったかなと思います。彼がフィリアを救う動機を描いてほしかったですね。絵が多少白いので、描き込みをもう少し増やしてほしいです。

編集長のコメント
『青いたんぽぽ』しもむらゆきよ

女装男子と男装女子の出会いと、迫害に対する意志を描く作品。センシティブな題材を扱い、その現実を切り取って見せることには成功していると思います。しっかり描いて読ませるのであれば、女装と男装だけにしぼるのは性癖と思ってしまう所もあるので、もう少し踏み込んで描いた方が、作品に説得力が出て良かったかもしれませんね。

編集長のコメント
『女騎士物語』アキナ

魔女の魔法で、自分の体を乗っ取られ、自分は女の体に入れ替わって入ってしまった騎士の物語。話の導入設定はとても面白く、このうえなく男らしい騎士が女性になってしまって何が起きるのだろうかとわくわく感がありました。絵が未熟なので描き切れなかったかもしれませんが、せっかく可愛い女の子になったのだからお色気なシーンやバトルのシーンをもっと盛り込めれば、今よりももっと見どころの多い作品になったかなと思います。

編集長のコメント
『おっきいサンタ』照屋タクミ

おっきいサンタがヒロインに聖夜に届けた者は?‥‥最終選考に残った同じ作者の2作と比べると、下ネタオンリーで突っ走って、少しひねりが足りなかったかなという印象です。サンタのキャラクターをもう少し立てることが出来れば良かったと思います。ただし下ネタ部分の破壊力は大したものでした。

編集長のコメント
『瞬き』深谷慶

快足を武器に野球部に貢献しようと意気込む1年生・若色くん。しかし怪我が彼の足を襲い、走ることが出来ない挫折を味わう‥‥。前作品と比べて絵がかなり上手くなった印象があります。特に女の子(マネージャー)はとても良かったです。お話も上手にまとまってはいますが、驚くような展開がほしかったですね。よくある主人公の挫折→立ち直りのプロセスにどれくらい新しいアイデアや情報を出せるかで、もうひと頑張りできれば良かったかなと思います。

編集長のコメント
『ホンサンの道』いちひろひで

隠し寺で修業中の問題児・ホンサン。先輩たちが留守の間に、街へ出て盗賊退治に巻き込まれるが‥‥。ホンサンのキャラ設定は面白く、笑いを誘う三枚目キャラがうまく作れています。主人公の成長譚なのですが、何が一番成長したのかがもう少し分かりやすく描かれていると良かったです。あと絵は、キャラの描き分けをもっと意識すれば上達すると思います。

編集長のコメント
『room』官野美雨

目が覚めると少女は、真っ白な部屋に閉じ込められていた。ヒントをたどって状況を追っていくが‥‥。すごく怖かったです。目が離せませんでした。結局、何がどうなってこの状況になっていたのかが、もう少しだけラストで明かされると、より良かったです。絵が未熟なので、この状況の怖さをもっとリアルに伝えられるように、頑張ってたくさん描く練習をしてください。将来が楽しみです。

編集長のコメント
『悪体殺戮』ヘンカイシン

霊水天馬は「法師」として、この世界を支配している「悪体」と呼ばれる魔物たちを退治する。元助手の妹を救うため、その娘に乗り移っている「悪体」と戦いに向かうが‥‥。世界観、敵の設定などはうまく出来ていて、しかも理解しやすいシンプルさもあって読みやすかったです。どちらかというとバトルにもう少しアイデアが欲しかったかなと思います。法師の戦い方や悪体の種類などにもっとワクワクできる企画だったと思います。

編集長のコメント
『美月先輩に恋をしたら』土岐保雅

美月先輩に恋したサッカー部のエース・秋斗。しかし美月先輩に他に男がいる疑惑が出てきて、試合のモチベーションが‥‥。この分かりやすい設定とおバカなキャラクターは、男性読者の共感を呼ぶと思います。サッカー漫画というよりはラブコメディなので、美月先輩のヒロインとしての魅力が、お色気も含めてもっと読者に伝わるようにしてほしかったなと思います。

編集長のコメント
『Dear D!』山﨑伊織

「D-Book」と呼ばれる本の所有者に選ばれた主人公ダイスケは、その本の力を使い少子化を解決し、その妨害を図る淫魔と戦うことになったが‥‥。少子化解決のために縁結びのような能力を駆使する主人公というのは、思いつきそうで今まであんまり読んだことがないので感心しました。ストーリーがよく出来ていて、最初に縁結びされたカップルが最後に子供を授かっているとこまで話がすすんでいたのを読んで、感動しました。この作品は話の途中でバトルを混ぜるよりは、そのままハートフルなストーリーものとして仕上げてみてほしかった気もします。

編集長のコメント
『ゲミューゼ メートヒェン』宮本竜羽

元が野菜(?)の女の子たちが、仕事先の田中家で献立を調べるという任務につくが‥‥。OLさんの口げんかのようなトークが軽妙で楽しい作品でした。キャラ分けがちゃんとあるのですが、もう少し描き分けが伴うと、作品の魅力につながったかなと思います。また女の子の絵が可愛く描けるかどうかで評価が変わってくる作品ですので、絵の頑張りを次回作で見せてほしいなと期待します。

編集長のコメント
『OPEN THE DOOR』蝸中孝

短い中に、いくつかのキャラクターとシーンがオムニバスのように入っている、詩を読んだ後のような読後感の作品でした。キャラクター自身の深みを見てみたいので、どれか主人公を一人に絞った方が良かったかもしれません。あと、絵は丁寧に描くことで、かなり印象が変わりますので、主人公だけでも時間をかけた方が良い作品になると思います。その時点でのベストを尽くしてください。

編集長のコメント
『旅の途中~生命の樹~』横田美穂

RPG冒険ものの世界観で日常的なやり取りを見せる、はやりの企画で絵も上手いし、面白かったです。もうちょっと分量を描いて、キャラクターをはっきりと見せてほしかったなと思ったのと、イベント単位で細かく刻んでいくようなショート形式の方がもっと良い見せ方が出来たかなとは思いました。

編集長のコメント
『死神えんじぇる』駒原伸二

主人公のもとに「天使」とは名ばかりの「死神」のように命を狙うキュートな女の子が降臨。そのせいで好きな女の子にふられ、寮にいる妹的な存在の女の子にも嫌われるわで大変なことに。古典的ではありますが、何人かのタイプの違う女の子に追いかけまわされる設定の青春ラブコメ。楽しかったです。何より女の子が魅力的です。ただ、話を読んでいて、設定が十分羨ましいのだから、もうちょっとそれが具体的に感じられるシーンがほしいなあと思いました。辛いシーンが勝ちすぎているような気がします。

編集長のコメント
『Wondering Boy~とある島での出会い~』井ノ本大輔

機械いじりが趣味の主人公・テル。世界一周して色んなものが見たい少年の冒険譚。世界観、主人公の設定とメカの描写などに少年漫画心が詰まっていて、とても清々しい気持ちになれました。まだまだストーリーとしては序章でしかない物語だったので、しゃべれるようになったナビシステムと少年が、どんな冒険をこの先見せてくれるのか、どんなメカギミックが見られるのか、次回作以降に期待しています。

編集長のコメント
『戦国鬼談 風雲花』月島ひろや

戦国時代に鬼の侵攻によって疲弊する「葵の国」の物語。まだ侍未満の扱いだった主人公・志月には、出生の秘密があった。それは鬼士と呼ばれる戦いの一族の末裔だったこと‥‥。架空戦国時代をベースに、鬼との戦いを描くファンタジー。主人公の過去エピソード、葵の国の姫や師との関係などはとてもよく出来ていて、人間ドラマとして楽しめました。鬼の設定や能力が人間と比してどれくらいのものなのかが出てこなかったので、バトル物としては、もう少し戦いのアイデアが必要だったかもしれません。

編集長のコメント
『僕のサンタクロース』大屋奈々

クリスマスイブの日に「ブラックサンタ」を名乗って現れた少女。自分は主人公のダメなところだけで形成された「分身」だというが‥‥。目の前に現われた自分の分身に、自分のダメさ加減を見ることで、主人公が更生するという設定は面白かったです。ブラックサンタが、もうちょっと女の子キャラとして魅力的だと、さらに良かったかもしれないですね。それから少し話がストレートに終わりすぎなので、主人公が立ち直るまでに、展開が2転3転してほしかったです。

編集長のコメント
『ランナミ』原作/山口大貴 漫画/若生真也

スパイとして現代まで生き残った忍者が、クライアントから受けた様々な任務をこなしていく話。主人公・乱波はコンビを組む静波にコンプレックスを持ちながらも、パートナーとして大切に思っている。コンビ愛を前面に出した作品で、忍術うんぬんを掘り下げるよりも、この作品は、たしかにこっちの方を掘り下げて正解だなと思いました。絵がまだ未熟なところがあり、画面の白さが目立つのを改善するのとキャラクターのデザインに力を入れて、次回作に臨んでもらいたいです。

編集長のコメント
『竜の凱旋』鈴木新隆

竜と人間がタッグを組んで戦う競技「竜の凱旋」に出場し、自分を見捨てた人間を見返したい主人公・ラビン。そこに竜と人のハーフが現れ、自分とタッグを組んで「竜の凱旋」に出ないかと持ちかけてきた‥‥。絵の躍動感と迫力がすごいです。重量感のあるアクションを楽しませてもらいました。架空の競技を描くのは、読者への説明が他の作品よりもたくさん必要で難しく、どうしても共感が得づらいところがあります。次の作品では、この画力をストレートに活かせる題材に取り組めば、もっと多くの読者がつかめる作品を描ける気がします。

編集長のコメント
『ナルシス島奇談』渡辺良平

ラモラミとサエコのコンビが送る、予知夢に始まる、小さな島で起きた夢のようなお話。予知夢に含まれたキーワードを解いて、大金を手にする前半くらいまでの展開はすごく面白かったです。ラモラミとサエコのキャラも良かったのでグイグイ引き込まれました。島にパラダイスを作り始めてからが、話の方向がどちらへ向かっていくのか分かりづらく、少し失速した感じです。新たに出てきた登場人物たちを、もう少しうまくキャラ立ちさせられれば、最後まで楽しめるものになったのではないかと思います。

編集長のコメント
『雄』髙橋冬樹

桃太郎が戌神さまのご褒美(噛んでもらう)という、不埒な目的のために鬼退治に燃えるという、ひねりのある設定がとても面白かったです。登場人物が3人しか出てこないのに、展開が読めない所も良かったです。戌神さまの色気をどれだけ描けるかで面白さが変わってくる作品なので、画力の向上、特に女性キャラをこれから頑張って描けるようにしてください。

編集長のコメント
『奇跡人』宮尾武志

全身癌に冒された主人公の体に、モルモットに咬まれた日から異変が起き始め‥‥。サスペンスな設定と、人生逆転への契機が生まれた主人公の行動にワクワクしながら読み進められました。結末がシュールな形で終わったのが残念で、主人公の目的をもっとはっきりと作って上げられれば、もっと深みのある終わりへと導くことができた作品だと思います。

編集長のコメント
『イマジネーションワールド』榎原虹一郎

人の想像力を想像する樋口むにと出会って、自分の「イマジン」と戦うことになった主人公。彼には夢があったが、同時にその夢を誰かに話したりすることで本気を示そうとしたことのない、閉鎖的な性格を持っていた。彼が自分の中の想像力と向き合い、それを取り戻そうとする物語に真摯な想いを感じました。それをとぼけた感じで手助けする樋口むにのキャラもとても良かったです。主人公が戦う「イマジン」の見た目や特徴がシンプルすぎたので、漫画的にもっと華やかな戦いの見せ方が出来れば良かったなとは思いました。

編集長のコメント
『僕らマジック部』岩佐あきら

いじめに合って笑えなくなった少女を、もう一度笑わせる。そのことに部の存続をかけたマジック部のショーを描く作品。読みやすく、とても泣ける話に仕上がっていました。伝説のマジック師の息子と校長に関係を作ってみたり、女の子があったいじめの内容とマジックの内容をうまくリンクさせたりといった工夫がもう少し凝らしてあったら、なお良かったかなと思います。

編集長のコメント
『鳶』岩佐あきら

太平洋戦争下での、少年同士のいがみ合いと友情、そして恋。それらが読みやすく描かれていて、心に沁みます。男のキャラクターは良く描けていますが、ヒロインのキャラクターが何を考えているのかが少し分かりづらかった印象を持ちました。戦争の描写をもう少し頑張って描いてもらえた方が、物語の雰囲気が伝わりやすくなると思います。

編集長のコメント
『メロンパン戦争』藤谷菜穂

メロンパンを見ると見境がなくなる岬吉高に、野菜を食わせようとする覇王。食い物でキャラ分けされた二人が、なぜか普通に肉弾戦で戦うという、コメディタッチのバトルもの。キャラクターのおバカ加減が絶妙ですごく楽しく読めました。男の子のカッコ良さが際立つまで頑張って画力を上げてほしいのと、アクションシーンにセンスがあったので、そこを武器に作品を作っていってほしいです。

編集長のコメント
『モンスターガール』山口満徳

落盤事故のあったトンネル内に巣を作っていた化け物。入り口で脅える保安官の前に現われた少女・ハナは、トンネルの中に入っていってしまうが‥‥。化け物と戦うハナのキャラクターがとてもキュートで良かったです。化け物自体の恐ろしさも映画『エイリアン』を彷彿とする感じが出ていて良かったです。ハナがいったい何者なのかが最後まで明かされませんが、そこを何とか描き切ってほしかったなあと思いました。

編集長のコメント
『狐と森のレストラン』是利高徳

レストランで見習いとして働く山神優太は、買い出しの途中、交通事故に遭った。気付くと狐たちのレストランにいて、そこで働くことになる。落ち込み、やる気を失っていた主人公が、初期の気持ちを思い出すまでのハートフルな物語。狐の恩返し的な要素と、主人公の悩みが解決する話とをうまく組み合わせていて、構成がとても上手いなと感じました。残念だったのは、せっかくの料理漫画なのに、料理自体にあまり意味がなかった点。シェフとの思い出の料理の味や、狐にしか出せない美味な料理なども、ギミックとして加えてもらえたら、もっと面白くなったと思います。

編集長のコメント
『出撃 第六小隊』山石三加

警護隊第六小隊の主人公・須賀は、カルト教団の誘拐から女子高生を救った。その女子高生に熱烈なアプローチを受けるが、危険な仕事をしているがゆえに、彼女を遠ざけてしまう。SFバトルものかと思って読み始めたら、ラブストーリーがメインだったのでちょっと意表をつかれました。彼女を振るにしても、二人が成就するにしても、もう少し須賀の過去も含めたエピソードの掘り下げなどをしてほしかったなとは思いました。

編集長のコメント
『筑波先生の実験台』山石三加

おかしな発明品を作っては生徒を実験台にしようとする筑波先生。作る発明品がことごとく下品な目的で、発想がベタではあるのですが、笑ってしまいました。特に最後の性欲増進の惚れ薬は、オチが読めても笑えますね。話が綺麗にまとまりすぎているので、ストーリー的にきちんと作れているかよりも、Hなシーンをもっとたくさん上手く出すにはどうすればいいか?ぐらいの発想で作れば、もっとすごい作品になったかもしれません。

編集長のコメント
『アンドロイドは人工知能に夢を見るか』館C

アンドロイドのユイちゃん(人工知能入り)が無邪気ゆえに巻き起こす騒動が、とても楽しくかったです。次々と上書きされていく「人の定義」ネタは、本当に良く出来ていました。作者は、せっかく画力が高いのでも、ユイちゃんの無邪気ゆえの可愛さみたいな部分をもっと意識して描くと良かったかなと思います。そこがうまくいくと、キャラクター人気が高い作品になって、入賞にもっと近づくことができたと思います。

編集長のコメント
『僕が生きるこの世界』犬森

少数民族クドゥル族が虐げられている世界で、主人公ハヤトは一人のクドゥル族の女の子と出会う‥‥。ピュアな心を持った少年と少女の、民族を超えた心の交流を描く作品。まず絵の描き込みの凄さと、世界観に感動しました。二人のキャラクターも非常に好感度が高く、読んでいて応援したくなる二人でした。ただストーリーが未完で終わっている印象を持ってしまうラストでした。二人の気持ちを描くだけではなく、ハヤトの行為が最終的に何を生んだのかまで描いてくれると、もっともっと良い作品になったかと思います。

編集長のコメント
『イルヘヴン』羽多田哲也

死神の異名を持つバトルアクターを、重要参考人として追うことになったトードーとヴィルヘルムのコンビ。画力は新人賞には十分なレベルにあります。特にアクションはとても良く描けています。一方、物語の設定について、作者の中ではとても詳しく作ってあるのだと思うのですが、その設定に関わる新規の用語を、あまり説明なく次から次へと出してくるので、読者として付いていくのが辛い感じもありました。SFやファンタジーならでは設定説明の難しさをどう解決するかに、もう少し気を配って作ると良くなると思います。

編集長のコメント
『地獄空手部』安里千春

地獄空手という空手を祖父から伝授・修行中の強者、嶋田九蔵。その空手の相手は、邪馬台国の遺跡で宝を守る古代の猛者。このハチャメチャな設定と、格闘技漫画の特徴ともいえる「一線を越えた熱量」がうまくマッチしていて、本当に面白いです。この設定はアイデアとしてはとても良いので、あとはバトルアクションにもっと熱をこめてほしいのと、戦う相手のバリエーションも、もっと見てみたいですね。

編集長のコメント
『不用心な姫』古林けやき

不用心な人間を観察するのが大好きな主人公が、電車で見かけた不用心な女の子。しかし付いていってみると、その女の子は幽霊で‥‥。主人公のキャラクターに個性があって良かったです。また女の子も可愛くて、この子が死んで幽霊になってしまった生前の原因を探すというストーリーも、読者からすれば感情移入しやすかったと思います。謎を追って話が進み、途中までは展開を楽しむことができたのですが、女の子の味方になった主人公の気持ちで読んでいたので、真相が女の子の自業自得だったのは、かなり残念でした。

編集長のコメント
『TWO OF A KIND』藤山佑

「最強の巨人」と「最強のチビ」という二人のエースがいながら、お互いを嫌ってチームが機能しない源治高校バスケ部。全国大会がかかった決勝戦の前に、どちらかの退部をかけて勝負することになったが‥‥。キャラクター設定が分かりやすく、コミカルなノリで二人の衝突が描かれていて、楽しくさくさくと読めました。バスケットというスポーツに関しては、あまり新鮮味があるアイデアはなかったですが、シンプルでメジャーな技を、思いきりの良い構図で描いていて、気持ち良かったです。画力がもう少し向上して、スポーツアクション漫画としてもあと一歩上のレベルへ進めるように頑張って下さい。

編集長のコメント
『立花さんと子供』平石桃助

「嘘のような本当の話」というテーマ(?)に沿っているのか、とにかく何が本当で何が嘘なのかが分からないまま、それでも読めてしまうストーリーの不思議さに驚きました。主人公とヒロインの本性のさぐり合いが、変人キャラクター同士の恋愛関係に発展していくのも、すごいなあ、面白いなあと感じました。男の子の幽霊(双子)の存在が多少、状況の読み取りにくさにつながっていると思いますので、出し方をもう少し工夫できれば良かったかなと思います。あとは画力を上げてもらえれば十分入賞を狙えると思います。

編集長のコメント
『trick』濵松一政

「幸福の泥棒」・チャーリーに育てられたスラム街の孤児たち。時は経ち、チャーリーのことを知ろうと3代目・チャーリーを名乗り泥棒となった主人公は、同じくスラム街で育った幼なじみ・火雲が宗教教団の教祖となり聖書・アガスティアを使って世直しを企むのを阻止しようとする‥‥。主人公と敵の関係性など、人間ドラマにつながる部分の設定がとても良く出来ていて、ちょっと泣きたくなるようなエピソードが描けています。泥棒と宗教教団の戦いというのも目新しくて面白いです。主人公の盗みテクと、それを阻止する教団の強引な手段などに、もう少しアイデアがあれば、展開を追う楽しみが増えたと思います。絵では、キャラの描き分けをもっとはっきりした方が良いと思います。

編集長のコメント
『マリアにおまかせ!』ワカホ

お金次第で何でもやるシスター・マリアが、義賊「ねずみ小僧」から狙われている高価な美術品を、高額報酬と引き換えに守る話。金の亡者のヒロインが、イケメンで弱者の味方をやっつけるという設定はとても面白いです。ヒロインも可愛く描けていますし、ねずみ小僧も3枚目なイケメンで読んでて楽しいです。改善点としては、「金」がキーワードなので、二人の攻防にもう少し金銭が絡むようなアイデアがもっと欲しかったなーと思いました。

編集長のコメント
『ラストクロス』ショー西崎

ケンカの名門・霧山三中に転校してきた主人公・切山の目的は、この地区のナンバーワン・和久と戦って勝つこと。しかし和久は強いだけではなく、不良についての確固たる哲学があり切山を相手にしない‥‥。和久という最強キャラが持つ腕力以外の強さ、男らしさが分かりやすく伝わってきます。あっさりと終わるのではなく、もう一展開作って切山と和久を激突させてほしかったなと思います。

編集長のコメント
『EFECT/FACT』牛田悠也

死んでしまって霊となった主人公。しかし主人公が霊となった理由は、何かの未練や無念ではなく、「死にたくない」という生命のあり方に逆行する願い、それだけだった。人はみな死ぬという事実に、ただ嫌だと抗うのは本当にダメなのか?という野心的なテーマの設定は面白いと思いますし、明らかに個性的な主人公を生んでいて面白いです。この作品の問題はそれがストーリーにつながらずに、問答だけで終わってしまうところにあるので、その野心を持ったままの主人公がいかに霊界からの逃走を図れるかを描いてほしかったなと思います。

編集長のコメント
『ジュエルジュ・アドベンチャー』『それからのダイライゾー』山本雅史

前者は、古代セリス人の少女と出会った考古学者の主人公が、その強さと性的な生態に驚くショート漫画。ファンタジーとしてキャラも世界観も良く出来ている作品で、もっとキャラクターの絵にベタやトーンを丁寧に入れて、女の子の方の魅力を前面に出したショート数ページをもう一本加えてくれれば、最終選考には残れた作品だと思います。後者は、ロボットをめぐるショート漫画ですが、時代やキャラクターがめまぐるしく変わり、その説明がさすがに言葉足らずなので、全容がよく理解できなかったです。ただし、世界観とそれを表現する絵の力の入れ方は、前者よりもこちらの方が大きく優れていたと思います。

編集長のコメント
『体内刀生成人間剣さん』日下部裕平

傷口から刀を取り出して戦う事の出来る主人公が、山賊のために兄を失った少女を助けてかたき討ちをする話。体内で刀を生成するという主人公の戦闘ギミックは、見た目にも魅力があり、戦い方にもわくわくさせられました。一方、主人公はそれを「呪い」として解除することを目指しているのですが、主人公にとってのデメリットが全然ないので、どうしてそれを「呪い」と呼び、戦っているのか、設定的によく分からないところもありました。

編集長のコメント
『小さな心』菊地栞

体操競技をやっているが、あがり症でいつも失敗ばかりの主人公が、家族やサーカス団の団長との交流を経て、それを克服していく話。テーマがしっかりしていて、ストーリーも分かりやすくて読みやすかったです。主人公や周りの人たちの心理描写がとても上手で、セリフも演出も良かったです。画面全体に白さが目立つのと、淡々と進み過ぎて盛り上がりに欠ける点がもったいないので、次作ではそのあたりを改善してチャレンジしてください。

編集長のコメント
『助けて!未来人』『お客様は三年後‼』『ゾンビブーム‼』『不正神クラプ』キフセ乱舞

『助けて!未来人』は、未来の主人公とヒロインのキャラクター像と、現在のそれとのギャップがとても面白くて、時の流れをうまく使った良作だと思いました。『お客様は三年後‼』(4コマ集)と『ゾンビブーム‼』は、ネタ次第、オチ次第のところがあるギャグ漫画で、小ネタにくすりと笑えるのですが、今のままでは少し爆発力に欠ける印象です。『不正神クラプ』は、不正を進めてくる「不正神」というキャラクターの面白さがどこにあるのかを、もう少し掘り下げて見せてほしかったです。

編集長のコメント
『救世主』仲西純一

試合に助っ人として呼んでいた井原の、さらに代わりとしてやってきたメガネの男・山田。彼のスーパープレーが、チームを覚醒させる! とにかくサッカーを描くのが上手いです。ワンプレーワンプレーに臨場感があって、スポーツアクションに関しては相当なレベルにあります。主人公のキャラもとぼけていながらパワー型で、とても面白いです。サブキャラのキャラクターデザインがかなり古さを感じさせるので、現在の流行の絵を取り入れて画風をマイナーチェンジできれば、アクションの上手さという武器があるだけに、大化けしそうな才能で楽しみです。

編集長のコメント
『その目では語れない』小谷綾音

ハルとアキという双子の兄妹(妖精?)。その目を見てしまった人間は死んでしまう。死んでしまったヨロヅさんのことを、心の傷として抱えているハルは、アキが拾ってきた人間の子供・スイと恐る恐る触れ合うが‥‥。まず、絵がとても良いです。キャラクターの表情も造形も、まだ粗さはありますが、とても良く描けています。せつなく哀しい表情なども良いです。設定とストーリーに、説明不足な点が多く、キャラクターたちの独白と会話だけが手がかりで話を読み解かなくてはいけないのは、次作での改善点として取り組んでください。

編集長のコメント
『クレイジーグッド』弘幸恭沙

自然破壊を続ける人間を滅ぼそうというルシフェル。それに対抗して戦っていた主人公の土地神は、戦いの中でパートナーの巫女を失っていた。2年後、ルシフェルの復活とともに、主人公の前に転生して現れたパートナー。再び3人の戦いが始まる‥‥。主人公とヒロインのキャラクター、敵のキャラクター、すべて生き生きとしていて良かったです。世界観もしっかり作り上げているなと感じました。ただ、設定の量がかなり過剰なので、読者からすると、この世界を理解するのに相当な労力が必要になります。ストーリーの本線と関係のない孤児院の設定などは、少し整理した方が良かったと思います。

編集長のコメント
『Russit Apple Honey Rabbit』山田桜

幼稚園の男の子が、年上の女子高生に恋するショートラブコメ。とても雰囲気に満ちた作品でしたね。設定から色気も感じました。さすがにちょっとページが短すぎたのと、二人のキャラクターが、女子高生と幼稚園児というところから脱した特徴も持っていてほしかったなと思います。次回に期待しています。

編集長のコメント
『エンジェルヒーロー翼くん』原作/山口大貴 漫画/若生真也

ナルシストな主人公・天使の翼くんが下界へ降りてくるが、大天使の連絡ミスや、堕天使のミスターエイトのせいで、何の仕事も果たせないという脱力系コメディ。話が全然進まないところにクスッと笑ってしまう、ほのぼのする漫画ですね。主人公のキャラクターが少し伝わりづらい作りになっているので、もうちょっと前に出てきて、主人公らしさを見せられれば、もっと良くなったと思います。

編集長のコメント
『15才と六ヶ月のペンギン』中学3年生

受験のプレッシャーの中、テレビから流れてくる社会の情報に苛立ちを覚える主人公。状況と心理の描写がとてもよく伝わる作品です。描こうとしているテーマがはっきりしているので、主人公がこの設定の中、次に何をしようと動き出すのかをストーリーとして広げられると、なお良い作品になるかと思います。

編集長のコメント
『ワライブ』(ネーム原作)ぺろ

中学時代にお笑いマニアだった生徒会長の堅岡と、相方の滑川。堅岡は滑川からのコンビ再結成の依頼を断り続けていたが‥‥。本当にやりたいことに思い切って挑戦する、青春の熱さみたいなものが込められた作品でした。恋も友情も、笑いの作り方も上手かったです。ネームとして足りなかった要素は「意外性」です。こうなるだろうな、という想定内の展開で最後まで進んでしまったのが惜しかったです。

編集長のコメント
『ツアー・オブ・3DAYバケーション』(ネーム原作)渡部菜津美

引きこもりだった男の子・前田天が、たった一人で送り込まれたニューヨークの町。そこで知り合った女の子・明日架ウィリアムは、自分をスターと名乗るが‥‥。夢を追ってがむしゃらに生きる女の子に出会って、自分を変えるきっかけを手に入れる主人公の物語で、作品のロケーションのせいもあって、ハリウッド映画1本観たような気分になれました。キャラクター同士の関係性が秀逸で、二人の顔がそっくりというところがとても良かったです。ネーム(企画)として弱い所は、アメリカを横断するような話なのに、カジノやマフィアの取引などのネタが紋切型で、もう一段詳しい知識の裏付けを感じさせるレベルで扱えれば良かったなと思います。

編集長のコメント
『夢想者』(ネーム原作)藤原匠

文章を書いて、それを具現化する能力を持った者、夢想者。しかし、その能力があった根本明は、夢想の力ではなく、文章の力で自分の小説を書きたくて、夢想者としての力を失ってしまっていた。そこへ、過去に捕らえた犯罪的な夢想者の復讐にあい――。能力設定のアイデアが面白いです。このネーム自体は、夢想力と執筆力の狭間で悩む作家の苦悩がメインで描かれていて、それはテーマとしては面白いのですが、そこを掘り下げても作品としての広がりはあまりないかなと思いました。夢想者同士の戦いが実際にはどういったものなのか、具体的なバトルシステムに、この設定がどう活かされるのか。その点をもっと詳しく読んでみたかったです。

編集長のコメント
『JOKER GAME』(ネーム原作)ヒラヤ

山小屋に閉じ込められた14人の生徒と1名の先生。そこに現われたのはジョーカー。この中に一人、全員のことを殺したい人間がいる、と告げたジョーカーが始めたのはトランプを使ったデスゲームだった‥‥。ゲーム自体のシステム評価は、どれだけ人間同士の不信感をあぶり出せるように出来ているかという点で決まりますので、そういう点で合格点のアイデアだと思います。ただし、長持ちするアイデアではなく、ほぼ最初の1回しかゲームが機能しなかったのが惜しいところです。先生が犯人で、その動機が過去の生徒との恋愛がらみだったというエピソードは、この話の締めとしてよく出来ていたと思います。

編集長のコメント
『黒白の神』(ネーム原作)芝原宗平

国を守るため、何年後かには確実に国の守り神・白虎と一体化する運命にある主人公・夜輝。その時が来るまで、好きに時を過ごしていいと言われているが、後悔のない人生のために何が出来るかに悩む。そんな時、人生の目標がない女の子と出会い‥‥。主人公やヒロインのキャラクター、心理状態がとてもしっかりと描けていて16歳の作者とは思えない力量を感じました。国同士の戦争や、白虎と一体化するとどんな力が発揮できるのかなど、ギミックの点でまだまだ物足りなかったですが、将来がとても楽しみに思える作品でした。

編集長のコメント
『魔女の国』(ネーム原作)野木実

偉大な魔女であった母のようになりたくて、魔女を要請する「魔女科」のある高校へ進学した主人公。魔法の仕組みや、学校の仕組みなどはきちんと作られており、世界観は良く出来上がっています。この物語の、主人公の当面の課題は「友達作り」になっていくのでしょうか。主人公の目的をもう少しはっきり表現してほしかったなとも感じました。魔法を扱うファンタジーという大きな区分けの中で、作者としては何を一番の推し要素としていきたいのかも、もう少し分かるように作ったほうが良いかなと思いました。

編集長のコメント
『昆虫少年時代』(ネーム原作)大舘貴子

都会から転校してきた主人公が、田舎の虫博士少年と交流しながら、田舎の学校暮らしにとけこんでいく物語。分かりやすいストーリーと設定で、3話まですらすらと読めて楽しめました。もっと面白くなりそうな要素がたくさん散りばめられているのですが、どれも浅いままだったのが少し残念です。その中でも昆虫のうんちくが、一番掘り下げられそうなのですが、何の昆虫を扱うのかも読者受けを考えて、チョイスできるともっと良かったかなと思います。

編集長のコメント
『くるみ割り人形の恋』(ネーム原作)ヤマネヒロ

増え続けるニート・引きこもりのもとに、国がその立ち直りを支援するため送り込んだアンドロイド「ナッツクラッカ」。ニートだった主人公は、ナッツクラッカの少女の正体を知らないまま、いつしか恋におちてゆく‥‥。初期設定には魅力がありますし、3話構成の最後の話でどんでん返しを仕込んでいるところも、良く考えられているなあと感じました。最初と最後がとてもよく出来ていたのですが、そこをつなぐストーリーが少し薄かったなという印象です。ナッツクラッカの女の子が、引きこもりをどうやって外へ導くかという部分を面白く作る事が出来ていたら、最終選考には残れたのではないかと思います。

編集長のコメント
『鬼語-おにがたり-』(ネーム原作)虎山羊英人

鬼に憑かれてしまった主人公と、主人公を襲いにくる別の鬼との戦いを描く、バトルファンタジー。主人公に憑いた鬼のキャラクターが、自分勝手だけど可愛くて憎めない、良いキャラクターでした。バトルも絵を描く人次第で迫力のあるものになりそうです。この世界での鬼の設定がどういうもので、主人公のような目に遭う人が他にもいるのか、など少し説明不足なことが多いのが残念な点です。次作では世界観の紹介をもう少ししっかりとやると良いと思います。

編集長のコメント
『害虫駆除隊』『最後の一枚の肉』『僕が消えても‥‥』(ネーム原作)まつの

最初の作品は、害虫を操る悪い人間を駆除し、虫の世界も人の世界も守る主人公の物語で、世界観と勢力図はとてもよく出来ていました。ただ、主人公の能力や見せ場が、虫と話せるというだけでは、バトルの勝敗の分岐も1回しか作れないですし、企画としては弱いなと感じました。次の作品は、タイトル通り「最後の1枚の肉」をめぐって、同窓会中の人物たちが火花を散らす話です。一人一人のキャラは良かったですが、こういった群像舞台劇のような作品では、過去を含めた互いの関係性がキーになります。それがあまりないまま終わってしまったところが惜しいなと感じました。最後の作品は、アルツハイマー病を扱った作品で、主人公の祖父への想いはとてもよく描けていました。ただ病態については、たいていの人が知っている事だけの材料で出来ており、この病気に興味が湧いて作品を読まざるをえないような、新知識や経験談をもっとしっかり調べてから描いたほうが良かったかなと感じました。

編集長のコメント
『松河便利屋-Eyes Find-』(ネーム原作)大正ろまん

触れたものを通して、そのものに記憶された過去が見える能力を持つ主人公。彼は、父母を殺した犯人を捜すため、便利屋を営んでいる‥‥。渋めのビジュアルの主人公の男くささと能力設定は良いなと感じました。事件自体にひねりがなくて、まっすぐに犯人にたどりつけてしまうストーリーには少し味気なさを感じます。展開で読者の予想を裏切れるように工夫をいれてみてください。

編集長のコメント
『誕生日プレゼント』(ネーム原作)くぼみにねこ

主人公が誕生日を迎えて、友達や家族が何のプレゼントをくれるのか、その待っている間のワクワク感はとてもよく表現できていて、面白かったです。プレゼントがいったい何かを最後のページまで引っ張ってから見せるやり方も、ベタですが目が離せなくて良い構成です。ただ、チョコ風呂がなぜ主人公にとってそんなに嬉しい物なのかは、説明がなかったので、読者にとっては最後の最後で疑問が残る残念なオチになってしまいました。

編集長のコメント
『タイトル未定』(ネーム原作)天野光貴

リア充に恨みを持つほど、恋愛面で物足りない生活を送るヒロイン。ヒロインには、大くんという幼なじみがいるが、ある日、二人で事故にあった結果、未来にタイムスリップしてしまう。そこでヒロインが見たものは‥‥。未来を見て戻ってきたヒロインが、幼馴染を意識し始めるスタートの仕方や、一人だけがタイムスリップしていたと思っていたら、相手も同じ状況だったこととか、時間移動をうまく使った物語作りが秀逸です。ただ、この物語は恋愛物なので、一番大事な部分は、過去から戻ってきたときのヒロインの恋心の葛藤を交えた進み方だと思うのですが、ここがあまり重視されずに一気にとばされているのが、少しもったいないなと感じました。

編集長のコメント
『神と解のPG』(ネーム原作)龍雪豪

チビで身体能力の低い解少年は、バスケ部に入っても3軍扱い。他人以上に努力しているのだが、全然うまくならないことに哀しみを感じていた。その解の前に現われたのは、低身長ながら天才的なPGで知られていた藤原神の幽霊だった‥‥。設定的には、天才の霊が乗り移った主人公が、その力を借りて活躍するスポーツ物で、二人の関係性が似たもの兄弟のような描き方で面白かったです。この設定の難しい点は、何もしてないのに主人公がスーパーな力を手に入れてしまっているところを、読者にどう「ずるくないように」見せるかという点です。その力には制限を設けたり、デメリットを作ったりしないといけないわけですが、このネームはその問題までまだ辿り着けていないので、もう少し先まで描いてほしかったなと思いました。

編集長のコメント
『Blue Eyes Assassin』(ネーム原作)松井太郎

帝都で起きる殺人事件。首元にはドラキュラに咬まれたような二つの傷痕。それを解決しようとする忍びと、陰陽師の対立。今は忍びの姿をしている主人公は、青い目をと金色の髪をもったエクソシストだった。和洋問わず色んな設定の能力者と異界の存在が出てきて、非常に華やかな世界で楽しく読めました。周りの設定と主人公の設定が、だいたい同じくらいの目立ち方なので、せっかくの主人公の活躍にあまり目がいかなくなってしまう点を改善してほしいなと思いました。作品の中で、主人公をもっと重視して作るようにしてみてください。

編集長のコメント
『奇譚 血祭の儀』(ネーム原作)作者名未詳

転校してきたばかりの主人公・木戸秀人は、村にまつわる風習・血祭の儀の祀人に選ばれた。しかし、それはただの祭りではなく、ある一族の恐ろしい秘密が隠された儀式だったのだ。主人公が知識もないまま、恐ろしい風習に巻き込まれる、その設定はとてもわくわくして読めましたし、さびれた山村のような世界観も良かったです。謎が解けるまでの恐怖展開が少し物足りなく、一直線に事件の結末までいってしまったところが残念で、もう少し主人公と一緒にドキドキを感じられるような展開を考えてほしかったです。

編集長のコメント
『武勇の王と呪い姫』『不遇の運命対策本部』(ネーム原作)おのた

3作のうち1作が入賞となった作者の、他2作の応募作です。この2作のうち、『武勇王と呪い姫』は、受賞作と同じ特徴の作品で、面白かったです。作者の特徴として、武勇王(主人公)と呪い姫(ヒロイン)の関係性=呪い姫の呪いによって二人は怪我や痛みを共有することになってしまった、という最も少年漫画で大切な部分をアイデアで作り上げるのが本当にうまいなと思います。『不遇の運命対策本部』の方は、宇宙の運命を負わされた人々の最後の戦いという設定ですが、ハラハラドキドキよりも笑いの方に引っ張られ過ぎて、企画性がうまく活きなかったのが惜しい点です。

編集長のコメント
『さむらいハート 黄金魂』(ネーム原作)今野昭範

父のかたき討ちのため、父が遺した剣を背負って旅をする主人公。暴漢たちに襲われたところを助けてくれた男に、父の面影を見るが‥‥。出会った男が本当に父の仇なのか、そして剣に隠された秘密とは何か、ストーリーラインをきちんと作って、次の展開が楽しみになるように作れています。物語は丁寧に描けているのですが、ネーム原作として考えた場合、世界観や剣についてのアイデアにもう少し新味がほしかったなという印象でした。

編集長のコメント
『キリングタイム』(ネーム原作)裏田神平

刺激に餓えた男・黒鉄帝は、魔物が出るというビルを訪れた。そこで出会ったチビッ子悪魔は、魔王のゲームに参加させられていると泣きながら話す。主人公・帝は興味本位でゲームに参加するが‥‥。主人公のキャラクターと、魔王の娯楽という設定がとても面白いです。ゲーム部分に関しても問題はないのですが、勝敗にもう少し切迫感がほしかったなとは思います。この作品の設定を変える事なく、主人公の命や大切なもの、人類の命運がかかったデスゲームにすることができたら、ネーム原作としてはかなり有望だったかなと思いました。

編集長のコメント
『クレマチス』(ネーム原作)蝦夷優樹

大内家の義隆自害までの家内勢力争いを淡々と描いた歴史物。戦国初期のマイナーな題材を掘り下げて、詳しく描写してくれているので、歴史好きの読者には受けが良い作品になっていると思います。各勢力のキャラクターたちも癖があって良いです。惜しいのはテーマがはっきりしない点で、この歴史エピソードの中で作者が一番描きたかった事は何だったのかが、読者にもっと伝わるように描いてほしかったなと思います。

編集長のコメント
『タイトル未定』(ネーム原作)川添友也

原因不明の意識障害で人々が倒れる中、神社に生まれ育った主人公の少年は、時々幽体離脱をする悪夢を見ることがあった。ある日また悪夢を見たが、その夢の中では目玉のような化け物と父親が、剣をもって戦っていた‥‥。ヒロインのピンチを救うために、家に代々伝わる神剣を使って戦うという、分かりやすくてわくわくするストーリーは良かったです。目玉の化け物も、目新しいクリーチャーデザインでとても良いです。あとは、剣を使ったバトルや世界観などにも、目新しさをもっと加えることができれば、楽しみどころの多い作品になると思います。

編集長のコメント
『回る』(ネーム原作)島田和沙

大道芸人・瀬戸さんのただただ「回る」芸に惚れ込んでしまったヒロイン・渚。そのピュアな気持ちを丁寧に描いていて、心を掴まれる作品です。瀬戸さんの芸が極力シンプルなのがまた、ヒロインの気持ちをよく引き出していて良かったです。あとは、瀬戸さんが芸を出来なくなっていく理由や過程などに、もう少し現実味があった方が良かったですね。現実と夢の構図がはっきりして、もっと感動できるお話にできたと思います。

編集長のコメント
『永遠の魂』『復讐人形』(ネーム原作)桶宮明美

『永遠の魂』の主人公は、「太陽の翼」を得て三代目の跡を継ぎたいと思っているが、血のつながりがないため、その資格を疑われている。虎の一族と竜の一族という、分かりやすく見栄えの良いキャラクターたちの戦いという設定は良いと思います。「太陽の翼」を得るための「魂」の力というのが、どうすれば得られるのか。そのテーマにあたる部分を、もう少し掘り下げられれば、話に深みが出たのではないかなと思います。『復讐人形』は、キワモノと言われ、陽の目を見ることがなかった小説家が、霊になって青年に乗りうつり、文壇の大家に勝負を挑むというストーリー。このストーリー、設定はとても興味が湧く、アイデアが満ちたものです。惜しい点は、どういう小説がすごいのか、どういう小説家が偉大なのか、勝敗の基準が読者に分かりやすく提示出来ていなかったことでした。

編集長のコメント
『クロス・ウィザード』(ネーム原作)佐久間ワタル

魔法学校で優秀な実技能力を誇り、一刻も早く卒業して一人前になりたい少年・ガゼット。しかし学校の先生は、ガゼットを一人前とは認めない。彼に欠けているものとは‥‥?大人になる事=覚悟を持つ事、というテーマを見事に消化している作品だと思います。少年のキャラクターも生き生きとしていて良かったです。ネーム原作として考えた時に、世界観と魔法周りのギミックに新しさがそれほどなかったのが惜しいところです。ストーリーは本当によく出来ていたと思います。

編集長のコメント
『SPP 特殊物理警察』(ネーム原作)結城剣志

警察の特殊能力対策課に所属する男女のコンビ(両者・特殊能力者)が、特殊物理事件を解決する刑事物。二人のコンビネーション、キャラクターがとても楽しく、女性キャラの方の特殊能力を最後まで秘密にしているのが、ストーリー上、とても上手く機能していて良かったです。学校内で起きた事件が少しシンプルすぎて、犯人が薄々分かってしまうのが惜しいかなと思いました。あと、主人公(男)の方の能力が多岐に渡りすぎているので、もうちょっと絞った方がキャラクターのために良かったかなと思います。

編集長のコメント
『冥府魔導のルシフェル・ロア』(ネーム原作)佐藤和弥

一人の剣士が、自分が所属する人間側の「秘密」に触れ、魔族の姫を助けて敵対する魔族の国「冥界」へと逃亡する物語。魔族の姫の可愛さ、主人公の純粋さ、そして人間たちが隠している凶悪な秘密、設定がとてもよく出来ていてドキドキしながら読めました。ネームとして少し冗長で、向こうの国へ行くのに相当なページ数がかかってしまっていたり、少し整理が必要なのが惜しいところです。冥界に行くまでが早ければ早いほど、この話はもっと面白くなったと思います。

編集長のコメント
『HerLaurence』(ネーム原作)ぺぺろぺろぺ

海に水没した世界。人魚となった男と魔女となった女と使い魔。これだけの設定、世界観で、すでにワクワクさせてもらえます。地上と海の中で分けられた男女の間のラブロマンスに期待が持てます。残念だったのは、キャラクターたちの区別がつきづらいところです。神様という存在も、話の流れを複雑にしていて、理解しづらかったです。分かりづらさには、ネームの描き方も関係ありますので、もう少しキャラの区別がつきやすいように描いてほしいと思います。

編集長のコメント
『Reunion』(ネーム原作)匿名希望

盗賊団を名乗る「リコリスシスターズ」3姉妹。それぞれ特技を持った3姉妹が敵にするのは、極悪非道な無法者集団だけ。そして彼女たちが戦い続け、盗み続けるのはなぜ?3姉妹の過去のエピソードや、敵組織の秘密など、物語設定がとても緻密に出来ていて、面白かったです。3人の活劇としての見せ場が、派手で華やかではあるものの、攻撃手段などがアイデア不足に見えて、「面白い」と言えるところまではいかなかったところだけが残念です。

編集長のコメント
『ジェットストリームコースター』(ネーム原作)タオル

初めてできた彼女とやってきた遊園地。そこで二人で乗った絶叫マシーン。しかしその絶叫マシーンは、普通ではなかった。乗るたびに時空を超えて、次々と脅威にさらされる恐怖のジェットコースター、という設定が素晴らしいです。ネーム原作としてのアイデア点は非常に高い作品です。主人公が初めて出来た彼女を守るために戦うというのも、とても少年漫画的でとても良かったです。終わり方が中途半端で、実際にどう主人公が戦ったり逃げたりするのかを、もっと膨らませてくれれば、新人賞のもっと上の段階へ進めたかもしれません。

編集長のコメント
『お寺へおいでよ!』(ネーム原作)河田ゆうひ

家が厳しすぎて逃げ出したお嬢様。それを助ける、お寺の住込みをしている元・不良のヒロイン。何よりもお嬢様の心情や、元・不良女のキャラクターが生き生きと描かれていて良かったです。仏教についての知識も分かりやすく紹介されていて、ためになる作品でした。話が多少読めてしまうというか、予想の範囲内で進んでしまうのが惜しいところで、次のページをめくりたいという読者の願望をもっと刺激するように作れれば良かったかなと思います。せっかく破天荒な部分がありそうなヒロインなので、予想の逆を行く行動をもっと意識して動かしてみても良かったかも。

編集長のコメント
『YourHeart』(ネーム原作)Buzzy

ストーカー気質だけど、純粋そうな男の子と、とりあえずデートしてみるヒロイン。その結末は‥‥?ラブコメかと思いきや、急に話がホラーな方へ展開するので、驚きました。人間味があるキャラクターが描けていて、しっかり地に足がついた話づくりが出来ています。ただ展開があまりに急展開すぎるので、もう少し段階を作ってオチまで持って行ければ良かったなと思いました。

編集長のコメント
『クロミツメガネはヒロインにはなれない』(ネーム原作)キクチノブト

黒髪・三つ編み・メガネの3つが揃った自分は、到底物語のヒロインにはなれないとコンプレックスを持っているヒロイン・黒賀美。そんな彼女が学校の人気者・星河に告白されて‥‥。黒賀美さんの気持ち、星河くんの気持ち、両方が丁寧に描かれていて、心が現れるような作品です。キャラクター設定も分かりやすく、ネーム自体も読みやすかったです。ヒロインの魅力という点で、彼女が可愛く見える瞬間を、作中でもっとたくさん作ってあげられれば、さらに良い作品になったのではないかと思います。

編集長のコメント
『トキトビ』(ネーム原作)小谷しずか

くの一・朱の女と、彼女の元・上司にあたる鬼ヶ端。二人は戦いの最中、江戸時代初期から現代へとタイムスリップしてしまう。ヒロインと敵だけではなく、現代に登場する保育園の先生と、その娘さんのキャラクターがとても良かったです。時代を超えて交流するヒロインと先生の対話が、とても心に響く内容でした。ラストシーンで出てきた「生まれ変わり」のような、タイムスリップ物ならではのアイデアが、もっと活かされるようにストーリーを作ってもらえれば、さらに良い物になっただろうなと思いました。

編集長のコメント
『月面世界より』『小さき世界』(ネーム原作)蝸牛孝

前者の作品、後者の作品とも同じような特徴を持っています。前者は、バグというプログラムの出現で地球が滅亡した後、月へと移住したある男の話。そして後者は、おっぱいに挟まれたくて、小さくなる薬を飲んでミクロ化してしまった研究者の男の話。世界観、突飛な発想を持った主人公などが刺激的で、面白くなりそうな導入が作れています。両作品とも途中までは良いのですが、中盤から「超越者」のような存在が出てきて、ストーリーの舵をシュールな方向に切ってしまって、そのままラストを迎えるので、もうちょっと最初の設定に沿った形で、読者の予想を良い意味で裏切るようなまとめ方が出来ると良いのかなと思いました。

編集長のコメント

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