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2018年05月21日

第40回 新人漫画賞 グランドチャレンジ 全作品編集長コメント

第40回月マガ新人漫画賞 グランドチャレンジ 編集長のコメント

※敬称略 ※順不同です。このナンバリングは評価の上下を表すものではありません。

  

奨励賞以上の受賞作品

  

1★漫画部門 佳作『魔道具商のひとり娘』鹿町らいか

魔法の存在を知られたら、記憶を抹消されてしまう魔女のヒロインが、虐待を受けている少年を救う。強制的に人間関係を消去されてしまう魔女としての哀しみや、直面する友人の危機などに対する、ヒロインの心理描写が特に優れていたと思います。題材が今風でなくても、きちんと人間ドラマ、青春ドラマが描ける所を高く評価します!

編集長のコメント
2★漫画部門 佳作『魔法使いと職人』櫻井七海

前前作、前作、そして今作と飛躍的に画力がアップしているのが見てとれて、とても嬉しいです。ギャルみたいな魔女と、職人さんの掛け合いも楽しく、一気に読まされました。次は掲載に向けて、頑張ってもらいたいです。

編集長のコメント
3★漫画部門 奨励賞『あなたに触れる春』瀬川拓人

JKリフレの個室の風景と、包帯ぐるぐる巻きの潔癖症先生のビジュアルだけで、インパクトが強く残ります。そういった設定や生々しい絵を作中に組み込めたことが最も良いところです。まだ拙い絵で画力は低いですが、画風も作風もこのリアルさをキープしつつ、どんどん描いてほしいですね。

編集長のコメント
4★漫画部門 奨励賞『フォーム』広生

ある家族が巻き込まれた悲劇と、追い詰められた主人公の行動。予想外の展開が続いて読者を飽きさせない作品。そこがもっとも評価した点です。絵自体はまだ拙さを感じるのですが、キャラクターの表情が良く、演出にもセンスを感じるので、こういったミステリーやサスペンス、緊張感を売りにする作品を期待しています。

編集長のコメント
5★漫画部門 奨励賞『BLACK OUT』ひのはら。

魔女を管理する側と、暴走した魔女との争い。キャラクターがとてもクールでカッコ良くて、一人一人が魅力的です。絵的にまだ雑なのですが、アクションシーンにはセンスを感じます。設定自体は、わりとありふれたものなので、もう1アイデア、何かほしかったですね。

編集長のコメント
6★漫画部門 奨励賞『メフィストフェレスはかく語る』森賀春人

405号室に出るという幽霊を、アクマとヒロインのコンビで正体を突き止める、コミカルなオカルト・サスペンス。キャラが良いですね。女の子が何か色気がありますし、メフィストフェレスのビジュアルも気合が入っていて、それでいてマヌケなキャラがギャップがあって笑えました。

編集長のコメント
7★漫画部門 奨励賞『かつて俺達は世界を救ってい『た』』明日葉

主人公の、最初に勇者が寄った村の、ちょっと強い奴、というポジションが面白いですね。前世での関係性を見せる事に終始していて、それ自体はニヤニヤしながら楽しく読めるのですが、絵的な楽しみがやや少なかったなという印象です。

編集長のコメント
8★漫画部門 奨励賞『サイレントノイズ』うらのりつ

変化を嫌う女子高生の殺人鬼と、そのペットを務めるイケメン。キャラ設定がぶっとんでいてとても面白かったです。絵的な美しさもあいまって、残酷なシーンが惨たらしく見えないのも、上手だなと感心しました。

編集長のコメント
9★漫画部門 奨励賞『もじきたん』ゑらきせん

文字をキーワードにした描写、後半の画力は圧巻でした。推理物なのでセリフが多いのは仕方ないのですが、詰め込んでいるなぁという印象は避けたかったところです。全体的に画面を見やすくする取り組みをしてほしいです。

編集長のコメント
10★漫画部門 奨励賞『陽の光の中で』小滝倫作

脱獄王・ギルバートワイリーのキャラクターは面白いです。ただ、このキャラの本当の面白さは、最後の最後のページまで出てこないのが残念でもあります。あの壊れた感じを早めに出すのは出来なかったですかね? 世界観を見事に絵に出来ているのも評価高いです。

編集長のコメント

  

ショート漫画部門

  

1★ショート漫画部門 奨励賞『彩湖先輩の恋愛心理学』館ノ川駿

メンタリズムを題材にしたラブコメディ。ひたすらヒロインが照れる様が可愛いですね。それを愛でる漫画としては大成功。ただ、まだ画力が低いので、ヒロインをもっと可愛く描ければ、突出した作品になったかもしれません。

編集長のコメント
 

  

ネーム部門

  

1★ネーム漫画部門 奨励賞『時の果てのレン』田中空

レン・オールドマン。5千万年生きた男。全作品の中で、この主人公がもっとも存在感のあった主人公だったのではないかと思います。バトルシーンやアクションシーンは、漫画家の仕事となりますが、ぜひ完成した漫画を読んでみたいですね。

編集長のコメント
 

  

最終選考まで残ったが惜しくも受賞は逃した作品

  

1『月のメカニカ』蕃茄ハイチ

AIとセキュリティシステムを擬人化した作品。美形なキャラの耽美な魅力に頼りすぎで、そのビジュアルだけで突破しようとして、少し力及ばず、な印象です。絵が非常に上手い方なので、もう少し読者の間口を広げるような企画の立て方にも挑戦してもらいたい気がします。

編集長のコメント
2『流星レポーター』布川いずみ

流星群の日に落ちてきた宇宙記者。ウサギの強盗犯。一方、ヒロインは自分の進路で悩み中。キャラクターも楽しいですし、スケールが大きくて面白いです。ただ、こういった作品を描き切るに必要な画力が、まだ足りてない印象です。もっともっと上手くなって再挑戦してほしいです。

編集長のコメント
3『叶えない蛇』北鴨綾音

何が起きているのか、読者に分かるように伝える力が少し落ちた印象です。前作で説明が不要な設定で分かりやすく描けた感覚を取り戻してほしいです。後半の絵が良くなっていたのはプラスポイント。

編集長のコメント
4『花と魔女と僕』梅之シイ

魔女を殺しに来て、結果的にその魔女と同居することになった少年。二人の仲が深まる契機やプロセスが少し安直で、感情移入しづらかったです。絵柄と世界観はすごくマッチしていて、雰囲気のある作品でした。

編集長のコメント
5『eat a meal』太田

シュールな展開で、付いていきにくかったのですが、インパクトは残ります。不思議な感覚を読者に残すことが、この作品の目的だったとしても、テーマが何かは分かるようにしてもらいたいかなと思います。

編集長のコメント
6『マッハエイト』おきらくボーイ

ヒーロー物のパロディで、失格ヒーローの情けない様を笑いにした作品。類似な切り口の作品が多くある中で、どこにオリジナリティを出すかという点では、少し弱かったかなと思います。小ネタ勝負でしたが、ネタが少し古いのも、新人賞という舞台では不利だったかも。

編集長のコメント

  

その他の応募作品

※ネーム原作の講評は希望者のみになります。

1『カモン! いとしの青春ナンバー3』大槻新

まっすぐなラブコメで、主人公が「当たって砕けろ」で相手に告白していくキャラクター性は、少年漫画的で好感度は高いです。また、それを冷たくあしらいながらも、ところどころツンデレな対応をするクールヒロインも良かったです。画力、特にキャラクターの造形面がもうちょっと上がってくれば入賞を狙える作品が作れるようになってくると思います。

編集長のコメント
2『かみよ×かみよ』出雲ありか

多くの神々が人間に転生して、同じ学校内で生活を送っているという設定は面白いと思いました。ミノタウロスとスサノオがエピソードの中心になっていますが、ミノタウロスの前世を掘り下げるのが大事なのか、様々な神々を新たな因縁・エピソードで交錯させたいのか、そのあたりが絞り切れてない印象を受けます。派手な設定にするのは良いのですが、ストーリーやテーマとして何が優先なのかを、もう一段階しっかり絞ってほしいなと思いました。

編集長のコメント
3『ケダモノとの恋』光成孝一

極端なM体質、ケダモノこと江藤くんのヒロインへの迫り方が、一貫して酷くて大笑いしてしまいました。キャラクターは、いつもブレない事が大事なので、そこはとても良かったと思います。ただ、このキャラを維持したまま、どうやったら好感度が上がるかも考えてみてほしいと思います。それが出来たら、無敵の主人公です。あとは画力ですね。女の子が可愛く描けるように、線1本から丁寧に集中して描くように鍛錬を積んでください。

編集長のコメント
4『おごまんが!』齋藤真由

おごせちゃんは可愛いです。可愛いのですが、漫画としては、おごせちゃんの可愛さ200%で勝負しようとしているのか、キャラ押しというよりも日常の1場面を切り取ってコミカルさで勝負しようとしているのか、ちょっと中途半端な感じを受けました。絵も、もうちょっと丁寧に描いて、画面の白さが改善すれば、もっと作品の印象はよくなるはずです。

編集長のコメント
5『ちちよ先生とゆかいな仲間たち』百家千代

先生とアシスタントとうさぎの(ような)ミミたんと、ブタのぶーたん。漫画の中で、このキャラクターたちを一緒にする必然性が全然なかったし、話自体も短くてキャラ紹介だけで終わってしまったのが残念です。20P弱の漫画で、笑いで勝負しようとするなら、インパクトのあるキャラ1人にしぼって、印象が残るようにネタを作ってあげた方が良かったかなと思います。

編集長のコメント
6『白魔道士ルクスの受難』横田美穂

キャラクター同士の会話や、やる気のなさは、ところどころクスリと笑えるし、センスがあるなと感じました。ただ、話自体がよく分からず、夢オチだったり、ストーリーが初めに戻ったりして、結局それが何だったのか説明もないので、消化不良な印象が残る作品でした。

編集長のコメント
7『G・クラッシュ・パレード』侑‐助

国にイレギュラーに生まれた二人目の姫。それを守る役をおおせつかった、いわくつきの元軍人。お互いの心が近づいていく過程はよく描けていると思います。技術的な部分になりますが、画面の密度が多少濃いのと、画面が詰め詰めで読みづらいところは改善の余地があります。また、出てくる男性キャラがみんなイケメンで耽美な感じなのは、少年漫画的には入りづらい世界観になってしまっているなという印象です。

編集長のコメント
8『アルカナの導き手』氷郷

タロットカードの精霊に導かれて、好きな男の子の事を知ろうとするヒロインの健気さ、可愛さが上手く描けていたと思います。ストーリー的に、「謎の少女」の正体は妹だろうなというのは、ありがちな展開で薄々読めてしまうので、もうひとひねり必要だったかもしれません。あと、タロットカードというアイテムをもっとうまく使って、この作品の世界観をビジュアル的に彩ってほしかったなと思います。

編集長のコメント
9『あの席』(ネーム原作)榮倉團志

先がまったく読めない、面白い作品でした。「あの席」の魔力だけに頼らず、奇怪な恋愛観を持つキャラクターたちによる急展開なドラマ作りが刺激的です。残念なのは「テーマ」が無かったことでしょうか。目まぐるしい展開に加えて、読者に最終的に「恋愛では、これが大事」と伝えたい部分を、作品の中にきちんと作ってほしいなと思います。

編集長のコメント
10『マオウさんは不愉快』(ネーム原作)ゼニマックス

1話目は相当良かったです。ギャル+魔王というキャラも良かったですし、魔界の作法がそのままHな感じの行為につながるあたりも、演出として上手いなと思いました。2話目は魔界からやってきた部下と魔王の絡みになってしまって、あんまり恋愛や男女関係の部分での面白さがなくなってしまったのが残念です。主人公と魔王の関係だけで2話目も描いてほしかったなと思います。

編集長のコメント
11『殿様きゅうしょく』(ネーム原作)いただきます

最後の2Pで急にアクセルが踏まれた感じの作品で、その2Pに作者の主張が詰まっています。最後まで読めば、心に刺さるのですが、そこに至るまでの給食の話が普通過ぎて、読者的には途中で読むのを止めてしまいます。ネーム原作と言う事も考えて、もう少し構成には工夫が必要かなと思います。

編集長のコメント
12『破邪鬼伝☆乱鬼』(ネーム原作)流良戒

設定上、鬼であることにそんなに意味はないかなと思いました。むしろよくある「夢の世界」で精神や肉体に悪影響をもたらす外敵を退治するお話として読みました。ヒロインの成長や、悩みはしっかり描けていたのですが、話の展開に驚きがなく、予想の範囲内で進んでしまうのが、ネーム原作としてはちょっと厳しいかなと思いました。

編集長のコメント
13『旅のはじまり』(ネーム原作)堂脇榛華

世界情勢、国と国の関係、宗教・民族、軍の組織などなど、設定ひとつひとつを丁寧に作り上げていて、その中で出てくる登場人物もそれぞれの人生や人間関係を背負って生きていて、すごく誠実な作品だなぁという印象です。ただ、作者の目線が俯瞰すぎて、全体を描くことに終始している印象です。登場人物のうちの誰かと誰かの恋愛関係や友情、親子関係などにフォーカスして、そこだけを掘り下げる中で、全体の世界観が見えてくるように作ってほしいなと思います。そうしないと、物語としては面白みが薄れてしまいます。

編集長のコメント
14『アウタードリフターズ 悪辣漢達の漂流記』篠山夏介

宇宙配達人の主人公で、裏の顔は宇宙のトレジャーハンターというので、設定的にSFを期待したのですが、シーンがモンスター同士のバトルだけで、ちょっと期待外れでした。画力が必要なジャンルの作品ですが、モンスターバトル自体が少し雑な描かれ方をしていて、迫力に欠けたのが残念です。もう少し修練を積んで、キャラの造形や、アクション全般に関わる画力を向上させて再挑戦してほしいです。

編集長のコメント
15『伝説の歩』森下さく

将棋のひふみんと藤井君の対局をネタに、若者文化と老人のギャップを描こうとしているところまでは、「企画として面白いなー」と感じていました。そのあたりから最後のオチまでがちょっとシュールに逃げてしまっている感じなのが惜しかったです。作者自身から感じる全方向にケンカ売る感じの芸風は面白いし、むしろ好きです。プロフィールの「受賞歴」にジャンプの第6回GカップにてEカップ受賞、とかふざけてくるのも好きです。

編集長のコメント
16『超能力者だからって何でも思い通りになると思った? 残念、ただの人がいました』(ネーム原作)龍雪豪

超能力者の中で「無」を司るgouという存在、その設定は何か新しさを感じてワクワクしました。しかし連載形式の作品で、2話目以降、そのgouの事を語る田中さんに主人公がバトンタッチされ、その独白や行動観察だけに話が終始したところから、急に読むのが辛い作品になりました。難しい事にあえて挑戦しているのかもしれませんが、一番強いアイデアやキャラクターをしっかりと描くことに集中した方が良い物になったかなと残念に思います。

編集長のコメント
17『フリースタイルジャム』(ネーム原作)祥葉健人

スポンサーの意向を背負って、戦う武器を自分で選べないけど、そんなハンディを背負ってお金の為に戦う主人公、という設定は新しくて面白かったです。ただ、バトルが延々と続きすぎて、主人公の過去だったり目的に関わるエピソードや、そもそもの世界観についての説明などが出てこないので、何の話だったのかよく分からないまま終わってしまった印象です。ネーム原作ということを踏まえると、キャラだけではなく、もうちょっと設定的な面での面白さも加えてほしかったです。

編集長のコメント
18『ジャイアント・フィニッシュ』(ネーム原作)栗田匡平

青春物でフードファイターを目指すという作品はこれまで見た事がなく、新しい試みで面白かったです。ただ、ちょっと物足りなかったかなという印象です。フードファイト自体は、学校の食堂で1回やっただけで終わりでした。少なくとも主人公が挑戦の意思を固めてから、もう一度戦うところまでは描いてほしかったです。

編集長のコメント
19『アンノウンテイル』(ネーム原作)玉野ヒロシ

「混ざった日」「色々なものが混ざった世界」。この言葉は刺激的なSF・ファンタジーを想像させてくれて、世界観に期待を抱きました。その設定をもっと掘り下げていってほしかったのですが、お話の構成自体はバトルに重きを置いているので、少し残念な印象でした。バトルアクションで見せる事がメインになるのであれば、原作に留まるのではなく、自分で描いてもらった方が面白くなるタイプの作品かなと感じました。

編集長のコメント
20『都市伝説の友だち』服部汐里

面白かったです。トイレの花子さんが、同種の怪談であるリカちゃんを殺して、もっと大きな怪談になろうとする設定が面白いです。それぞれの怪談にネット上の噂が付け加えられて大きくなった「都市伝説」の影響が、キャラクターにフィードバックされてくるシステムも、アイデアに満ちていて良かったです。24Pで終わりではなく、もうちょっとページを増やして、しっかりとしたストーリーとともに読みたかったです。

編集長のコメント
21『雨と晴れの空』(ネーム原作)秋乃克行

作品の導入部分の演出力だったり、キャラクターのミステリアスな感じだったり、読者を引き込むことを意識したネームで、好感度は高いです。「痛み」を与えるという主人公の能力ですが、能力的な工夫・アイデアがもう少し欲しかったなという印象です。与える相手によって変化するとか、罪の大きさによって変化するとか、この物語のテーマがもっと深まるような独特の解釈があれば良かったのにな、と。

編集長のコメント
22『perfect game』『無題』(ネーム原作)北原豪

2作品とも、世界観に関する説明が延々と続くだけで、物語自体がいつまでも始まらない印象です。この描き方では、せっかくの面白いアイデアがある作品でも、読者が読むのが辛くなって止めてしまうリスクがあります。またネーム原作として考えた場合、描き手がどこを魅力として描くべきか悩んでしまうので、もう少し作品としての勝負ポイントが分かるような作り方をしてほしいです。

編集長のコメント
23『順流・逆流』(ネーム原作)小田ひろみ

こういった作品を難解だというつもりはありません。むしろ「個人の自由」と「他者との関係」というのは、青春期のもっとも重要なテーマですから、難解そうに見えても若い世代の読者の人には感じてもらえるものはあると思います。一方で、作者がテーマにハマりすぎて語りすぎている印象も否めません。作品として読者に読んでもらおうと思えば、純粋にストーリー展開が面白い、キャラクターが面白い、と感じてもらえるように作らないといけません。キャラが、思想の代弁のために主として存在しているような印象になってしまっています。そこは改善していってほしいなと思います。

編集長のコメント
24『精霊王~1979』(ネーム原作)緑川連唱

ネームの描き方が雑すぎて、何が起きているのか判別が難しいです。セリフの多いネーム原作ですが、そのセリフが登場人物の誰から発せられたものか、しっかり分かるように描いてほしいです。ネーム原作部門は、その後、誰か漫画家にそのネームを託すためにありますので、自分だけが分かれば良いという描き方は減点対象となります。

編集長のコメント
25『プレミアムキング』(ネーム原作)土師智洋

カードでポイントをいかに貯めるか、というのはネット上やメディア媒体でも色々熱を持って研究されているので、ネタとしてはありふれている感じはあります。そこから奥さんとの関係でポイントをためるにはどうすればいいか、という展開を見せたのは面白いなと思いましたが、全般的には驚きが少々足りない印象です。知識披露に徹してすごい情報を仕込むか、それとも良い話につなぐのであれば涙が出るくらい感動的な展開を作るか、どちらかに思いっきり振ってみるくらいで良かったかなと思います。

編集長のコメント
26『BUG 心の在処』(ネーム原作)岡本真北

人類を絶滅させたバグ、そのバグを絶滅させるためのプログラムは人類絶滅を前提としていたため、生き残った人類を襲い始めた。その時、バグ退治のために送り込まれた主人公は‥‥。世界観がしっかり作り込まれたSFで面白かったです。設定に魅力があって、原作としての好感度は高いのですが、見せ方としては説明が多すぎます。もう少し説明するべきことを絞れるようになれば、もっと良かったかなと思います。

編集長のコメント
27『恋はいつでも突然に』(ネーム原作)石川陽

最後の最後にやってくる破滅待ちの構成は、読者に途中で読むのを止められてしまう危険があるのですが、この作品は最後まで読んでもらえれば確実に読者に怖い思いをさせることが出来る力を持っていますね。話全体に漂う怪しい空気もあるので、読者は案外気になって最後まで読んでくれそうです。ただ、ロボットの暴走というアイデア自体は珍しい物でもないので、作品に目新しさはありません。最終選考に残るには、展開のアイデアとして、あと一ひねり欲しかったかなというところです。

編集長のコメント
28『クソガキと女王様』世界のやわぱん

ヒロインが誰に対してもドSキャラという部分は面白かったです。ただ、ヒロインが主役なのか、村正君が主役なのか、キャラの見せ方が中途半端で分かりづらいところがありました。またストーリーが、ドSキャラの女の子が弱さを見せたところを、男の子が隠れ持った男気で救うというベタな展開だったので、先が読めてしまうのが残念なポイントでした。もうちょっとそこに、独自な展開を組み込めるように工夫してほしかったです。

編集長のコメント
29『百三号室』台丸谷和葉

結局、犯人は判明するけど、なんで殺そうとしたのか、そして被害者との関係は何だったのかが分からないままで残念です。面白そうな登場人物たちが揃っていて、ちょっとワクワクする出だしだったのですが、人間関係の説明が全般的に抜け落ちすぎているので、推理パートに行く前にもう少しページを割いてほしかったですね。

編集長のコメント
30『憧憬の島』長山桃花

最初、無人島ライフの楽しさを読者に教えるドキュメンタリーっぽい作品かと思ったのですが、途中からファンタジーになり、そしてお爺さんと怪物と主人公のハートフルな作品として着地したのが、予想の斜め上をいって面白かったです。読後感が不思議な作品でした。絵はまだ雑で、線が弱いので、しっかり主線を引くところから練習を積むようにしてください。

編集長のコメント
31『ともだち』遠藤雄基

テンポが良くて、とても読みやすかったです。いじめが題材の漫画ですが、いじめていた側が逆転していじめられるようになって、それをいじめられていた子が救うという展開だけではありきたりです。その中でもう一段階このテーマを掘り下げるところを見せてほしかったです。絵はしっかりと強い線が引けてはいますが、キャラの等身のバランスがおかしいので、人物の写生をするなどして練習をしてみてください。

編集長のコメント
32『上田君と倉本さん』鳥夏テルオ

血を吸う倉本さんと、倉本さんの事が一途に好きなので、血を飲む要求に淡々と答え続ける上田君。二人の関係の描き方が微笑ましくて、純粋で、面白かったです。ストーリーもキャラも良いと思うのですが、画面作りがさすがにシンプルすぎて、もう少し絵的に映える工夫、読者の目を楽しませる工夫もほしいなあと思いました。

編集長のコメント
33『ラパン・カルテット』(ネーム原作)佐々木公寿

すごく読みづらかったです。元々小説として書かれていたもののようですが、登場人物が読みながら特定できないレベルですので、最低限、キャラを認識できるように描いてほしいなと思います。あと、すべてのセリフが誰のセリフなのか分かるようにしてもらいたいと思います。1コマの中に何個もフキ出しがあって、それが誰から放たれたセリフなのか、読者を意識して描くようにしましょう。

編集長のコメント
34『写せぬ君へ』林直樹

自分の目を見た者すべてを石に変えてしまうメドゥーサの少女、そのメドゥーサの少女をモチーフに絵を描くことに命を懸ける少年。ただ、絵を描くためには、メドゥーサの目を見なくてはいけない‥‥。主人公とヒロインの間の練られた関係性が面白いです。絵もかなり上手いのですが、少しキャラクターの表情や動きが固いなという印象です。ラストの展開は、主人公の達成感が悲しみよりもっと伝わるように表現できていたら、感動が増していたかなと思いました。

編集長のコメント
35『汝、世界を愛せよ』山田ハルコ

キャラクターが良かったですね。主人公はもちろんですが、師匠の脱力キャラだったり、救済の天使と、そのお付きの者のキャラも良かったです。ストーリー自体は、救済の天使の女の子自体にそれほどの罪があるわけでもないので、(親を裏切ったというのは、ヒロイン自身の内面の問題なので)主人公が救ってあげればいいだけで、展開の面白さには少し欠けるところがあります。絵についてですが、まだシンプルな線だけの単調な絵柄になっているので、これから線を使い分けるなどして、もう少し絵に特徴が出てくるように頑張ってほしいなと思います。

編集長のコメント
36『ブレードエッジ』いちご大福

ライバル同士の関係や、親の因縁なども含めて、人間ドラマの部分はしっかり描けてると思います。ただ、スピードスケートのスピード感や躍動感などを表現するには、正直まだ画力が足りなかったかなという印象です。スポーツを描きたいのであれば、アクションシーンはとても大事になりますので、修練を積んでほしいなと思います。

編集長のコメント
37『石になった魔女』夢咲健志

街の人たちを石にした魔女メドゥーサとその娘の物語。なぜ母親は、仲良くしていた街の人々を石にしてしまったのかという謎の設定と、それが明らかになっていく展開の作り方がすごく上手くて感動しました。作品として足りないものは画力だけです。キャラクターをしっかりとした線で自信を持って描くことから始めて、どんどん向上してほしいと思います。

編集長のコメント
38『呪いプリクラ』照屋タクミ

理不尽に呪われて、主人公の周りで次々と死人が出ていくという、ホラーとしては王道の展開。プリクラが起因というのも、設定としては、まあ思いつくアイデアかなという範囲です。ただ、表現力はすごく高かったと思います。怖いシーンが圧倒的に怖いです。これで画力がついてきていれば、もっとすごかったと思うので、惜しいなという印象です。

編集長のコメント
39『THE CORRUPTION WORLD 腐敗世界』『星妹』上野竜馬

すごく上手です。特に前者の作品では、手書きタッチの背景が荒廃した世界にマッチしていて、雰囲気がすごく良かったです。女の子から中年の男までリアルに人物を描き分けられているので、画力に幅もありますし表現力も高いです。非常に可能性を感じる方で、すでに力もあると思うのですが、少しテーマが抽象的で読者に分かりづらいところがあるので、賞を狙うためには、あえてもう少し分かり易い題材で勝負するのもありかと思います。

編集長のコメント
40『丑三つ時からこんにちは』ハル

夜中に、寺院の仁王像がくだらないことを喋りはじめる、しかも片方オネエキャラというギャグ漫画ですが、アプローチは良かったと思います。オチも微笑ましかったですし。ただちょっと短すぎましたね。もう少し展開を作ってからオチにもっていってほしかったです。もうちょっと笑いたかったです。

編集長のコメント
41『ピノキオレース』青トキエ

相変わらずの画力の高さと表現力です。受賞レベルの能力は今回もしっかりと示してくれています。絵で勝負して構わないタイプの方だと思うのですが、ストーリー的に主人公の生き返りたい理由にもう少し具体性を持たせてほしかったなとは思いました。漫画ですから、主人公の気持ちに読者を共感させる回路を、もうちょっとしっかり作ってほしいのです。それが出来れば、この絵と表現力があればデビューできるはずです。

編集長のコメント
42『Bitter Sweet Life』関根俊介

キャラクターに嘘がないというか、おじさんもお母さんも、そしてニートのヒロインもすごく自然体で良かったです。キャラクターの口から出てくるセリフに真実味がありました。ただし、作品全体はコーヒーのTVCMみたいな仕上がりになってしまっていて、仕事論とか人生論ですごく良い事言ってるのに、それよりもコーヒーに注目がいってしまいます。単にバランスの問題だとは思いますが、アイテムはあくまでわき役として見えるように使い方に注意してください。

編集長のコメント
43『こぼれた灰はすくえるか』高阪実南

国にはびこる悪を滅ぼすために、王子自ら暗殺者となって闇夜に活躍する物語。設定の面白さと痛快さがあって、少年漫画的には良かったです。王子が夜に見せる表情が、ただのヒーローのそれではなくて、どちらかというと殺し屋の目をしているのが印象的ですね。惜しむらくは、画力がまだまだ拙いので、そのあたりを魅力的な絵という形で読者に伝えられていないのが残念です。

編集長のコメント
44『SEVENTH』小木京

設定とストーリーがとても良かったです。ただ設定に関しては、説明し過ぎなところも目立ち、そのあたりのバランスのとり方は課題として残るかなと思います。主人公も良かったです。最後の見開きアップの表情なんかは思いきりがよくて、とても印象的でした。逆に女性キャラの表情が死んでいたり、顔のバランスが崩れがちなのも目立ちます。女性を描くのが苦手なのかもしれませんが、これは練習で気にならないレベルまでは引き上げてほしいかなと思います。

編集長のコメント
45『おうちに帰ろ。』上森裕文

召喚したサタンと、女の子二人の同居生活。2話目から、話が急にサタン目線になりましたが、その方が明らかに面白くて良かったです。ただ、Hなネタにしろ、暴走ネタにしろ、ネタ自体のクオリティは高いのですが、それをもっと絵的に最大限面白くしようとしてほしかったなと思います。全体的に画面が白くて作り込みが足りないかなという印象です。

編集長のコメント
46『スミレと熊』網問トア

花屋さんと少女の触れ合いが中心で、シンプルな絵柄なのですがキャラクターの感情がきめ細やかに描けていて、とても上手だなと感じました。花の話にしろ、立ち退きの話にしろ、ダムの放流にしろ、リアリティを感じさせるところまでは掘り下げられていないのがちょっと物足りない印象です。ダムの放流時のピンチを、アクション物みたいな感じで回避するのでは、ファンタジーになってしまいます。このお話は、二人をめぐる状況に具体性と説得力があればあるほど、読者は二人の感情に入りやすい構造をしていますので、リアリティにこだわってほしかったかなと思います。

編集長のコメント
47『タクちゃんの手洗い教室』黒田スラッシュ

手洗いの知識から、チカンで逮捕のオチまでがコンパクトで秀逸です。たった2本しかなかったのが残念です。あと何本か、このレベルで読ませてもらえれば、最終選考まで進めたかもしれません。

編集長のコメント
48『小つぶでもピリリと辛いさんしょの実』大久保耕太

小さな女の子が、その体のハンデに負けず、剣道の強さを磨いて、巨漢の女子部員をぶっ倒すお話。小さくてもどうすれば強くなれるか、という部分をもっと掘り下げてほしかったです。主人公の相手としてふさわしいライバルではなく、ただの巨大でブスな女子部員との戦いでは、読者的にはあまり盛り上がらないです。敵役のキャラクターも、ビジュアル含めて気を遣ってほしかったです。

編集長のコメント
49『11プラス』中川司

仲良しサッカー部の3人組が事故に遭って、2人が死亡、1人が生き残ったものの心が死んでしまうという事態。生き残った1人の体を、死んだ2人の魂が交替で使うことになるが‥‥。死んだ側と生き残った側それぞれの過去やサッカーへの想いが、だんだんと明らかになっていく構成が上手いなぁと思いました。ストーリーはとても良かったので、あとは画力がもう少し上がれば、入賞を狙えるのではないかと思います。

編集長のコメント
50『魔法使いユウヒ』矢口尋

タイトル通り、ある日魔法の世界の存在を知ったユウヒが、小さい頃からの夢を叶えて魔法のほうきで空を飛ぼうとするお話。とても可愛らしい絵柄とストーリーで、完成度は高いと思いますが、少年漫画としては可愛らしすぎて刺激に欠けるのが惜しいところです。漫画としての出来はいいのですが、小学生低学年の女の子向けのお話かなと思いました。

編集長のコメント
51『十月のヴァンパイア』あさの広小路

あの世とこの世の境目で働く、ドラキュラを始めとした様々なモンスターたちのキャラクターがすごく魅力的でした。ストーリーもよく出来ていて、ドラキュラとヒロインとの関係が、こちらの予想を裏切る展開で二転三転するので、続きが気になって一気に読めました。あとは、このストーリーをもっとドラマチックに読者に感じさせられるような演出力、画力を磨いてほしいなと思いました。

編集長のコメント
52『みずいろ古書店』夏野ばな菜

面白かったです。事件解決をまっすぐに目指すのではなく、変質者をめぐる登場人物たちの関係性を見せていく作り方がとても良かったです。事件物だけどホームドラマの魅力が出せているのが、この作品の良い所なんだと思います。ただ、古書店店主の水色くんが主役のわりにはちょっと印象が弱い。もう少しハッカーとしての能力を目立たせて、カリスマ的な魅力をもったキャラクターにしても良かったかなと思います。

編集長のコメント
53『タマちゃんの神社再興』中川司

キャラクター、特に女の子の表情がとても可愛く描けていて、これだけでもかなりの武器になると思います。全般的に画力は高く、絵だけなら入賞レベルにあると言えます。ただ、ストーリー面では、ヒロインのお金至上主義者というキャラクター性を、あまりうまく活用できていなかった印象です。ヒロインが嫌われて、そののち何事もなかったかのように戻ってくるだけだと展開としては退屈です。もう少し工夫してみてほしかったです。

編集長のコメント
54『ジグゾルザルゾ』(ネーム原作)ありぴよこ

ネーム原作の作品としては、謎の多い設定を使い過ぎな印象です。世界の成り立ちや、そこで生きる管理者や侵食者などの存在が何なのか、どんな姿をしているのか、説明はあっても想像するのが難しいです。ゼンちゃんとあくちゃんの友情という部分だけが、読者にとって理解できる部分です。もちろん原作者の頭の中にはしっかりとした絵が浮かんでいるのだと思いますが、こういう作品を他の漫画家の手に託すのはちょっと難しいかと思います。

編集長のコメント
55『じょうぶつできそうだったららいんします』くぼしょう

死んだけど成仏できない高校生と、(黄泉の世界へ送る役割の?)駅員さんの脱力感あふれたブラックな会話を楽しみました。会話劇なのに、しっかりとした背景を描き込んで、雰囲気を作っている所も素晴らしいですね。短編としてよく出来ているとは思いますが、出来れば高校生の一人語りですべて解決するのではなく、事件が何か一つでも起きたうえで、結末へ向かってほしかったですね。

編集長のコメント
56『ナインズ・ゲート』岡本和貴

ストーリー的にメインになるのは、主人公の出生の謎とそれが明かされるくだりだと思うのですが、その話運びがちょっと拙速な感じがします。主人公が魔法を使えない理由とか、この星に風の魔法使いがいないこととか、すべての設定を、主人公の出生の謎の解明と同時に一気に活用しようとすることにムリがある印象です。一つ一つの設定をもっと丁寧に段階を踏んで活かしてあげてください。絵柄は密度があって、世界観に重みがあるように感じられて、とても良かったです。

編集長のコメント
57『フライパンとフライ返し』『地縛霊』なかつきほづみ

前者は、たった8Pの会話劇の中で、展開を2つ3つ組み込めているのは、すごいと思います。オチまでの流れも綺麗ですね。フライパンとフライパン返しのコンビだけではなく、他の組み合わせでも幾つか読んでみたかったです。後者も同じ作風で、地縛霊ちゃんのキャラが可愛いとは思いましたが、前者と比べるとちょっと展開が乏しかったかなと感じました。

編集長のコメント
58『blackbloodbook』宮崎隼樹

超能力を与えてくれ、シリーズ全部を集めると願いを叶えてくれるという魔法の書。それを得るために、本の所有者同士が殺し合いのバトルロイヤルを繰り広げる。ヒロインである女の子の狙いが分からないまま話が終わってしまうので、消化不良なところが残念です。ただ、セリフ回しやストーリー運びがすごく上手で、とても読みやすかったのは良かったです。絵がまだ拙いので、能力者同士の殺し合いが絵的にも楽しめるところまで、画力を上げる努力をしてほしいなと思います。

編集長のコメント
59『デッドヴァイパー恭子さん』鳴海祐

万引きGメンの恭子さんのキャラクターとしてのヤバさが、すごく面白かったです。前半でGメンの仕事紹介をして、後半で実際に万引き犯を捕まえるケースを描いていく構成も良かったと思います。ただ、恭子さんがわりと無敵モードなので、展開にハラハラしたりするところが全然なかったのがちょっと残念です。この仕事の負の面というか、ピンチや危機も展開として描いてもらえればもっと良かったかなと思います。

編集長のコメント
60『B.C.5000~言えない想い』(ネーム原作)みお

ページがとにかく長すぎるなという感じがします。ヒト族と、それ以外の絶滅人種の登場人物たちとの違い、それから人種を超えた恋愛模様、どちらももっとコンパクトに描けるのではないかと思います。あと、人種の違う人々同士の出会い、交流を描いてるわりには、ヒト族とそれ以外にそれほど違いを感じられないので、普通の人間同士の恋愛物と何が決定的に違っていて面白いのかが、分からないです。そこを明確にして読者に「面白いでしょ」と届けないと、難しいかなと感じました。

編集長のコメント
61『すこし』『七転八起』林けい

前者は、主人公がいじめにあっていた幼なじみと結婚式で再会して、学生時代のことを回想する、と言う形で描く作品で、後者は韓国人の女の子と日本人の男の子の淡い恋の芽生えを描く作品。前者も後者も、TVドラマや映画でよく見る形の作品なので、ストーリー的な面白さはあまり感じなかったですが、演出が素晴らしいシーンがいくつかあって、そのシーンは鳥肌が立つくらい素晴らしかったです。(具体的には、主人公がぶち切れて女子学生を殴るシーンが一番すごかったです。)おそらく作者は、このシーンが描きたい、というのが最初から決まっていて、ストーリーは後から整えたのかなと感じました。ドキッとさせるシーンが描けるというのは、何にもまして大事な能力ですので、それを活かした作品をこれからも描いていってください。

編集長のコメント
62『轟け!!轟ヶ丘高校薙刀部!!』モカヅマツモト

薙刀部といっても「ビーム薙刀部」という、なんだかよく分からない部活設定で、最後までシュールなギャグでボケたおすのが売りの作品。全面的にボケが繰り出されてくるので、ちょっとこちらも読んでいて疲れる感じがあります。このページ数を使ってギャグを描くなら、ボケるキャラを絞るとか、ボケるシチュエーションを絞るとかした方が良かったかなと感じます。それかストーリーは削ってしまい、ページを減らして入部初日だけで完結させた方が良かったかもしれません。

編集長のコメント
63『ガレオンの騎士』はやしゆきのり

絵の密度の面で、非常に力作です。海賊船とドラゴンバスターの船のバトルシーンは細かい所まで描き込まれて、画面から伝わってくる迫力と熱量がすごかったです。画力は申し分ないのですが、海賊船や海賊のキャラクターデザインなど、少し古い時代のデザインセンスになってしまっているのが、気になります。これは「あえて」なのかもしれませんが、やはり今の若い読者に純粋にカッコいいと思われるようなデザインを目指してほしいなと思いました。

編集長のコメント
64『マンケン!』『sister×sister』『突然性別が変わったら』龍雀武虎

作者は他にもいっぱい投稿してきてくれてますので、1つ1つ短めに感想を言います。『マンケン!』は、主人公のキャラが素晴らしいです。漫画に活かすために格闘技系の部活を全制覇していくキャラというのは、夢があって面白いです。一方、部活のヒロインたち4人は、まだそれぞれの魅力が出る前に終わってしまったのが残念です。『sister×sister』は二人の妹のキャラの違いが良く出ていて、それぞれ可愛くて良かったです。もうちょっとページを増やしてネタが見たかったですね。『突然性別が変わったら』は、女性になってしまった主人公が、圧倒的に一番可愛かったので、女装したあとの展開が描かれないまま終わってしまったのが残念でした。

編集長のコメント
65『ケモミミDAYS』『ごーいんぐまい☆まじっくでい』『小悪魔なセンコク』龍雀武虎

この3作品は、どれも「妹」の扱い方がキーになっていた作品なのかなと思いました。「中二病の妹が、主人公のお兄ちゃんに心配かける『ごーいんぐ☆まじっくでい』」と「ちょっとHな小悪魔を召喚してしまったお兄ちゃんに嫉妬する妹が出てくる『小悪魔なセンコク』」。この2作品は、それぞれ妹キャラの可愛さ次第の作品だと思うのですが、わりとありがちなキャラクターに留まっていたかなと感じました。『ケモミミDAYS』は、妹含めてハーレム漫画にしちゃっているところが珍しく、かといって女の子のキャラの間の争いが激しいわけでもなく、平和な世界観がかえって萌えをもたらしていて一番良かったです。(この点は『sister×sister』も同じですね。)

編集長のコメント
66『太古の宇宙人少女、宙』『俺の彼女は腐ってる』龍雀武虎

前者は、太古の時代に宇宙から飛来した少女と、その少女を家で養うことになった少年の交流を描く作品。しっかり読みやすく描かれてはいますが、人間ではないものと人間の交流を描く多くの作品のストーリーラインをそのまま描いている印象で、オリジナルな設定・アイデアや展開に欠けているなと感じました。後者は「BL好き少女」と付き合うことになったら、という作品。これも類似作品が今やたくさんありますので、これを題材にラブコメを描くのであれば、もっと新しい切り口を見せてほしいなと思いました。

編集長のコメント
67『インコの合コン』田上愛

人間社会の出来事を、動物を使って描写するという手法はよくあります。この作品ではインコなわけですが、まずはインコの絵はとても上手く描けていると思います。ただ、なぜインコを擬人化したのか、という事が最後までよく分からなかったです。インコがしゃべっている内容や、やっている事は、人間のキャラそのままで、特にインコにやらせる意味を感じないです。もっと言えば、インコ自体の表情の幅が狭いので、その分、表現できる感情やニュアンスが少なくなってしまっていて、パワーダウンしている感があります。人間を揶揄したいのか、それともインコの可愛さをパワーアップさせたくて人間並みの感情や言葉を持たせたいのか、そのあたりの狙いをはっきりさせることが重要な気がします。ただ、インコのヘッドバンキングはネタとしてすごく面白かったです。

編集長のコメント
68『一歩前進』松野圭良

ストーリーとしては綺麗にまとまっています。ただ、夢が見当たらずに田舎に戻った主人公が、幼馴染の幽霊と出会って精神的に立ち直るという筋書きだけでは、ちょっと物足りない感じもします。幽霊の葵ちゃんが住んでいる家の取り壊しに反対するだけではなく、主人公が自分で家をリフォームしてしまうとか、そこでの体験が主人公の新しい道につながっていくとか、この作品オリジナルな設定をもっとうまく活用して、展開を作っていけたら、もっと良かったかなと思います。

編集長のコメント
69『非描写エピローグ』(ネーム原作)皆月大樹

「幼なじみの男の子が、果たして幼き頃の「告白」の約束を覚えているのか?」がストーリーを通して最大の謎で、それがラストへ向けて明らかになっていく構成の作品。最後まで真相がどっちか分からないまま読まさせられたという点で、とてもお話作りが上手だと思います。残念なのは、作品が途中から完全にヒロイン目線になってしまっていて、少年漫画の読者としては楽しみどころが減ってしまっていることです。逆に、ヒロインが約束を覚えているかどうか分からなくて、主人公は先輩に向かうか幼なじみに向かうかフラフラしてしまうという構造で作ってもらった方が、読者の楽しみどころは増えた気がします。

編集長のコメント
70『花婿のプレリュード』みゆき

漫画としての表現力がすごく高いです。アクションシーンの上手さ、キャラクターの表情の多彩さ、一つ一つの要素を見るとすごく実力があると分かります。王子の唇を奪いにくる女たちをなぎ倒すという、ちょっとコミカルな展開を、疾走感のある描き方で一気に読ませる力は素晴らしいです。あと残された課題は、自分の作品の中で何を売りにしていけるか、絵として何を前に押し出していくか、シーンとしてどういう部分を見せ場にしていくか、だと思います。

編集長のコメント
71『蝉』今賀ホームベース

他人の目から目へと魂を移しながら生きている主人公。ある時、盲目の少女と出会って、初めて自分自身の存在を認識してもらったが、その少女がギャングの抗争に巻き込まれてしまい、復讐に生きることに――。短いページで、しっかりと現在起きていることを進行させながら、主人公の回想もきちんと挟んで、キャラクターの過去を説明していて、ストーリーの組み立て方が非常に上手いです。世界観と絵柄もマッチしていて、主人公の生き様に涙してしまいそうでした。あとは絵的な見せ場になるアクションシーンや、登場人物の見栄の切り方、見せ方などを工夫して、読者がパッと見ただけでも目を引くような画面作りをしてほしいと思います。

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